この9月に行ったリーディング・ワークショップについて、授業の振り返りを書いてもらったのだけど、その中に「自分がより良い読み手になるために、リーディング・ワークショップの次の要素はどの程度有効だと思いますか」という質問を入れてみた。解答は「とても役に立つ」「役に立つ」「どちらともいえない」「あまり役に立たない」「役に立たない」「わからない」の6件法。あくまで参考程度だけど、おおまかな傾向はわかると思うので、ちょいと結果を見てみよう(速報値で有効回答数は137)。
なお、結果を見るにあたって、「とても役に立つ」「役に立つ」の合計を回答総数で割った数値を「お役立ち指数」としてみよう。この指数が高いほど、役に立つと答えた人が多いということ。
目次
結局リーディング・ワークショップの強みはこれ?
もっとも上位に来たのは、「自分で選ぶ」「たくさん読む」というリーディング・ワークショップの重要な柱だった。
自分で本を選んで読めること(お役立ち指数0.94)
毎回30分の読む時間があること(お役立ち指数0.9)
ChoiceとPracticeを重視するアトウェルも納得の感があるツートップ。ついで生徒からの支持が高いのは、「本がたくさんある環境」と「自分で読む場所を選べること」。ここまでを上位群として考えられる。
学校図書館などで授業を行うこと(お役立ち指数0.85)
自分で読む場所を選べること(お役立ち指数0.84)
こうしてみると、上位は「時間や空間の環境を整え、生徒に選択権を持たせる」ということに尽きている。結局リーディング・ワークショップの強みはこれなのかなあと思える。
意外に教師の推薦図書を聞いている? お役立ち指数中位以降
ついで、お役立ち指数中位以降の要素たち。上位群と中位以降にはっきりとした差があり中位群の要素ごとにはあまり差がないので、まとめて紹介したい。
教師が授業の最初に本を薦めること(お役立ち指数0.71)
個人的に驚いたのは、中位群の最初に僕からの本のおすすめがあったことだった。僕は授業でも本のお薦めをすることが多いのだが、今年のこの学年は「できるだけ毎回の授業で本の紹介をする」、ただし、基本的には「いま読んでいる本」を伝える」ことをしている。「良い本を薦める」ことよりも「大人が現在進行形で読書している姿を見せる」のが目的のため。正直マンネリとおもっていたのだけど、それなりに聞いてくれているのですね。
これ以降は、どれも似たり寄ったりの数値が続く。
教師がミニ・レッスンすること(お役立ち指数0.69)
ワークショップの記録をとること(お役立ち指数0.67)
教師や司書が選書の手伝いをすること(お役立ち指数0.66)
授業中に教師と会話すること(お役立ち指数0.61)
このへんは、ミニ・レッスンやカンファランスのやり方に直接関わるところ。こんなものかなという気もするし、もっと改善出来るような気もする。欲張りすぎずに打てる手を打ちましょう、という感じか。選書の手伝いは、経験の有無によるところが大きいだろうねえ…。
ここは課題ありか? 下位の共有の時間
授業の最後にクラスメイトと共有すること(お役立ち指数0.49)
お役立ち指数が0.5以下、つまり半数以上が「役に立っていない」と思っており、はっきりと課題がありそうなのが「共有の時間」。僕の授業では、アトウェルのようにレター・エッセイを書いてもらう余裕はないので、授業の最後に1分間で「今日読んだところのひと言紹介」をしてもらっている。それも、読者の権利10か条「共有しない権利」に配慮して、「聴くだけでも良い」としている。
もともと、Independent Reading(個別自由読書)の実践では、「共有」や「交流」は弱くなりがちなところだ。しかし、下記エントリでも触れたように、読んだものについて話すことは、読む力を伸ばす要素になりうる。
個別自由読書の中で読書会やペア読書の要素をどう取り入れていくかも含めて、これは考えないといけない点だなあ、と思った。
「リーディング・ゾーンに入る条件」との類似点と相違点
下記エントリでは、アトウェルの学校の生徒がまとめた「リーディング・ゾーン(読書に没頭できる環境)に入るために必要な条件」をまとめている。