しばらく更新が滞ってしまいました。言い訳になってしまうけど、学校の仕事、家の状況、他で請け負っている仕事の全てが忙しい時期を迎えてしまい、毎晩夜まで忙しく乗り切るのがやっとの状況。今年から実験的に始めた音声入力に、ちょっとしっくりこない感覚もあったので、最近はまたキーボード入力に切り替えていたのですが、時間がない中で気軽に短く更新するために、再び音声入力を使ってみます。今日は、最近またつらつらと思う、ライティング・ワークショップ(作家の時間)やリーディング・ワークショップ(読書家の時間)が指導法として優れているところを語ってみます。
「個別最適」と「ケア」のバランスがとれる
僕が実践を続けているライティング・ワークショップやリーディング・ワークショップには、強みもあれば、もちろん弱みもあります。今日はその強みについて最近感じていることを2つ書いてみます。
強みの1つは、この実践は「個別最適の指導」と「ケア」のどちらもできる枠組みだと言うことです。例えば、ライティング・ワークショップでは、カンファランスを通して、それぞれの子の現状(強みや弱み)を把握し、この生徒にはこのような働きかけを、別の生徒には別のハードルを…というように、教員は比較的その子に沿った目標や学習プランを立てることができます。同時にそれだけでなく、児童や生徒がとにかく書きたいものを書いたり、大人がその良さを認めたりすることで、その子を精神的にケアすることもできます。「ありのまま」を認めつつ、「いまのまま」ではない場所に連れて行こうとする。この一見相反することが匙加減次第でできるのが、この実践の強みです。
とはいえ、ぼくら現実の実践者は、ついこのどちらかに偏りがちなわけですが、本当は相手の状態に応じてこのどちらもできることが望ましく、また優れた指導者は、実際に相手によって「指導」と「ケア」のバランスを調整しているのでしょう。そのようなバランスを、少なくとも理論的には取ることができるのが、この実践の大きな強みです。
相手を「知る」ことからはじめられる
強みの2つ目は、カンファランスという「教える」ための仕組みの中に、自動的に教師が生徒を「知る」行為が含まれていることです。そもそも、相手に何かを教えようと思ったら、その相手を知ることが欠かせません。相手の好みは何か、どんな性格なのか、学習者としてはどんなタイプか…それらの情報を知ることで、僕らはようやく相手に合った教え方を考えることができる。
そして、少なくとも、初期のカンファランスの大部分は、相手を知ることなのです。「今、何を書いてるの?」「どうして?」「これからどうしたいの?」「どんな本読んでるの?」…カンファランスの中で、様々な質問を通して、僕たち教師は目の前の生徒の情報を集めていきます。この「相手を知る」フェーズが授業の中に自然に組み込まれていることが、ライティング・ワークショップやリーディング・ワークショップの大きな強みでしょう。繰り返しますが、相手のことを知らなければ、相手に何かを教えることなんてできないのですから。
ここにあげた2つの強みをまとめると、要するに「一人の個人として相手に関わる」ことに尽きるのだと思います。相手のことを知りながら、それを認め、ケアし、同時に次の一歩を進めることを求める。そのような、相手と個人と個人として関わりながら成長を促していくのが、カンファランス・アプローチの強みであり、醍醐味でもあるのです。最近、こうした強みについて改めて自覚する機会があり、同時に、自分はこの強みをちゃんと活かせているのかと自問自答する機会があったので、こちらに書いてみました。
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