Writing Nextの研究結果から効果的な作文授業法を知ろうシリーズ。今日はまとめの回!
▷ Writing NextWriting Nextの著者たちが薦める授業法がひと通り出揃ったので、まとめてみよう。
(1)書くための戦略を教える
(2)要約する
(3)協同で書く
(4)具体的な目標を設定する
(5)ワープロソフトを使う
(6)文をつなげる練習をする
(7)書く前の段階を教える
(8)探究的な活動を行う
(9)プロセス・アプローチのやり方で教える
(10)模範文例を分析する
(11)他の分野の学習のために書く
▼
以上ということになる。また、このWriting Nextには、もう一つとても興味深い報告もある。調査の結果、なんと効果量がマイナス、つまり作文指導にかえって有害な指導法があったのだ。それは文法指導。実際に書く文脈に沿わない形で文法だけを取り出して指導するような従来型の文法指導は、作文指導に逆効果、ということらしい。
▼
この調査はあくまで過去の論文から数値を算出したもので、ある意味で「理想的な」環境を想定している。また、どの方法とどの方法を組み合わせると効果的か(あるいは効果が減じるか)ということについては一切言及していない。従って、「これを全て取り入れた授業をすれば最強!」みたいな単純なことは言えないのだけど、「ある手法が合わない生徒には別の手法を試してみる」「いくつかの手法を組み合わせて授業を組み立ててみる」目安にはなりそうだ。
▼
たとえば僕の作文の授業では、基本的には(9)プロセス・アプローチのやり方にシンパシーを抱きつつ(十分にできていないけど…)、(8)探究型の課題を各自で見つけてもらい、(7)書く前の問いを作る段階から授業で扱っている。書くのは基本的に(5)ワープロソフトを使い、下書きを書いた段階で(3)協同的な推敲活動を必ず入れている。また可能な時には、文集を作ったり、コンクールを行ったりして(4)具体的な目標を設定できるようにしている…おお、こう書いてみると、なかなかいい線いってるんでないの??
でも、ミニレッスンで(1)書くための戦略を明示的に教えたり、(10)模範文例を与えてどこがいいか分析したり、という点は、ちょっと弱いのかもしれない。このあたりは三学期の作文の授業でちょっと意識してみよう。