山川先生の漢字学習会をきっかけに考える、自分の漢字指導のこれまでとこれから。

昨日12月27日夜、山川晃史(こうし)先生による、漢字学習についてのオンライン学習会に参加した。山川さんといえば、僕にとっては土居正博さんや島根大学の冨安慎吾さんと並んで「漢字学習といえばこの人」な人。いい機会なので、このエントリでこれまでの漢字学習のやり方についても振り返りつつ、自分の課題やこれからの指針について整理していきたい。

写真は10月下旬に勉強仲間のトミー(冨田明広さん)と一緒に登った鍋割山の山頂から。富士山を見つつ、名物の鍋焼きうどんを食べてきました!

自分の漢字指導はどう変わってきた?

「変遷」というほど大したものは全くないが、山川先生の講座を受ける前提の文脈として、風越に来てからの自分の漢字指導の失敗や試行錯誤について、改めて振り返っておく。

風越に入る前〜2020年度

風越に入る前の筑駒時代は、そもそも漢字指導についてあまりちゃんと考えてなかった….(汗) 「漢字指導=読み書き指導」という了見の浅さだったし、その読み書き指導についても元々が力のある生徒たちなので「ま、自分でできるよね」くらいの認識。漢字書き取りテストは中学の時は期末試験時にする程度、高校ではテキストから定期的に。でも、意識してたのは、漢字テストの例文を子どもたちで作ることくらいかな。まったく、生徒の力に頼って手を抜いていた。

もちろん小学生はそれでは通用しないから、風越が開校する前から、漢字学習をどうするかはなんとなく頭にあった(下記の2つのエントリはその時のもの)。

目下のお悩みの一つ。漢字の学習をどうする?

2019.10.04

どう効率的に覚えるか?漢字学習を模索中...

2019.12.11

ただ、2020年に開校した後は「子どもが自分のペースで学ぶこと」「楽しく遊ぶように学ぶこと」という風越的な理想に捉われすぎて、結果として漢字の定着自体があまりうまくいかなかったなと思う。実際問題として、漢字を書けない子が多くて、この学年を引き継いだりんちゃん(甲斐利恵子先生)を驚かせてしまったほど。子どもが自分で学習範囲やペースを決めて漢字を学ぶのは自己調整学習としては理想的かもしれないが、いきなりそうしてもダメということなのだと思う。

2021年度の漢字学習

というわけで、翌年はやり方をガラッと変えた。この年は、まずは学年別配当漢字を使った熟語の音読テストをやって、それをクリアした子から、漢字のテキストを1章ごとに書く練習をし、章ごとに学習が終わったら僕か周りのスタッフに定着度を見るテストを個別に受けにくる形式。最初に音読テストを入れたのは、土居先生のこの本の影響。

そして、全員一斉ではなく1対1のテストにしたのは、個別の子に音符について教えたり、学習方略の話をしたり、その子の苦手な漢字の把握をしようとしたから。手間はかかるけど、その方がいいかなーって。

字面だけ見たら「自由進度学習」とか「個別最適化」とか言われそうな試みだけど、結果的にはこれもうまくいかなかった。一つは、子どもたちの側に漢字学習のモチベーションがなく、苦手な子が全くテストを受けにこないこと(笑)。プレッシャーをかけようと途中から現時点の進度を月1回保護者に報告したりしたけど、それでもこない子は徹底的に受けにこない。うまくいかなかったもう一つの理由は、途中から授業コマ数が減ってしまったこと。そうすると僕一人で個別対応するのはさすがに無理があり、他のラーニンググループスタッフと分担して漢字テストを受ける仕組みにしたのだが、僕以外のスタッフは、特に国語専門でも国語指導に力を入れたいわけでもないので、個別に学習方略や漢字について教える点で、足並みを揃えられなかった。

2022年度の漢字学習

そんなこんなで漢字学習に迷う中、山川先生のオンライン学習会に参加したのが2022年2月。下記エントリに書いたように、「手書き」をゴールにしないで語彙指導と結びつけるその考え方に「こんな漢字指導があるのか」と感心した。

漢字学習のゴールは何か?山川晃史さんの漢字ゲーム講座@川崎国語同好会に参加して

2022.02.12

そこで、2022年度は、漢字の学習ゲームの要素をできるだけ授業に取り入れようとした。とは言っても、ただでさえ国語の授業数の少ない風越のこと、週4回の授業の開始前にホワイトボードに自作や子ども作の漢字クイズを書くくらいしかできないのだが、漢字に対する興味や動機は高まっている。また、漢字の多数を占める形声文字が意符と音符とできていることなど、漢字の構成についての理解も進んでいる。

授業前の漢字クイズ、はじめました。「楽しく」と「ちゃんと」の両立を目指そう。

2022.05.21

漢字の書き取りテストは、学年ごとに一斉のタイミング(2〜3週間に一回)で実施。夏休みまでは、土居先生の漢字指導の真似で、「他用例書き込み漢字テスト」(指定の漢字を使った熟語をいくら書いても加点されるテスト)に。通常は「テストの得点」にほとんど意識が向かない風越の中で、あえてその要素を入れ込むべく、漢字テストの平均値や中央値も公開して本人と保護者に知らせることにしたのも、今年の大きな変化。そしたら、「上限がない=やっただけ得点になる」のは力のある子たちに魅力だったようだ。回を追うごとにどんどんみんなの得点が上がっていて、目に見えて効果があった。「いやあ、人間って簡単に数字に踊らされるんだな」と自分のしたことながら驚いたものである。

土居正博「小学校における学習者の意欲を喚起し漢字運用力に培う漢字テストの実践的検討―「他用例書き込み」漢字小テスト実践の分析を手がかりに―」

しかし、だから良かったとならないのが面白く難しいところである。何回かテストを重ねるうちに、この形式が「トップを取りたいのに他の子も頑張るからどんなに頑張ってもトップを取れない」子への強いプレッシャーになってしまったのだ。他の得点上位の子にも「漢字テスト疲れ」の様子が見えてきたこと、漢字テストが加熱しすぎて「わたしをつくる」時間に漢字テストの勉強ばかりになったことなども理由になって、夏休み明けからは「他用例書き込み式」はやめてしまった。結局今は、指定範囲の漢字を全部そのまま書き取りに出すという、極めてシンプルな漢字テスト形式になっている。いまは半分以上の子が満点を取ってくる。

総じて、3年目の今年は、書き取りテストの結果だけなら1・2年目よりだいぶマシである。ただ、「結局は手で書ける=再生できることが漢字学習のゴールになっている」ことと、「書き取りテストでは書けている漢字が日常の作文では書けていない(テストのためのテストになっており、日常に還元されていない)」のが大きな課題になっている。

漢字学習についての「素朴な疑問」たち

…という中での、今回の山川先生の漢字学習講座だった。その内容を詳細にここに書くことは控えるが、冒頭に提示された「素朴な疑問」だけでも、山川先生が漢字学習についていかに考えているかわかろうというもの。

  1. 漢字指導(漢字テスト)はなぜ「読み」「書き」が中心なのか
  2. 漢字の指導は、なぜ「読み」「書き」同時指導なのか
  3. 「とめ」「はらい」など、なぜ必要以上の指導をするのか
  4. 「音読み」と「訓読み」をどのように指導するのか
  5. 漢字が書けるようになるための指導は、なぜ、書く練習が中心なのか
  6. 一人一人の子どもの「学び方」を考慮した指導が、なぜ少ないのか
  7. 漢字指導のゴールはどこにあるのか→「漢字力」とは何か

1つ目の問いや7つ目の問いは、「漢字力とは何か」に関する問いであり、それ以外は具体的な(特に書きの)指導法に関する問いと言える。「漢字力」が「漢字の読み書き力」に矮小化されている現状と、しかもその指導が「書き取りドリル」になっているもう一つの現状に対する山川先生の問題意識がうかがえる「疑問」だ。このエントリでは、後者から前者、という順番で、漢字の指導法の話と「漢字力とは何か」の話について触れておきたい。

さまざまな漢字の「書き」指導法

山川先生はこの講座の中で、漢字の学習方略が「ひたすら書き取り練習」ばかりになっている現状に批判的な立場を表明されて、「子ども一人ひとりにあった学習法を選べるようにすべき」と、さまざまな漢字の学習方略を紹介されていた。メモも兼ねてこちらに書いておく。

(1)さかもと式

「さかもと式」は目視と頻繁なテストによって記憶を定着させていく方法。暗記には練習よりテストが有効なので、それを使った学習法なのだろう。書くよりも頻繁な目視の方が有効という結果は、小栗貴弘「漢字学習における学習スキルのユニバーサルデザインの検討 ー高校中退の普遍的予防のためのアナログ研究ー」でも報告されされていた。

(2)下村式口唱法

『となえておぼえる漢字の本』シリーズで有名な下村式。例えば「早い」という漢字を「たて・かぎ・よこ・よこ・よこ・たてぼう」や「ひにじゅう」のように、七五調のリズムで部品ごとに書き順に沿って覚えていく方法。漢字をパーツごとに分ける体制化方略と、口唱を反復するリハーサル方略の組み合わせと言えるだろう。

(3)ミチムラ式

ミチムラ式」は、漢字を部品に分けて、それぞれを口唱しながら覚えていく学習法。もともとは特別支援教育の文脈から生まれたものらしいが、風越の受け持ちの子でも「ミチムラ式」で覚えている子がいて、僕はその子の保護者から詳しいことを教えてもらった。漢字を部品に分ける意識は、複雑な漢字を覚えるためにとても大事だと僕も思ってて、まっとうな学習法だと思う。でも、今思うと下村式口唱法との違いがよくわからないけど…。

(4)イメージフィックス法

イメージフィックス法」はどんぐり倶楽部の糸山泰造さん考案。漢字を大きく印刷した漢字を見た後で、目を閉じて脳内で書き順を再生して覚えていく漢字学習法。僕は今回の勉強会で初めて知ったのだが、記憶は再生しようとするときに定着するので(だから練習よりもテストが効果的)、その効果を狙ったものだと思う。

(5)つがわ式

つがわ式」は以前に勉強会仲間から聞いて、本にも持っている。間違いやすいポイントにマルをつけ、そこに注意を焦点化して覚える学習法。ある程度漢字を知っている人が複雑な漢字を覚えるのに向いていそう。

(6)カワヅノボルの教室

こちらはYoutube動画。エビングハウスの忘却曲線の扱いが変だったり(あれは単語保持率ではなく節約率だし、そもそも無意味な単語の羅列だし…)、いまどきラーニング・ピラミッドを根拠にしていたり(土屋耕治「ラーニングピラミッドの誤謬 ―モデルの変遷と “神話” の終焉へ向けて―」を参照)、正直、その点だけでかなり印象が悪いかも….。でも、学習法としては空書き(指書き)を中心にした学習法で、新規というよりはむしろオーソドックス。空書きの効果は、以前に読んだ漢字学習の論文でも、たしか書字と大差なく認められていた(その論文名を忘れちゃって、いま検索しても見つからない…)。

要するに大事な原則は…

これらの記憶法は、それぞれがまるで違うことを言っているわけではないし、どれもが「すごく画期的」というわけでもない。もともと知識の暗記には、(1)できるだけ多くの感覚(神経)を使う、(2)チャンク化する(まとまりを作る)、(3)練習よりもテスト(再生)を優先する、(4)繰り返す、などの基本的原則があり、これらの学習法はそれぞれ、そのいくつかを満たした学習法である。だからまあ、理にかなっているのだ。

僕自身は、今年の漢字学習を始めるにあたって、こういう原則をそのまま子どもたちに伝えてしまった。でも、小学5・6年生が各自でこの原則を理解して運用できるかを考えたら、具体例としてこれらの学習法を紹介しても良いかなと思った。これは来年、やってみよう。

ただ、一方で僕は「子どもが自分に合った学習法を色々と経験して選ぶ」ことの良さについては、やや保留する立場でもある。その選ぶプロセス自体に価値があると信じるならいいけど、おそらく学習効果としてはあまり意味がないんじゃないかな。というのも、「人にはそれぞれ自分に合った学び方がある」という信念は、教師、特に構成主義的な価値観の教師に非常に好まれる信念の一つだが、実際そうなのかは定かではないし、「子どもが好む学習法」と「客観的に実際に効果的な学習法」の相関も疑わしいからだ。

仮に個々に合う学習法があったとしても、同じ人間なのだから学習方略には共通点の方がずっと多い。「自分にはAの学び方よりもBの学び方が合う」と子どもがいちいち自分の好みで取捨選択をすのは、試行錯誤する時間コストと効果を比べて見合わないし、それよりも、僕は「違いよりも共通点や原理を押さえようよ」派で、最終的には「違うものから選ぶ」よりも各漢字学習法に共通する大事な原則を押さえる方に進むと思う。

なお、山川さんは書き取り練習に否定的な見解だったが、僕自身は「書き取り」も立派なリハーサル方略であり、それ自体が悪いとは考えていない。ただ、「目的もわからず何度もひたすら書く」ような書き取り練習では、ただの「作業」になって意味がないだろう。山川先生が否定する「書き取り練習」は、おそらくそういうものなのだと思う。

育てたい「漢字力」とは何か?

もう一つ、山川さんの講座でいつも考えさせられるのは、「漢字力とは何か」という問題である。通常、そして僕の授業でも、漢字力は最終的に「漢字の読み書き力」に矮小化されてしまうのだが、山川さんはそうではなく、漢字学習のゴールを語彙学習においている

大事なのは漢字の再生ではなく意味

例えば同じ漢字の書きテストでも、「トザン」というカタカナを示して「登山」と書かせるのではなく、「やまにのぼる」を示して、これにあう意味の漢字を書かせる。前者は単に音読みから文字を再生するだけだが、後者は意味や熟語の構成にまで意識が及ぶので、もはや単純な書き取り問題ではない。また、同じ一つの漢字(例えば「着」)にもいろいろなニュアンスがあることを熟語の用例とともに確認させる問題もある。「読めること、意味がわかることが大事で、書けることはその次で良い」という姿勢が明確である。

漢字についての手続的知識も「漢字力」

「漢字力が(とりわけ入試では)読み書き力に矮小化されてしまう」問題は、2021年秋の全国大学国語教育学会公開講座「今、漢字学習について問うべきことを探る」で、冨安慎吾さんも指摘されていた。詳しくは下記エントリを見てほしい。

今の子供たちの生活に根ざした漢字学力ってなんだろう? 公開講座「今、漢字教育について問うべきことを探る」

2021.10.24

ここで議論されていたように、一般に「漢字力」として問われる漢字に関する知識は、宣言的知識に偏り、手続的知識(漢字の使い方や学び方のプロセスについての知識)が問われることはほとんどない。冨安さんは、次のような力を「漢字力」として認められるかどうかを、問題提起としての例に挙げていた。

  1. 音符をもとに未知の漢字の音読みを類推する力
  2. 時と場合に応じて漢字を「使わない」判断をする力
  3. 左利きの人が自分に合った筆順を考える力

昨日の勉強会でも、山川さんは「僕は和語は(平仮名に)ひらいていいと思う」と述べていたが、例えば表現効果や読者層に応じてどの程度漢字をひらくかも、確かに「漢字力」なのに、それが学校現場で(特に試験現場で)「漢字力」として問われることはないのである。

幅の広い「漢字力」を育てる時間をどう確保するか?

こういう「漢字力」は、実際の漢字の運用を考えたときにかなり大事なものだ。実際、未知の熟語に出会ったときに、単漢字の意味や熟語の構成から意味を類推したり、音符から音読みを類推したりすることは、ある程度の漢字力のある人ならやっていることだろう。単純な、読みからの漢字の再生テストでは、この力は身につかない。でも、「そこまでやる時間の余裕はないよ」と誰もが言うだろう。では、その時間をどう確保するか?

学習指導要領を守って時間をつくるのが大事?

この答えの鍵は、結構シンプルなのではないかと思う。それは、中学校で学習指導要領を守ることだ。この学習会に限らず、漢字指導にある程度関心のある人なら知っていて、でも一般の人はほとんど知らないことがある。それは、「中学校の新出漢字は、読めるだけで良い」という事実である。書きの指導に関しては、小学校で習う学年別漢字配当表の教育漢字1026字を文や文章の中で使い慣れることが目的なのだ。

〇漢字
漢字の読みの指導については,小学校学習指導要領第2章第1節国語の学年別漢字配当表(以下「学年別漢字配当表」という。)に示されている漢字1,026字に加え,中学校修了までに学年別漢字配当表以外の常用漢字の大体を読むことを求めている。漢字の書きの指導については,学年別漢字配当表の漢字1,026字について,第2学年までに文や文章の中で使うこととし,第3学年では,文や文章の中で使い慣れることとしている。今回の改訂においては,学年別漢字配当表に都道府県名に用いる漢字20字が加えられたこと,それに伴って32字の配当学年が移行されていることに注意が必要である。

中学校学習指導要領解説・国語編 p18 (太字は引用者)

 

なお、「中学校では、小学校までに習った漢字が書けるようになれば良い」という方針が固まったのは、冨安慎吾さんのツイートによると、平成10年の指導要領においてだそう。

 

実際の中学校の現場では…

ところが、中学校や中高一貫校の国語の先生はよく知っているように、実際の学校現場では、この学習指導要領が示す範囲を超えて、常用漢字を(読みだけでなく)書かせているところも多い

「そもそも学習指導要領を読んでなかった」「ドリルをやらせないと保護者から不安の声が…」「読みと書きを同時にやった方が効率的ではないか」「中高一貫なので、前倒しで…」「中卒の子もいるから、書きまで義務教育でやらせたい」など、現場に応じて色々な理由があるのだろう。Twitterで教えていただいた話だが、私立高校では学習指導要領を超えて常用漢字の書きを出題するところも少なくないようで、その対策の意味もあるかもしれない。

断っておくと学習指導要領はミニマムスタンダードなので、そこに載っていないことことをやったって良いのである。しかし、限られた時間内であえてそれをやるなら、それなりの根拠なり、問われた時の説明なりが必要になるはずだ。そして、いくらなんでも高校入試で指導要領が求めていないことを出題範囲にするのって、いくら私立校でもそれはどうなの?と個人的にはかなりびっくりしている。

とまあ、それぞれに事情や理念はあるのだとは思うが、中学校で常用漢字の書き取りが当たり前になってしまうと、その負担はあまりに大きい。常用漢字は2136字あり、小学校で習う教育漢字1026字を除いても、残り1110字を3年間で読み書き両方やらないといけないのだ。年平均で370字もの漢字の書き取りである。先生も生徒もこれだけで精一杯になってしまい、「読み書き」以外に漢字力の幅が広がらないのは当然だろう。

ちなみに、小学校で学年別で最も習う漢字が多い年は、4年生の202字。中学校で常用漢字の書きまでカバーしようとすると、常にこの1.8倍の分量の漢字を覚え続けることになる。

個人的には、そこまで苦労して常用漢字の再生テストをするよりは、「書き」は指導要領通りに小学校までの教育漢字にとどめて、それで生まれる時間を漢字の運用能力や語彙力の増強に向けた方が、ずっと良いのではないかと思う。

さて、個人的な漢字学習の指針は…

というわけで、書いているうちになんとなく見えてきたので、最後に、個人的に考える来年度の漢字学習の指針を書いておきたい。

まず、個人的なレベル。今やっている授業前の漢字クイズは、漢字への関心を高める効果はあるので継続したい。ただ、できれば現行の「クイズ」よりもできれば漢字力に関係なく楽しめるゲーム性があり、かつ語彙指導につながるものになったらいい。そして、漢字の書き取りに関しては、暗記の原則を示すだけでなく、ミチムラ式などの色々な漢字学習法を例として示してあげようと思う(ただし、違いよりも共通点に重点をおいて紹介する)。小学校では、やはりベースとなる漢字を漢字をかけたり、部首の名前を言えるようになったりして、より複雑な漢字を学ぶときの足がかりを作ることは大事だと考える。

同時に、それだけではやはり語彙学習や漢字を運用する学習とは言えないから、やはり学校として、中学校段階の漢字学習を、語彙や漢字運用の学習の方向に振り切るのが妥当なのではないか。常用漢字の学習は読みにとどめて、書くことまでは求めない。そこで浮いた時間で、より実践的な漢字の使い方の学習や語彙の学習に舵を切るのだ。言ってしまえば学習指導要領通りなのだけど、実際の中学校現場はそうでないところがたくさんある。でも小学校と中学校がともにある風越なのだから、その強みを活かして小中の担当を超えてスタッフで合意形成して、一貫した方針で漢字学習ができたらいいな。

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2 件のコメント

  • 太郎次郎社の漢字が楽しくなる本は学年の発達段階に応じて効果的に構成されています。このシリーズのカルタは秀逸です。漢字カルタ 部首カルタ、形声カルタでそもそもの漢字の成り立ちをゲームで遊びながら学ぶといかに漢字がシステマティックにできているかも理解できてオススメです。

    • ありがとうございます、はい、そうなんですよねー。僕もこのシリーズは好きで全部持っています。このエントリからリンクのある開校前のエントリでは太郎次郎社のシリーズを紹介していて、初年度はこれを中心に…と考えていた時期もありました。ただ、実際問題として、ただでさえ授業時間の少ない風越では、授業中にこれをやる時間が確保できないんですよね。楽しくなる本も全家庭に購入してもらうわけにもいかないし…。そんなわけで、活用できていない現状です。良いシリーズなのでなんとかして活用できたら良いんですけど…。