僕にはありがたいことに、定期的に授業を見に来て、研究ベースで分析してくれる「観察者」の方がいる。筑波大学の研究者・勝田光さんだ。勝田さんは定期的に僕のリーディング・ワークショップ(読書家の時間)を対象に研究してくれており、彼との関わりの中で、僕も多くを得ている。今日はそれについてのエントリ。
今回で3回め!リーディング・ワークショップの研究
勝田さんとの研究は、これまでに2回。まだ筑駒勤務だった2018年、風越に移ってからの2021年、いずれもリーディング・ワークショップ(読書家の時間)を対象にしたもので、思えばそのおかげでニューオリンズやマニラにも連れて行ってもらえたのでした。
2019年:国際リテラシー学会@ニューオーリンズ
2023年国際リテラシー学会&フィリピン読書学会共済カンファレンス@マニラ
そして3回目の今回もまた、リーディング・ワークショップを対象にしたもの。今回は一斉授業スタイルの読解中心の授業との比較が念頭にあるようで、ドキドキしつつも楽しみな一年だ。
僕のカンファランスの変化は…
勝田さんの動機は研究なのだけど、僕としては自分の授業を定期的に見てくださる貴重な方なので、授業改善を意識してのふりかえりをお願いしている。先日のふりかえりで話題になったのは、自分の過去といまのカンファランスとの違いだった。
筑駒時代(2018年)のカンファランス
勝田さんによると、筑駒時代の2018年の僕は、一人1分程度のカンファランスを心がけていた。その子が楽しく読めているかどうかが一番大きくて、あとは何ページまで読んでいるかの確認が中心。内容を確認できているかどうかもあったけど、そんなにふみこんだ会話ではなく、それよりも多くの子とやりとりすることを大事にしていた、らしい。なるほど。
現在(2025年)のカンファランス
ひるがえって今は、まず一人一人のカンファランスの時間が長くなっている。前よりも会話の基本プロトコルのバリエーションが増えて、ミニレッスンの内容とリンクしたり、作家の時間のテーマとリンクしたりするけど、必ずしもいつもそうとは限らない。似たジャンルで別の本をあわせて紹介したり、「この本は誰々が読んでいたよ」「その分野なら誰が詳しいよ」と子ども同士をつなげようとする語りかけもある。
比べると、全体としていまのほうが会話として自然なやりとりがある、とのことだった。これは単純に読書家の時間の実践者として経験をつんだこともあるのだろう。そういう意味で、成長がわかってうれしいところだ。
多くと話すか、一人とじっくりか
とはいえ、この要因の多くは、40人規模の学級を1人で教えていた筑駒時代と、30人弱でサポートスタッフもいる風越の環境の違いだろうなあ、と正直思う。シンプルに、生徒が少ないから一人一人に時間をかけられる。そして、実は風越のように時間をかけることが良いこととも限らない。一人との会話を短くしても多くの書き手/読み手と話すメリットは当然ある。カンファランスで大勢から情報収集して次の授業までに環境を整えられたら、その効果はかなり大きいのだから。今の自分が2018年当時よりカンファランスについて深く考え、技術も身につけたのだとして、もしも今の自分が筑駒の「40人学級・一人教師」環境に戻ったら、どんなカンファランスをするのだろう、と思った。
いずれにせよ、こういう変化は自分ではわからないので、本当にありがたい。他には2021年度の自分の読書家の時間と今年の読書家の時間で現時点で違って見えることも教えてもらい、なるほどなあという感じだった。今年度、勝田さんとのふりかえりを重ねていく時間が楽しみだ。
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