先日、統計についてのレポートを無事に提出した。課題は自分でアンケート調査を企画・実施して結果を統計的に分析するというもの。今学期の授業課題と並行しながら書いてきたので大変だったし、おまけにチューターから「図表も文字数制限に含める」と聞いていたのに、直前になってコース長から含めないと連絡が来て、その食い違いについて抗議しても向こうは謝らないし….とドタバタの中での提出だった。まったくもう、イギリス人ってなんで謝らないかな…。
今回のアンケート調査のレポート、レポートとしての水準は一応クリアしていると思うけど、統計を十分に理解できたかと言われるととうてい自信がない。授業で習ったことでも最近の文献や論文で調べると違う意見がたくさん出てきて(どういう効果量を使うべきか、とか、そもそも正規性検定をするべきか、とか。どうも僕が習ったのはかなり古いやり方らしい…初学者向けだからかな?)、統計の世界は奥が深いのだなと思うことたくさん。僕はまだまだ入門レベルだと思うのだけど、それでも以下の本やウェブサイトには大変助けてもらいました。統計って、けっこうウェブ上で学べる資料も多いし、本もたくさんある。
▷ 統計を始める前に (Colorless Green Ideas)
▷ 読めば必ずわかる分散分析の基礎 (PDF)(小野滋)
あたりにもお世話になった。僕はとにかく数字が苦手なのでどれか一冊だけではわからないことも多く、また知識も素人に毛が生えたレベルなので、「これが良いです!」と一冊をお勧めすることはできない。こっちの本でよくわからなかったら別の本もあわせて読んで…という感じ。あえて一冊をあげれば、知人の博士課程院生さんに勧めていただいた
は、やっぱり良い本だと思う。他のマンガ系入門書では「これはこういうもの」と書かれていることを、「なぜそうなのか」を数式を使ってちゃんと説明してくれるので、「へえ、なるほど!」と感動することが何度かあった。一方で、ちょこちょこ計算式が省略されているので、頭の回転が悪い僕はそこで何度も立ち止まってしまい、計算がその都度ストップ。結局時間切れで、残念ながら最後までは到達できなかった。でも、数学強い人ならこの本をやればいいんだろうな、と思う。
一方、数式を手で計算しなくても良いハードル低い系なら、僕にとってはこれかな? もちろん向後先生のシリーズも良いと思うけど。
統計は、「こういうもの」と飲み込んで「どんな時にどんな検定を使えばいいか」程度までわかった気になるレベルなら、本やウェブサイトで独学でも思ったより簡単にたどり着ける。また、SPSSみたいなソフトの操作なら、マニュアルがあるのでさらに簡単(英語に抵抗がなければYou Tubeにもたくさん動画がある)。でも、やってることの意味をちゃんと理解するには、やっぱり手を動かして計算式をきちんと理解していくしかないと思う。本当はそこまでたどり着こうと頑張ってたんだけど、時間切れ。うーん、ちょっと中途半端で残念かな…。
さて、入門レベルをさらった程度の僕が、それでもアンケートを用いた統計分析の実習をしたメリットを言うとしたら、その筆頭は、「アンケートを安易に取るのはやめよう」と思えたところではないかと思う。
学校では、例えば生徒むけのアンケート調査(のようなもの)がけっこうある。そのほとんどは、アンケート項目を思いつきのように作って、単に平均点を比較したり、いいところクロス集計したところまでのもので、それらの「アンケート」にはほとんど意味がないのだということがよくわかった。先行研究を調べて「一体何ならわざわざ新たに調べるに値するのか?」を決めたり(実際、すでに調べられていることというのはたくさんあるのだ)、採用する心理尺度を考えて項目を作ったり、パイロット調査をして質問項目を調整したり…アンケート調査って大変なんだなあ、ということがよくわかった。アンケートは労力もかかるし、大量の参加者の時間を奪うことにもなる。準備をちゃんとしないゴミみたいなアンケートを気軽にやるのは良くないよ、ということが良くわかった。
もちろん同時に、アンケートの「消費者」としての視点も身につく。「そもそもサンプリングは偏ってないの? サンプルサイズは適当?」「質問項目はどうやって作ったの?」「この検定手法は本当にこれを調べるときに向いているの?」みたいな基本事項をチェックする意識を持てるだけでも、だいぶ違ってくるはず。
けっこう頑張ったけどやり切れるところまでは行けなかった統計調査実習。でも数式と無縁に生きてきた国語教師としては面白い経験でした。せっかくだから、帰国したら何かアンケート調査をしてみたいな!(←安易だ…)