今日は作家の時間の作品集を読んで、子供たちの作品やプロセスにコメントを書くべく出勤しました。が、朝方に馬のラッキー(いま、風越学園は馬をお借りして飼っています)の世話に来た同僚・ニシム(西村隆彦さん)が、どうしたら国語の教室を子供たちがもっと書きたくなる部屋にできるかという相談に乗ってくれて、それがとても良い時間だったので、忘れないうちにメモします。
書きたくなる環境を整えたい!
下記エントリで書いてるように、12月ごろから、授業教室を「書き手の工房」にする関心を持っていました。
幅允孝さんの『差し出し方の教室』にも通じる話ですが、できるだけ「書きなさい」と言わずに、自然に書きたくなる環境を作って子供たちの創作活動を支えたいからです。この冬休みは、同じく国語を持っている同僚のざっきー(山﨑恭平さん)に手伝ってもらって教室整備をしたのだけど、まだできていないところ、もっと良くしたいことはたくさんあるのです。
子供の視線の高さで教室を見直す
今日まずやったのは、少し前かがみになって、子供の視線の高さから教室の棚を見直すこと。そうすると一番良い視線の場所に、漢字テストの問題用紙を入れる棚があります。これは、プリントの取りやすさを考えた結果でもあるんだけど、でもそれが子供にこの部屋についての一番強いメッセージとなって伝わってもいるわけ。漢字テストのプリントは「ここにある」ことがわかってそこからとることが習慣化すれば、別に一番良い場所でなくても構わないはず。だから、プリントを別の場所に移動して、ここは棚を二段ぶち抜きにして、書くことについてのディスプレイコーナーを作ったらどうだろう。そうすれば、この部屋がどんな部屋なのかがすぐにわかる…というふうに話が展開していきました。
他にも、作品集を展示するときは小さな間接照明があるだけでも雰囲気がぐっと変わること。ただの掃除用具入れも、開けたときに初めて見えるものがあれば驚きが生まれること。創作コーナーのワークシートの上には、そのシートの使い方を掲示すると使いやすくなること。コルクボードを使って作家ノートを作品として展示できそうなこと。そして、そのスペースを作る意味でも、いま壁に貼っている毎週の国語教室通信「ことばらぼ」は、それを手渡す場所の赤床に移動すると理に適っていること。教室の椅子と机の向きを90度変えてもよさそうなこと….。こんな具体的な案が次々と出て、止まらないあれこれおしゃべりで気づけば2時間半が経過。すぐに全部は無理でも、4月からの新年度に向けてできそうなことが見えてきました。
デザイナーが同僚にいるの、いい!
休みの日に貴重な時間を使ってくれたニシムに感謝しつつ、同時にデザイナーが同僚にいるありがたさを感じないではいられませんでした。環境がそこにいる人の意識や無意識に大きな影響を与える以上、学習環境をデザインするのは、とても大事なこと。でも、自分にはそれを考えながら学習環境を整えるための感覚や専門知識がない。かといって、学校の外にいるデザイナーの方にちょっと見てもらったくらいでは、そのデザイナーさんも子供の動きがわからない手探りでの提案になるし、実際に試しながらいろいろ変えていくこともできない。いつも一緒にいる同僚だからこそ、こういう相談ができるんだなと思います。
同僚に助けてもらえる風越の良さ
ニシムに限らず、風越学園には相談に乗ってくれたり、実際に手を動かして助けてくれたりする同僚がいっぱいいます。冬休みに教室環境を整えたときには、ざっきーに加えて、こぐまさん(岡部哲さん)にも実際のものづくりを手伝ってもらいました。国語やテーマプロジェクトなどの普段の授業でも、ずっと一人で授業を作ってきたこれまでと違い、誰かと一緒に授業をつくることが、風越ではしょっちゅうです。
特に、国語が専門ではない人とと国語の授業をつくる価値の大きさを、風越に来て感じるようになりました。例えば元同僚のあっきー(木村彰宏さん)はファシリテーションやコーチングの専門性を活かし、ざっきーはものづくりや問題解決の専門性を生かして、僕の授業を支えてくれています。これは同じ教科の人と授業をするよりも、自分にない発想をくれる点で、本当にありがたいこと。
もともとは自分一人でとことんやりたくなってしまい、人と協働するのがあまり上手くない性格の自分だけど、風越に来てからは、人に助けてもらうこと、人からフィードバックをもらうことのありがたさを実感するようにもなっているので、その思いを忘れないでここに記録しておきたいと思いました。ここに書くだけじゃなくて、本人にもちゃんと直接お礼を伝えなきゃいけないし、助けてもらってるぶん、自分も同僚を助けないとなあと思います。
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