新聞の読者投稿を書く授業、2年目はこんな風にしました。

去年初めてやってみて、「これはブラッシュアップしよう」と思ったのが、「新聞の読者投稿を書く」授業。こういう取り組み自体はそう珍しくないようで、色々な学校の方から同種の取り組みをうかがいます。今日のエントリは、1月までやってたこの授業の今年バージョンの話。

昨年度の授業についてのエントリ

どうなるかな? はじめての「新聞の読者投稿を書く」授業

2017.10.06

はじめての「新聞の読者投稿を書く」授業、わかったことと反省点。

2017.12.25

書くことをめぐる権力の問題に向き合う。「新聞の読者投稿を書く」授業の後日談

2018.03.03

基本的な授業の流れ

今年も授業の流れは基本的に去年と同じ。(1)まず実際に掲載されている10代の新聞投稿(今回は去年の掲載作も含む)を120ほど共有し、(2)掲載されている投稿の良いところを皆で分析して、(3)それを言語化して共有する。(4)その経験を生かして自分でも書いてみる、という構成。アトウェルのジャンル学習のやり方ですね。

アトウェルの学校では、色々な文章ジャンルの特徴を「ジャンル学習」として学んでいますが、その具体例の多くは翻訳版では残念ながら紹介できていません。訳書306ページ以降のレター・エッセイの教え方が、ジャンル学習のやり方を示すサンプルになっています

前回からのやり方の変化

変えたところは大きく分けて2つ。一つ目は、今回は前回より1回増やして全5回の単元にしたこと。これでちょうどいいか、それでも最後宿題になった生徒がいるから、本当は6回あると十分だった。350〜550字程度とはいえ、分析からしっかりやろうとすると、なかなか大変なのでしょう。

もう一つは、カンファランスを基本的に「困っている生徒、カンファランスを希望する生徒」に絞ること。この授業は回数も少ないので、全員とのカンファランスを諦めました。その代わりに、一番つまづきやすい「書く題材」と「書き出し」のアイデアについてGoogle Formを通じて共有して、困ったらその投稿結果のスプレッドシートを見てもらうことに。

「教える」ことの変化

また、これは授業の構成の違いではないのだけど、カンファランスの時に、去年より積極的に僕が原稿に手を入れるようにしました。以前に僕のライティング・ワークショップを見学に来た大学院生さんが授業見学にもご指摘いただいたのですが、今回の僕は「教える」ことにかなり踏み込んでいます。生徒の文章をコピペして目の前で削ってみせたり、書き出し部分を書いたり…。これはおそらく、鉛筆を持って生徒の間を動き回る甲斐利恵子先生の影響でしょう。

やってみた感想は…生徒の文章に僕が手を入れて、文章を整えていく様子をリアルタイムで見せると、確かに説得力があるのでしょう。目の前でやって見せた後、残り半分くらいは本人に任せる感じで進めたのですが、生徒の反応は良かったように思います。

また「書くことがありません」と困っている生徒の話を聞いてメモを作り、「こういうこと?」と、「第一文+第二文の書き出し」までを書いてあげたこともありました。生徒がその後すんなり書けるようになって、「なるほど、うまくいくとこうなるのか」と手応えも感じました。

一方で、そうやって関わりを強めたぶん、手を挙げて「見てください」という生徒は明らかに増えたかなあ。自分の文章の完成を僕にゆだねるようになってはいけないので、加減が難しいなあといったところ。

整ってきた2年目

「新聞の読者投稿を書く」授業についてのおおまかな捉え方は、すでに下記エントリでも書いたとおり。今年も、この見方は基本的に変わりません。

はじめての「新聞の読者投稿を書く」授業、わかったことと反省点。

2017.12.25
去年も書いたことですが、読者投稿の「短さ」は書くサイクルを体験する上でとても使い勝手の良いジャンル。一方で、かなり独特なジャンルであることも事実。今年は、とある論文のコンテストで高校生に混じって中学生で入賞するほどの書く力のある生徒が、「どこまでいい加減に書いていいのかわからない」と困ってしまう場面があって、微笑ましかった…。確かに、論拠を丁寧に組み立てる文章と違って、サンプル1の体験談から出発して、いかに「ふわっと」一般的な主張に結びつけるか、みたいな側面があります。だから、「意見文」として扱っていいのかどうか、わかりません。

でも、全体として手応えは感じるので、今後もこの授業をやっていきたいと思います。もっと時間があれば、最初に分析する10代の作品を、生徒が自分たちで集めるところからやりたいなあ…。

今年掲載された僕の文章

今はこの授業が終わり、任意で実際に投稿した生徒たちが、掲載の報告を持ってきてくれているところ(現時点で計4件)。今年は何人掲載されるかなあ。実は、僕も去年に引き続き掲載されました! 意見文だった去年と変えて、今年はエッセイ調にしました。掲載の記念にここにも載せておきます。

書道を習って奥深さを知る

書道を習い始めた。木目の細かなひんやりした机に、黒い布を敷き、上に真っ白な半紙を敷く。墨汁を豊かに含んだ毛筆を構えると、背筋がすっと伸びる。何歳になっても初心者はいいものだ。新しい用語に触れ、慣れない身体の使い方に戸惑いながら、お手本を頼りに腕を動かす。驚くのは、書道の先生が私の書いたものを見て、書いた時の体の動きまで見抜いてしまうこと。「ここで手首をひねりましたね」「ここの文字は、体全体を使って大きく書けていて、いいですね」。なんでそれがわかるのか、私にはさっぱりだ。書かれた文字から、書いている人の動きを見る魔法の目。書に長けている人は、こんな風に世界が見えるのだろうか。私にも、いつか先生の言葉を理解し、先生のように見える日が来るといい。40代を迎えて、新しい世界を覗き見る初心者の日々を楽しんでいる。

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