[記事紹介]「ICT&作文」で学ぶスウェーデン先進事例

国際大学GLOCOM(グローバル・コミュニケーション・センター)のウェブサイトで、スウェーデンのICT先進利用についてのレポートが無料で公開されている。4月に行われたイベントの報告なのだが、これがなかなか面白い。

 ▷「子ども1人1台 ICT利用のスウェーデン先進事例に学ぶ」 (国際大学GLOCOM)

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 上記リンク先から、資料とダイジェストレポートをダウンロードできる。

イベントは、スウェーデンのソレントゥナ市の教育委員会の方々による講演と質疑応答からなっている。個人的に一番面白かったポイントは、やはり「書くこと」に関わる以下の話だった。


ソレントゥナ市ではICTの活用を進めるうえでWTL(Write to Learn)というモデルを使ったのだそうだ。それは、次のようなサイクルを繰り返すモデルらしい。


(1)最初に目標を掲げる。どういう目標が達成されるべきかをしっかり書く。

(2)次の段階で、実際の学習に入る前に、学びというのは生徒にとって楽しいことだ、面白いことだと教える。

(3)そして、誰に向かって書くのか、何を書くのか、どういう形で書くのかというwriting strategy をつくる。

(4)実際に書いていく段階では、2 人のペアでやっていく。初めは口頭で、徐々に Googleドライブを使っていく。ソレントゥナ市では 1 年生(7 歳)の段階から Google のユーザーID を持たせていて、書いたものを他の子たちと協力してアップしていく。最初は
ペア2 人で協力して書いたものを、別のペアと共有して、さらに別の人たちと共有する。
そういうことによって、書くという行為を徐々に発達させていく。

(5)テキストができあがると、それを Google のホームページにアップロードする。そうすることで、それまでは先生に提出して、先生だけが読んでいたものを、多くの人が読む
ことができる。これが、結果を残すことができたキーポイントだという。

(6)最後に、生徒が何をどのように書いたかを、先生が評価する。 


 

書くことを通して学習成果をあげていこうとする意図が明白な取り組みだ。作文の授業を考える上で参考になる点もあるけれど、同時に7歳からグーグルID を作らせるというのにも驚く。

そして、面白いのはこの効果検証。3年生500人について①WTL モデルと ICT の両方を使った群、②伝統的な紙とペンを使っ
た群、③モデルは使わず ICT だけを使った群、の3群の学習効果を比較したところ、①→②→③という結果になったのだそうだ。狙いをはっきりさせずに下手にICTを使うと、かえって紙とペンより悪化する、という警告ともとれる結果である。

 それぞれの学校での事例、新しい技術が社会に導入される時にたどるハイプ・サイクルというモデル、「ICTに否定的な教員をどう説得したか」「保護者への対応は」という質疑応答など、他にも面白い話題がある。興味のある方はぜひ元のイベントレポートをどうぞ。

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