「書く前」80%、「書いた後」15%、「実際に書く」5%

「文章を「書ける人」と「書けない人」のちがいというブログ記事をSNS経由で知った。元記事は2013年のものだ。

  ▷ 文章を「書ける人」と「書けない人」のちがい

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ここで「文章を書くという仕事は、ゼロを1にする作業と思われがち」だが、「しかし実際には、文章を書くというのは100を1にする作業だ」と言っているのが面白い。記事ではその理由を次のように説明する。

文章屋が仕事をしてるのは、キーボードを叩いている時だけではない。

まず情報を集める段階がある。つぎに、集めた情報を組み合わせたり取捨選択したり……知識と格闘する段階がある。それから、情報をどのような順序で見せるか、文章の配列を決める段階があって、さらに文章の枝葉まである程度固めて……そこでようやく、キーボードに向かうことができる。文章屋がペンを握ったときには、もう作業の8割がたは終わっている。実際にキーボードを叩くのは、「文章を書く」という工程全体の5%ほどだ。

では、残りの15%は?:推敲と校正だ。 


これはもちろん主観的な数字だけど、「書く前」が80%、「書いた後」が15%、「実際に書く」が5%という数値には説得力を感じる。もちろんジャンルによって異なるのだろうが、少なくともレポートのような伝達文の場合、「書く前」の、構想を練って取材してアウトラインを組み立てて…ができてしまえば、あと書くのはただの作業なので、とても楽。
実際に、書くことについての初心者と熟達者の違いは「書く前」と「書いた後」にどれだけ意識を向けるか、という研究結果もあるそうだ(「らしい」というのは、引用されたのを読んだだけで元々の研究を確認してないので)



したがって「書くこと」を教える時、その大部分は「書く前」を教えることでないといけない。書くためには書くことを決めないといけないし、色々な情報を集めて読まないといけないし、それを組み立てないといけない。しかし実際のところ、一番必要であるにもかかわらずどうしても手薄になりがちなのもここの指導。

実は、三学期はまるまる作文の授業。プロセスに沿って教えるので、一時間目は書く前の「問いをつくる,練る」段階。この分野では宅間紘一『はじめての論文作成術 問うことは生きること』という名著があるので、この週末で読み直そうと思う。



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