イギリスのナショナル・ライティング・プロジェクトUK(本家はアメリカ)が2011年に作成した「作者の権利」10か条を紹介します。個人的にはとても大事な10か条だと感じるのだけど、どうだろうか?
個人的にはとても納得できる10か条
エクセター大学のとある先生の研究室の扉をちらっと見たら、何やら気になるイラストが。見てみると、「作者の権利」と書いてある。有名なダニエル・ペナックの「読者の権利10か条」を受けてのものっぽいけど、この10か条がとても良かった。
- 書いたものを見せない権利
- 書き直したり、消したりする権利
- どこででも書ける権利
- 信頼できる読者を得る権利
- 書いている途中で迷って、どこに行くかわからなくなる権利
- 書いたものを捨てる権利
- 考える時間をとる権利
- 他の作者から借りてくる権利
- 実験をしたり、ルールを破ったりする権利
- パソコンを使ったり、絵を描いたり、紙とペンで書いたりする権利
※ポスターのオリジナルはこちら。
….読んでみてちょっと驚いたというのが本当。これ、ただの思いつきじゃなくて、本当によく考えられている印象。安全な場を作る、挑戦しやすい環境を作る、十分な時間を与える、他の作者の文章から学ぶ、良いフィードバックを得る、ツールの選択肢を与える…。自分の経験からも、これまで読んできた作文教育についての文献からも、どれも大事なことだと思うし、これが保証されている空間では結果として書くことが上手になる子が増えると思う。僕も授業でこの全てを実現するのは難しいけど、それは大人側の勝手な事情であって、本来はこの10か条がとても大事だと思う点は変わらない。
- 読まない権利
- 飛ばし読みする権利
- 読み終えない権利
- 読み直す権利
- なんでも読む権利
- 本の世界に染まる権利(ボヴァリズムの権利)
- どこで読んでもいい権利
- 拾い読みする権利
- 声に出して読む権利
- 読んだことを黙っておく権利
作成はナショナル・ライティング・プロジェクトUK
帰宅してちょっとググってみたら、イギリスのナショナル・ライティング・プロジェクトUKの作成らしい(下記ウェブサイト)。
ナショナル・ライティング・プロジェクト「The rights of the writer」 |
ナショナル・ライティング・プロジェクトは、下記エントリで紹介した本のもとになったプロジェクトもやっているところ。さすが、というべきなんだろうか。
僕も自分の授業でこれを紹介してみたい。そして、このポスターを研究室の扉に貼っている先生への興味もむくむくと。まだお会いしていない先生なのだけど、これはぜひアプローチしておかないと、という気がしてきた。どんな先生なのかな、楽しみ。