エクセターのあるデヴォン州からさらに西に電車で3時間、イングランドの最西端コーンウォール地方に行ってきた。海に浮かぶ修道院、岸壁の劇場、そしてその名も「Land’s End (地の果て)」と、見どころの多いこの地域の魅力を紹介しよう。
目次
イングランド最西部のコーンウォール州
エクセターはロンドンから電車で約3時間かかるイギリス西部の都市だが、そこからさらに西へ電車で3時間。終点のペンザンス駅があるのが、コーンウォール州だ。ロンドンから遠いイギリス最南西の州だけあって外国人観光客の数はさほどではないけれど、休暇で訪れるイギリス人が多いお土地柄。下記エントリで書いたダートムーアもそうだけど、イギリスの地方の豊かな自然の魅力が味わえるエリアと言える。
海に浮かぶ修道院、セント・マイケルズ・マウント
コーンウォールについてまず訪問したのがセント・マイケルズ・マウント。別名イギリス版モンサンミッシェルとも言われ、本家のフランスと同様、海に浮かぶ修道院だ。おお、小さいけれど確かによく似ている気がする。僕たちが到着したときはちょうど干潮で、徒歩で島まで歩くことができた。
ところが島について修道院への坂道を登る頃には、潮が満ちて歩道が海に浸っていく。下の写真ではかろうじて歩道がまだ見えていて、ここぞとばかりに喜んでわたっている人がいる。その気持ち、よくわかります!
修道院への坂道はやや急だが、景色がとても美しい。また、修道院の中も見所が多いし、そこから下を見下ろすと四方が海でとても気持ち良い。
のんびりと修道院の中を見学して、帰るときには、島は完全に海に囲まれている。波の勢いも強い。僕たちも船で本土に戻った。
セント・マイケルズ・マウント
http://www.stmichaelsmount.co.uk
岸壁の劇場、ミナック・シアター
ペンザンス駅からバスに乗り換えて西へ西へ。見渡す限りの平原や、そこで草を食んでいる牛を見ながらバスに揺られる。コーンウォールは、イギリスでも有数の酪農地帯なのだ。バスで揺られること40分くらい、ポースカーノで下車し、少し坂道を登ると、そこにイギリス国内でも有名な劇場がある。それがミナック・シアターだ。ロウェナ・ケイドという女性が50年もかけて計画し、彼女の死後になって完成したという、海を臨む岸壁に作られた劇場である。
到着すると、思わず声が漏れてしまう。ちょうど眼下に見下ろす形で石造りの客席が広がり、その奥に舞台。そしてその向こうは押し寄せる波。ほんとだ。本当に、岸壁の上に立つ劇場である。今でももちろん使われている現役の劇場だが、僕たちが到着した時間はちょうど劇が終わり、子供たち対象の演劇ワークショップが開かれているところだった。楽しそうな子供たちを見ながらぐるっと劇場を一回りし、座って海を眺める。結構急な岸壁だ。こんなところに劇場を作ろうと思いたち、完成させてしまったロウェナを支えていた強い思いの正体は何だろう。そんなことを考える。でも、掛け値なしに素敵な劇場だった。
ただでさえ屋外劇場なのに海からの風や波の音もあるので、ここは役者さんにとってもチャレンジングな劇場なのだという。それでも、「いつかここで演じてみたい」という役者さんが後を絶たないのだそうだ。それもわかる魅力的な劇場である。いつか、夫婦でまたここにきて、今後は劇を見てみたいなと思う。
ミナック・シアター
地の果て、ランズ・エンド
ミナック・シアターからさらにバスで西へ15分ほど。イングランド最西の地が、その名も「地の果て」、ランズ・エンドだ。さすが大英帝国さまというか、自意識過剰な地名だなあと正直思う…。でも、三方を大西洋に囲まれたこのランズ・エンド。強い風を感じながら、どこまでも続く広大な海と、ヒースが咲き乱れる平原の景色を同時に楽しむことができる。
僕たちにはその時間はなかったけど、ハイキングを楽しむのも良い。
下の標識は、やはり写真を撮りたくなるなあ…。みなさん、ここで写真を撮っていらした。売店には日本語表示もあったものの、実際に来ているアジア系はうち以外は中国人ばかりという、時代の趨勢を感じる一幕も。
豊かな自然とが楽しめるコーンウォール
僕たちは一泊二日の小旅行だったので上記以外のところには足を伸ばせなかったけれど、コーンウォールは豊かな自然とケルト文化の影響が楽しめる土地である。アーサー王伝説ゆかりの地もある。ロンドンからは遠いけれど、デヴォン州エクセターまでくればあともう一踏ん張り。ダートムーアと一緒に数日間かけてまわるととても良いと思う。また、酪農で有名な土地なので、デヴォン州と同様にクリームティーとアイスクリーム(コーニッシュアイス)が美味しい。こちらもぜひ楽しんでください。
コーニッシュクリームティー
なお、クリームティーでは、先にジャムを塗ってからクロテッドクリームを塗るのが正しいコーニッシュ方式。エクセターのあるデヴォンシャー式とは逆なのです。