漢字学習のゴールは何か?山川晃史さんの漢字ゲーム講座@川崎国語同好会に参加して

長野県でも降雪となった木曜日、早期帰宅できたので、午後6時から「川崎国語同好会」という勉強会に参加できた。こちらの勉強会は、僕のベースの勉強会のメンバーが主催している川崎市の国語の先生たちの会。川崎から遠く離れてもオンラインで参加できるなんて、これはある意味でコロナさまさま…。この日は、長年、多数の漢字の学習ゲームを考案してきた山川晃史さん(授業づくりネットワーク理事)による体験講座だった。勉強になることが多かったので、こちらにメモ。

木曜日に帰宅したらもうこんな雪景色でした。ナルニア国に来たようなこの景色、好きです

漢字ゲームを体験して、背後の考え方を聞く講座

この日の山川さんの講座は、まず「『トウ』という読みで、他の人が思いつきそうな漢字を2つ書く」ミニゲームからスタートした。昔の「クイズ100人に聞きました」ではないが、その漢字を掲げた人数がそのまま獲得ポイントになるのだ。単に「トウ」と読む漢字を書くだけでなく、「他の人も思いつきそうな」とするだけで一気にゲーム性が高まるのが面白い。

この日は他にもいくつもゲームを体験したのだけど、ここでのネタバレはやめておこう。ただ、ゲーム性の高め方として、「他の生徒と関連させる(他の子も思いつく/思いつかない)」「ボーナス漢字/ドボン漢字を入れる」「指導者も参加する」などの要素を使ってゲーム性を高めていくのが、具体的な手法として印象に残った。ここは、やってみてわかる鍵が色々とありそうだ。色々な漢字ゲームを知りたいし、自分でも小さく試してみたい。

自分の漢字指導への不満…

僕が漢字ゲームなどの「授業ネタ」系講座に出るのは珍しい。でもそれは、今の自分の漢字指導に不満があるからでもある。下記エントリでも書いたが、僕は「漢字指導は語彙学習」という考えに共感を覚えつつも、受け持ちの小5・6年では結局は書き取りのテスト(手書きで書けるかどうかのテスト)をしている。ただのテストではなく1対1で細かくテストをすることで全員が細かく達成感を持てるように、また、音符や学習方略の指導を個別にできるように工夫はしているけれど、ただの書き取りテストになっていること自体は変わりない

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2021.10.24

しかし、Chromebookで文章を書く風越の小学56年生にとって、「手書きの書き取りテスト」はモチベーションがあがらないものの一つである。中2や中3にもなれば話は少し変わるかもしれないが、少なくとも今の彼らにとっては「テスト」自体の距離が遠いし、「パソコンで変換すればいいものをなぜ手書きで書く必要があるのか」という素朴な疑問は、こちらの考えを述べたところでなかなか解消しない。それに良くも悪くも、彼らは「面白い/つまらない」という感情にとても素直な良い子たちだ。「面白くなくてもいつか役に立つからやりなさい」という「ためになる」式説得は、彼らの多くには通用しない。というわけで、風越の子が楽しく漢字を学ぶのに、書き取りテストとは違う何か、できればゲーム要素があるものがいるなあと思っていたのだ。

漢字学習のゴールはなにか?

この日の学習会でいくつかの漢字ゲームを試した後に、山川さんは「楽しいことが大事」「漢字学習は語彙指導」「覚えることよりも考えることが大事」「協同的な学びが大事」などのご自身の漢字学習観を話してくださった。なかでも、「漢字学習のゴールは手書きではない」という姿勢が明確なのが印象的だった。だから、漢字テストでも単純な書き取りではなく、次のような形式の漢字テストを出すらしい。

次の(    )の中に適切な漢字1字を書き入れ、意味の通る文にしなさい。

  1. 簡(     )な問題
  2. 地(     )住民の協力
  3. 安(     )を確かめる
  4. (    )来の夢。

たとえば4番の問題は、「将来の夢」が正しく「未来の夢」は間違いなのだろう。ここでは単純に「ショウライ」「ミライ」が書けるのとは別の、熟語の適切な場面での利用という能力が問われている。

漢字学習のゴールは手書きではない。結局のところ、今の僕はこの台詞を言い切れていないのだと思う。だから、「語彙指導としての漢字が大事、意味がわかって実際に使えることが大事」と思いつつも、なんとなく手書きドリルに引きずられてしまう。今回は、そんな自分の中途半端な姿勢を反省させられた勉強会だった。現実の僕は手書き不要とまでは思わないのだけど、これからの時代において、そこがメインになるのはやはりおかしいとも思う。できれば楽しく遊ぶなかで、子どもたちが自然と漢字に親しみ、語彙が増えていくといい。もう少し、色々な漢字ゲームを教わりたいな。

おまけ)土居正博さんの漢字学習本については…

ところで、漢字ゲームを中心とした山川晃史さんの漢字指導は、一見、土居正博さんの「王道」とも言える漢字指導とはだいぶ印象が異なる。土居さんも「語彙指導として漢字学習」を掲げてはいるが、やり方はだいぶ違うからだ。

でも、当の山川さん自身は土居さんの著作について、「とめはねを重視するかどうかを除いて、ほぼ同じ」と述べていたのが面白い。「方法は違うけど考え方は同じ」という意味なのか、「自分もいつもゲームだけやっているのではなく土居さんのような方法を使うこともある」なのか、いずれおうかがいしたいところである。

 

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