先週末、一泊でパリに行ってきた。主目的はフランス留学中の勤務校卒業生たちとの交流だったのだけど、帰国前にパリ市内ポンピドゥーセンターの中にある「公共情報図書館(Bibliothèque publique d’information. 通称Bpi)」に立ち寄ったので、簡単に報告してみる。ざっくり言うと、市民向けの「情報センター」特化型の図書館でした。
なんと行列待ち25分…大賑わいの大型図書館
パリ中心部のポンピドゥー・センターは、歴史的建造物に囲まれたパリ市内で、パイプが異彩を放つモダンアートの建築。人々で賑わう広場側の裏手通りに出ると、ずらっと行列ができている。それが図書館の入場待ちの列だ。僕が行った日は他のお店の多くが閉まる日曜日ということもあってか、列が角を曲がるところまで続き、持参したランチパックを並びながら食べてる人もちらほら。
結局、25分待ちで中に入ることができた。手荷物チェックを受けて(これが行列の一因?)、ようやく中へ。
とにかく広いフロアに多くの種類の情報が!
Bpiは全部で3階建て。1万㎡という広大なフロアに、35万冊の本、13000のCD、2500の雑誌、7000の地図、2000の楽譜、2000のオーディオファイル、2250のドキュメンタリー・フィルム、250のアニメ…などなど、とにかくたくさんの情報が集積している場所だ。他に、自習用のソフトウェアやチュートリアルが1200、ピアノ2台、過去に開かれたイベントのアーカイブまである。
普通の公共図書館では、一階のエントランス近くには、インフォメーションのほか、人が集まるような新刊情報・イベント情報・雑誌コーナーがあることが多い。このBpiでは、一階の中心になっていたのは雇用情報のコーナーだった。他にも雑誌や漫画のコーナー、ビデオコーナーもあったが、雇用コーナーが入ってすぐにある、というのが、利用者層や利用のされ方を表しているような気がする。
二階、三階に上がると、とにかく広い!広大なフロアに整然と書架と机が並び、大勢の人がそこで作業をしている。勉強をしている学生さんも多い。2階は0類から6類までの本棚に新聞コーナー・テレビ視聴コーナー、3階は7類から9類までの芸術・文学系の本棚に、CD・レコード・映画の視聴コーナー(視聴コーナーがある図書館ってわりと珍しいんじゃないだろうか)、映画のレビューを集めたコーナーなどがある。どちらのフロアも、「居心地の良さ」や「雰囲気」重視というよりは、実用的で機能的なデザインが印象に残る。そして閲覧席はほぼ満席!
児童書コーナーはなし。大人向けの学習・情報センター
一通り見て児童書コーナーがないなと思ったのでスタッフの方に聞いてみると、実際にないのだそう。児童用エリアがないだけでなく、児童向けの本自体を置いていない。なるほど、小さな子連れの家族を見ないわけである。同じ「市民の生活に密着した図書館」とは言っても、12月に訪問したデンマークの公共図書館+スウェーデンのマルメ図書館とはずいぶん考え方が違うのが面白い。
ここにある資料は基本的に閲覧専用。よく学校図書館の機能を説明するときに「読書センターと学習情報センター」という言い方がされるけど、Bpiはまさに「大人向けの学習情報センター」機能に特化したような施設だ。パリ市民の学習や情報収集の場という個性がとてもはっきりしていて、面白い図書館だった。