一年間の留学先として、あすこま一家が大変お世話になったイギリス南西部の都市エクセター。ロンドンから離れていることもあって日本人の数は多くないけれど、本当に住み良い、素晴らしい街だった。この街を去るにあたって、感謝を込めて、観光ガイドにないものも含めたエクセターの見どころスポットを紹介します。旅行者の方は必見!
目次
まずはここ、エクセター大聖堂&カセドラル・グリーン
一番の観光名所、エクセター大聖堂
まず観光客なら必ず立ち寄って欲しいのがエクセター大聖堂とその前に広がる芝生の広場(カセドラル・グリーンや、カセドラル・クローズと呼ばれている)。
ゴシック建築が主の大聖堂で、96メートルもある天井(ヴォールト)の長さ(高さではない)は、中世に作られたものとしては世界一だそうだ。エクセター大聖堂については下記エントリをどうぞ。
入場料は一人7ポンド。しかし、この大聖堂から徒歩5分くらいのツーリスト・インフォメーションセンターに行くと、「2for1」(2名で1名分)の割引券がもらえる。2名で7ポンドになるので、複数名で行く方は事前にそれを手に入れよう。なお、受付では日本語のパンフレットも配布してくれるので、ChineseではなくてJapaneseだとアピールするのが吉。
大聖堂を見ながらクリームティーを
大聖堂前にはカセドラル・グリーンと呼ばれる芝生の広場が広がっていて、天気の良い日は大勢の人で賑わっている。
僕はここにあるTea on the Greenという喫茶店が好きで、日本の方が来るとしばしばここでデヴォン州名物のクリームティーにお誘いしていた。屋外席で、大聖堂を見ながら、ギターを聴きながらのクリームティーが気持ちよい。
クリームティーは午後2時半以降の提供だが、かなりボリュームたっぷりでお昼ご飯代わりになるので、遅めのお昼ご飯にすることをお勧めする。
ちなみに、Tea on the Greenの左隣にある「1596」という年代表記のある白壁の建物。フロントには130枚のガラスがある、典型的なテューダー様式の建物だ。ここはかつてモルズ・コーヒー・ハウスで、デヴォン州ダートムーア出身のフランシス・ドレイクが、アルマダの海戦時に作戦を練っていたらしい。信憑性は…うーん、弘法大師のため池レベルかな?
のんびりした時間が流れるキーサイド
エクセターのもう一つの観光名所がキーサイドと呼ばれる川沿いの美しいエリア。大聖堂から徒歩15分くらいでたどり着ける。
ローマン・ウォールを通って川沿いへ
エクセター大聖堂の横からMercure Exeter Southgate Hotelの方に降りていくと、ローマ時代からの古い壁が続く小道がある。エクセターにはローマ時代の壁(ローマン・ウォール)が街のあちこちに残っていて往時を偲ばせる。小道を散歩しながら川を目指して降りていこう。(写真は逆に登って行くところ)
人々の憩いの場・キーサイド
以前に下記エントリでも触れたキーサイドは、週末には多くの人で賑わう街の人々の憩いの場。喫茶店やアンティークショップもあるので、観光客にもぴったりだ。
川を下っていけばカフェが並ぶにぎやかなエリアに出て、逆方向に歩くと、ローマ時代の遺跡が点在する静かなエリアが広がる。お好みのルートを、ゆったりと散策しよう。
ガイドブックに載っていない豆知識
上記の大聖堂とキーサイドは「地球の歩き方」等のガイドブックにも載っていると思うけど、これからはエクセター観光をちょっと楽しくしてくれるかもしれない小ネタを連発しよう。
ハリポタ、ダイアゴン横丁のモデル
ハリー・ポッターシリーズの作者J. K. ローリングは、エクセター大学で学んでいた。そのため、エクセター大学や市内には、ハリー・ポッターシリーズのモデルになったのではと言われている場所が複数あるのだ(下記リンク先を参照。英語です)。
12 Things Harry Potter Fans Must See In Exeter
https://www.buzzfeed.com/lukero/9-harry-potter-things-in-exeter-11typ
その中で、ハリーが学用品を買うダイアゴン横丁のモデルと言われているのがガンジー・ストリート。大聖堂から街の中央通りを横切ってエクセター図書館に向かう通りだ。
どうでしょう? ダイアゴン横丁のイメージと重なってきますかね?「いや、別に」という方には、他の曰くつきの場所の信憑性も、まあ似たり寄ったりだと思う…。でも、ハリポタファンの方は行ってみる価値ありかも?
充実したエクセター図書館
以前のエントリで書いたけど、エクセター図書館はとても充実した居心地の良い図書館なので、観光で疲れたらぜひ立ち寄ってほしい。カフェで一服して、裏手のルージュモント・ガーデンを散歩するだけで気持ちが良い。
イングランドで最後の魔女裁判
エクセター図書館の裏手にある美しいルージュモントガーデン。その外れに、ルージュモント・キャッスルという城壁の跡地がある。ノルマンディー公ウィリアム1世のノルマン・コンクエスト時代の遺跡だ。
そして、その横に何やら解説板が…何と、1682年にイングランドで最後の魔女裁判がここで開かれたという記録が残っている。
世界で一番狭い?通り
大聖堂からエクセターの中央通りに出てすぐ、マクドナルドがあるあたりにパーラメント・ストリート(Parliament Street)。ここは、「世界で最も狭い(と信じられている)」ストリートだ。真偽のほどは…まあ、解説板にも丁寧に「と信じられている」と書いているのでお察しください。
確かに、人が一人やっと通れるくらいのとても狭い通り。せっかくなので街を散策するときに探してみよう。
アフタヌーンティーが安い喫茶店はここ!
個人的には、デヴォン州のエクセターに来たら、下記エントリのどこかのお店でクリームティーを楽しんでほしい。
でも「もう少し本格的なアフタヌーンティーを試してみたい」「ロンドンのアフタヌーンティーは高すぎ!」という人にお勧めしたい超庶民派アフタヌーンティーが、中央通り沿いにあるマークス&スペンサーの2階にある喫茶店。
何とアフタヌーンティーが2人で12ポンドという破格の値段で楽しめてしまう。場所が場所なのでざわついた感じではあるけど、味は美味しい。スコーン&クリームだけでなく、僕たちはここのサンドイッチを食べて「イギリス人もやればできるんだ」と驚いたほど。ロンドンでは一人20-30ポンドが相場なので、コスパ重視の方には強力にお勧めできる。
広くて美しいエクセター大学のキャンパス
街の中心地から、クロック・タワー(下の写真)を通ってSt.Davids駅に向かうと、その先にエクセター大学のキャンパスがある。
エクセター大学はなだらかな丘の上にあり、入ると坂道が続く。でも、緑が多くてリスやウサギもたくさん。散策するだけで気持ちの良い大学なので、時間のある方は足を伸ばしてみよう。
坂道をずっと登って、ホランド・ホールという建物までたどり着くと、眼下にデヴォン州の自然豊かな街の景色が広がる。遠くの丘陵にいる羊も見える。僕がエクセター大学で一番好きなスポットでした。
エクセターから周辺の街へ
あすこま家の妻曰く、エクセターの街の真の魅力は、とても近い場所に魅力のある街や村が点在している点にある。以前に紹介したダートムーア、そして西に足を伸ばしてのコーンウォール以外にもたくさん魅力的な場所があるので、ぜひエクセターを拠点にさらに足を伸ばしてほしい。
トーキー
アガサ・クリスティの別荘があったゆかりの地。イギリス国内有数の保養地で、レトロなホテルの並び立つビーチを歩くのが楽しい。おとぎ話から出てきたようなかやぶき屋根の並ぶコッキントン村を巡り、フットパス(散歩道)を歩くのもお勧め。駅前には1000年以上前のトーア・アビー(修道院)もある。
プリマス
エクセターから電車で1時間ほどの街。ピルグリム・ファーザースがここから船出したメイフラワー・ステップ、メイフラワー号の資料を集めた博物館など、歴史好きにはたまらない。海軍基地のある海辺沿いには、フランシス・ドレークの像も建っている。
エクスマス
世界遺産ジュラシック・コーストの始まりの地。ジュラ紀の地層自体は150キロ以上先までの広い範囲に及んでおり、化石の街ライム・レジスなどが有名。残念ながらエクセターからライム・レジスまではアクセスが悪いが、エクセターから車で1時間ほどのエクスマスからお手軽なジュラシック・コースト・クルーズが出発していて、海から地層を眺めることができる。
カーディフ
エクセターから電車で2時間ほど行くと、イングランドのお隣・ウェールズの首都カーディフに着く。さすがに大きな街で、公共の場ではカーディフ語の表記も。
カーディフ城もいいが、17世紀以降のウェールズの歴史が、当時の建物や生活ぶりを再現した形で学べるセント・ファガンズ国立博物館が本当に素晴らしい(下の写真はウェールズ出身のスタッフさんに粉挽きを教えてもらっているところ)。あすこま一家は当初の予定を延長して丸一日こちらに滞在。また行ってみたい場所だった。
滞在者の方向けの情報
最後に、観光客ではなく留学生など滞在者の方向けの情報を。
移民同士のコミュニティ・スペース、シドウェル教会
シドウェル・ストリート沿いにあるシドウェル教会には、シドウェル・コミュニティー・センターが併設されている。そこでは、無料(または寄付制1ポンド)の移民英会話教室がほぼ毎日開かれていて、僕の妻がいつも通っていた。僕も何度か通ったけど、移民の友達も出来るし情報収集もできる。
無料の英会話教室情報
http://devongrapevine.co.uk/free-english-classes-in-exeter/
また、妻はやはり教会付属のシドウェル・カフェでスタッフもしていたのだけど、これも英語力を上げるには良い手段だと思う。とにかくエクセター図書館と並んで移民には役立つスペースだ。
外食はセブン・ワックがおすすめ
長期間滞在すると、どうしてもアジア系の料理が食べたくなる。エクセターには2016年現在で3件の中華系食材店があるので、食材には事欠かないが、外食をしたい時にはセブン・ワックという大聖堂の裏手にある中華系のお店を利用していた。
大人一人7ポンドの食べ放題のお店。エクセターのレストランで野菜や魚やエビが安く食べられる貴重なお店である。
実は人気の街、エクセター
実は、エクセターはイギリスの「人気の街ランキング」で毎年上位の屈指の人気都市のひとつ。エクセター・ウクレレクラブのメンバーによると、2015年は何かの媒体の街ランキングで1位だったそうだし(残念ながら情報源は見つからなかった)、ネット上では、2013年のhappiest placeで第4位に選ばれた記録が残っている。
住んでみると、エクセターが人気なのもよくわかる。デヴォン州の中心都市としてコンパクトにまとまりながら、とても自然が豊か。シティーセンターでは徒歩圏内で色々な買い物ができるし、その一方で美しい庭園がある。イギリスの中では最も南にあるので、気候も比較的温暖で、寒さがさほど厳しくない。車で30分くらいですぐ海にたどり着くし、ダートムーアのような豊かな自然も広がっている。そして、デヴォン州ではフルーツ栽培・酪農・畜産が盛んで、特に乳製品が非常に美味しい。治安も比較的に良い。
そんな人気都市なので、実は住居費や物価は、イギリスの地方都市としては正直言って高い(でもロンドンよりは安い)。住んでいるのもお金持ちの年配の方が多い印象。とはいえ、定住は大変でも、旅行者や留学生にとってはとても魅力的な街だ。イギリス旅行というとまずはロンドンやエディンバラだと思うけど、ぜひ南西部に足を伸ばして、デヴォン州の魅力を満喫してください!