[記事紹介]暗記学習はどんどん個別化されるべき!

以前に受験勉強の個別化の流れがあるというこのエントリを書いた。

受験勉強の個別化の流れ

2015.06.29

これと同じような傾向の記事で、Ankiという反復暗記学習用のソフトを使ったアメリカでの教育実践の事例が次のサイトで紹介されている。英語のもとのサイトはちらっとしか見ていないけど、GIGAZINEを見る限り、なかなか面白そうな実践。

 ▷ 高校の授業で反復練習ソフトウェアを使ってみた結果、こうなった (GIGAZINE)
 ▷ A Year of Spaced Repetition Software in the Classroom (Less Wrong Discussion

面白いなと思ったことの第一は、Ankiというソフトそのもの。You Tubeにもチュートリアル動画がいくつかアップロードされている。「難易度や重要度に応じて同じ問題を繰り返し出題できる学習ソフトで、間違った問題や重要な問題は短い間隔で、正解したり重要度の低い問題は長い間隔で出題させるなど、反復して出される問題の出題頻度を調整できる」のが特徴で、英単語暗記などの目的で、すでに活用しているユーザーもいるようだ。日本語による解説サイトもあった。

 ▷ はじめてのAnki – まず使ってみる

まだ使い方などは全然把握していないけど、ちょっと面白そう。一人だとハードルが高そうなので、どこかで使い方を学べるワークショップなどないかなー。

また、上の記事で紹介されてたアメリカの先生の実践も工夫されてるなと思う。特に、宿題にしないで授業中に時間をとったこと。個別化した暗記学習の時間をとるという点では、アトウェルのスペルの学習とも共通点がある。

[ITM]文法や書き取りの学習はどうしている?

2015.06.12

実践の結果として、学力の高い層と低い層には効果的だったが、中間層にはあまり効果がなかったというのも面白い。これはなぜだろう?

いずれにせよ、こうやって、授業をやりながら結果について考察して授業改善していく感じ、僕のやりたいイメージに近い。参考になる。

暗記学習は、ベースになる知識や暗記能力が人それぞれである以上、全員一律に課してもあまり意味がない。おそらく、一番無意味なのが「範囲を決めて全員に一律の作業を課すこと。例えば、すでに漢字を覚えている生徒にとっては、「ノートに決められた漢字を10回ずつ書いてくる」宿題はただの苦役だし、10回という回数だって、全員にとってその回数が必然性があるとは思えない。

本当は、その子が覚えていない知識や間違えやすい知識のみを、忘却しないための適切なタイミングなども考慮しつつ繰り返すことが望ましい。「忘れないタイミング」をはかる簡単なやり方は、例えば、次の読書猿Classicさんのサイトで紹介している「工程表」というやり方でも実現できる。

 ▷ 1年の計はこれでいく→記憶の定着度を4倍にする〈記憶工程表〉の作り方 
                            (読書猿Classic)

でも、ソフトを使ってその人のデータを蓄積することで、より個別に「その人が間違えやすい知識のみを、その人が忘れにくくなるタイミングで」暗記する学習ができるんじゃないかと思う。そんなアプリもすぐに開発できるはず(あるいは僕が知らないだけで、すでに開発されてるはず)。

そうしたアプリが普及する頃には、「週1回の英単語テスト」「毎月の漢字テスト」なんて、きっとナンセンスなものになっているはずだ。暗記学習は、どんどん個別化すべきだし、実際そうなっていくのではないだろうか。

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