読書に没頭する「リーディング・ゾーン」に入るための条件とは。

ナンシー・アトウェルのリーディング・ワークショップでは、「読書に没頭するフロー状態」を「リーディング・ゾーン」と名付けて、その状態に入ることを非常に重視している。今日は、アトウェルとその娘であるアン先生の共著「Reading Zone」から、「リーディング・ゾーン」に入る条件についてまとめてみたい。

ちなみに、この本は良い本です。リーディング・ワークショップのみに特化しているけど、そのぶん主著のIn the Middleより薄くて、本文は150ページ弱。アトウェルの「最初の1冊」にお勧めです。

生徒が選ぶ「リーディング・ゾーン」に入る条件

この「条件」は生徒がまとめたもの。研究者の調査ではないが、少なくとも生徒はこういう条件が必要だと思っている、そんなリストである。パーセンテージは、回答者の何%の生徒がそれを答えたか、という数値だ。

  1. ブックトークとミニ・レッスン(88%)
  2. いつも新しい本が追加される、多くの、多様な本のある教室の図書コーナー(74%)
  3. 毎日、静かに教室で読む時間(73%)
  4. 本、ジャンル、作家について、個人が自由に選べること(56%)
  5. クラスメイト、教師、教室の「お薦め本コーナー」からの推薦があること(54%)
  6. 「ひたすら読む時間」の最中に、快適さが保証されていること。(53%)
  7. 教師やクラスメイトと、読んだ本について「レター・エッセイ」を書いてやり取りすること(53%)
  8. 自分の読書についての教師との会話(31%)
  9. いつか読みたい本リスト(30%)
  10. 毎晩少なくとも30分は読む宿題(30%)

ちなみに、In the Middleでは、ここでの項目がもう少し詳しく書かれている。例えば、最初の「ブックトークとミニ・レッスン」については、

多くのブックトークがあること。クラスメイトに対して、素晴らしい本について、短く熱い思いを語ること。加えて、お薦めのヤングアダルト文学作家、フィクションの要素、詩のひもときかた、有能な読み手が行うこと、合わない本をやめるタイミング、今年のニューベリー賞受賞者などの文学的なトピックについて、ミニ・レッスンがあること。

というふうに書かれているし、6番目の「『ひたすら読む時間』中の快適さ」とは、大きなクッションがあって、床に寝そべること、椅子に足をあげること、テーブルに頭をつけることなどが許されていることを指すようだ。(In the Middle 3rd. p57)。

意外な並び順? 子どもたちの考える「有効な条件」

ご覧になっていかがだろうか。子どもたちの実感としては、読書に没頭するには、ブックトークとミニ・レッスン、図書コーナー、読む時間の確保が大事、ということらしい。個人の選択や読む時の快適さ、レター・エッセイのようなアウトプットの機会がその次のグループ。

教師とのカンファランスは、毎晩読む宿題や「読みたい本リスト」と並んで最後のグループにあるのが、ちょっと意外なところ? 以前に下記エントリでカンファランスで何が出来るかを整理したけれど、教師の実感ほどには、ということなのかもしれない。でもまあ、色々やってみるのが大切でしょう。

生徒の邪魔? 有意義? リーディング・ワークショップのカンファランス

2017.10.03

このアンケート結果、たとえば下記エントリで書いた次の本での調査結果と比較しても面白い。もちろん、アトウェルのほうは「没頭できるために必要な条件を生徒に聞いたもの」、次の本は「読む力を高めるリーディング・ワークショップの条件を、研究で調べたもの」なので、単純に比較はできない。でも、一方では見落とされている条件などもあって、視点の違いがあるのだなあと思う。

[読書] 実践者必携、研究にもとづいたリーディング・ワークショップの提案。Miller & Moss. No More Independent Reading Without Support.

2017.09.26

いずれにせよ、この生徒たちのアンケート結果、リーディング・ワークショップの教室環境や授業の内容を考えるうえで参考になりそうだ。

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