効果的な作文教育手法はこれだ!? (2)中〜下位編

下記エントリに引き続き、研究レポートのWriting Nextから、176の論文のメタ分析の結果、効果的だとわかった作文教育手法をご紹介。今回は効果量が中位〜下位のもの。前回も書きましたが、くれぐれも元レポートを読んで自己責任でよろしう。

効果的な作文教育手法はこれだ!? (1)上位編

2015.01.03
 ▷ Writing Next 

まずは、効果量が中程度のものから列挙していこう。

(5)「ワープロソフトを使う Word Processing」(効果量=0.55)

ワープロを使用すると、文章の加筆訂正が楽になり、最近のものはスペルチェックもしてくれるので、とりわけ、書くのが苦手な生徒層に効果が大きい。また、手書きとの比較では、生徒層に関係なく、手書きよりも効果的。

(6)「文をつなげる練習をする Sentence Combining」(効果量=0.50)

Sentence Combiningとは文と文をつなげてより複雑な構文を作るための練習で、伝統的な文法の学習に代わるものとして登場した学習法とのこと。中程度の効果量を持つ。

(7)「書く前の段階を教える Pre-writing」(効果量=0.32)

プランニングの段階を指導するアクティビティを行う。教師がデモンストレーションしたり、ヒントになりそうな課題文を与えて自分のアイデアを持つよう励ましたりする活動がこれにあたる。

(8)「探究的な活動を行う Inquiry Activities」(効果量=0.32)

具体的なデータを分析したり、比較したり、根拠を集めたりする探究的な活動を行うと、そのスキルが身につくだけでなく文章の質にもポジティブな効果がある。

(9)「プロセス・アプローチのやり方で教える Process Writing Approach」(効果量=0.32)

プロセス・アプローチとは、プランニングから完成までの「書くサイクル」を何度も回したり、書き手に題材選びなどに関する主導権を持たせたり、ミニレッスンや個別のカンファランスを通じて教えたりする手法。(いわゆるライティング・ワークショップはこれ)。これ、面白いことに教師が訓練されているかどうかで効果量が異なる。訓練された教師だと効果量0.46と中程度だが、訓練を受けていない教師だと効果量0.27と低い程度の効果にとどまる。(なんとなくわかる気がします…)

最後に効果量の小さい2つを。

(10)「模範文例を分析する Study of Models」(効果量=0.25) 

模範となる文章例を与えて、その書き方を分析する方法。たとえばある話題について立場の異なる二つの模範文を与えてそれを分析させた上で、その書き方を真似して書いてみる授業
などがこれにあたる。小さい効果量ではあるが、対象となる研究すべてでポジティブな結果が出た。

(11)「他の分野の学習のために書く Writing for Content Area Learning」(効果量=0.23) 

書くことが他の分野の学習の方法として有効なことは知られているが、それは若干ながら書くこと自体にもポジティブな効果を与えている。学力に関係なく、すべての層に同程度の効果がある。

以上、駆け足で(5)から(11)までを紹介してきた。最後のまとめは次回で!

 

効果的な作文教育手法はこれだ!? (3)まとめ

2015.01.06

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