勤務校では、今は期末試験後の成績返却や各種イベント等が中心の期間。来学期は中1で図書館を拠点にした作文(調査レポート作成)の授業をするので、そのプレ的な授業をやっている。
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この学年でははじめての作文の授業なので、数日前の授業で書くことについての意識調査をやってみた。
これまでアンケート調査にはアンケートツクレールを使ってたけど、今回は試しにGoogleフォームで無記名調査。こちらはアンケート結果概要がリアルタイムで出てくるからすぐに結果を生徒に見せられるのがいいね。
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その結果はこちら。数値は「そう思う」「どちらかというとそう思う」の合計です。
「私はまとまりのある長い文章を書くことが苦手だ」:62%
「私は自分で書いた文章に満足できない」:70%
「私はどうすれば上手に書けるのかわからない」:67%
「私にとって書くことは意欲がわかない」:55%
「私には学校等の課題以外に書く機会がほとんどない」:72%
「私は他の同期生に比べて書くことが苦手だ」:71%
勤務校は進学校なので全国平均から言うと決して作文下手の集団ではないんだけど、作文に対してはネガティブな意見が多い。特に面白いのは、「自分は他の同期生より苦手」と思っている生徒が7割もいること。これはどうも「学力が高い集団にいると自分の学力に否定的になる」という「井の中の蛙効果」かも。きちんと相関係数をとったりはしていないけど、全体にかなり相関のありそうな数値群で、おそらく、こんなサイクルがあることが予想される。
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今日は、このアンケート結果を紹介しつつ、三学期の作文の授業ではこの「苦手サイクル」を断ち切ろう!という話をした。ここで注目したいのは、生徒が過去の「楽しかった・充実していた・役に立った」作文の授業について、そう感じた理由。
「自分にあったテーマ」で「材料が充分にあって」「構成の仕方」がわかっていると、充実した授業になる。これは、僕がこれまで読んだ作文教育関連の知見とも合致する。つまり「自分の好きなテーマで書けること」「書く内容があること」「その内容の書き方を学んでいること」がわかることが、「楽しい・充実する・役立つ」作文の授業の必要条件になる。だからそこは当然僕も意識して授業を作るつもり。
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しかし同時に面白いのは、過去の「苦労した」作文の授業の理由についても聞いたところ、「書くことが思いつかない」がトップだったこと。
そう、「自由に、自分の好きなことを書いていい」は、やりがいの源泉であるとともに、困難の理由でもある。ここが作文の教師の考えどころ。自由に書かせるか、課題を与えるか。
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ライティング・ワークショップにシンパシーを抱いている僕は、もちろん断然前者の立場。こちらで課題を与えると、自分の興味が持てない話題で無理に書かされた生徒にとって、作文が「効率的に処理するタスク」になってしまうからだ。そうなったら最後、義務感だけで仕方なく作文を書く生徒が目標にするのは「締め切り間際でやっつけ仕事をしてできるだけ最小の労力で課題をクリアすること」や「うまいタイミングで改行して原稿用紙の指定の枚数をウリアすること」だったりする。また、文章上達のためには「他者の視点」で作文を読んでもらい、その視点を内面化することが大事なのに、「書きたい気持ち・伝えたい気持ち」がないと、他の人に読んでもらって校正するモチベーションだって出てこない。
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生徒に自由に書かせること、その上で、生徒が本気になって書ける題材探しができる環境を、時間の余裕や、周囲のヒントになる材料も含めて整えること。これが、「作文苦手サイクル」を断ち切るポイントになると思う。本格的な授業は三学期。頑張ろう!