このブログに何度か出てくる学友のチリアンさん(仮称)について、驚きの事実を知ってしまった。

この前たまたまランチタイムに他のメンバーも交えて年齢の話をしてたんだけど、「54歳」だというのだ。どう見ても40歳そこそこの人なので、その場のみんなは「何また冗談を」と笑い、僕も一緒になった帰り道で「あれ、冗談だよね。本当は何歳?」と聞いてしまった。しかし、やっぱり54歳とのこと。
「何でこの歳になって、って思うだろう。チリの友人はもうみんな定年のことを考えている年齢なのに」とチリアンさんは笑う。「本当は若い頃に大学院で勉強したかったんだ。でも、自分が最初の学生の時は、実力が足りなかった。40歳くらいで行きたかったけど、その頃は国からの奨学金が35歳以下に限定されてた。ようやくその年齢制限がなくなって、それで来ることができたんだ」
昨年、別の大学で英文学の修士号を取り、それで自信をつけてこちらに教育学の博士号を取りに来たということらしい。
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実は40歳目前の自分がこの時期に留学に来たのは「このあたりが語学も含めて勉強する意思を持続できる年齢の上限かな」と思っていたことがある。40代になったら子供も中学高校とだんだんお金がかかってくるだろうし、親の介護も心配になる。体力もますますなくなる。そうなった時に、英語で苦労することも含めて新たな環境で勉強する意欲がなくなるだろうなと思っていたのだ。かといって、日本は中高年が学びなおすのは色々厳しい環境である。そう思って「今回が最後のチャンス」と思っていたけど、54歳で勉強する先輩がここにいたよ!
僕のいるコースは修士号(MSc Educational Research)コースであると同時に博士課程の1年目でもあるので、実際には多くの人がそのまま博士課程に進む。周囲のクラスメートには「日本に帰らないで勉強すればいいじゃないの」と言われることも多い。その時チリアンさんは、僕の立場に理解を示して、「子供たちがいると仕事は簡単には辞められないし、君は日本に帰らないといけない。でも、本当に願っていれば、いつかまたチャンスはあるよ」 と言っていた。「いつかチャンスはあるよ」は慰めの言葉だと思っていたけど、実はご自身の経験に支えられてのものだったのだなあ。
いつかチャンスはあるよ。年齢の割に若々しい笑顔に、以前のその台詞が重なって思いだされ、帰り際になんだかとても励まされた一日だった。



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