In the Middle読書日記。今日は下のエントリに引き続き「評価」の章の、教師からの評価の部分(pp300-311)。
アトウェルの学校では、生徒が学期末の「評価ウィーク」の期間で自分たちのポートフォリオと自己評価を作った後で、教師による評価を行う。前にも下のエントリで書いた通り、アトウェルは個々の作品に何点とかAとかの成績をつけたりしない。
したがって教師評価の中心は、生徒の作品に成績をつけることではなく、生徒の経験と成長を記述することにある。で、まあこの記述がすごいのだ。生徒がこの学期でできるようになったこと、書き手/読み手としての強み、これから挑戦すべきこと、次の学期の達成目標が、こと細かに記述されている。
写真はアトウェルが一学期にある生徒に書いた教師評価。毎学期、全員にこれ。見た瞬間「あ、もうこんなの無理」と思わず笑ってしまいますよね…。
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しかも、この教師評価を渡して終わり、ではない。生徒の自己評価と教師評価を合わせて、教師と生徒、そして保護者との「評価カンファランス」が開かれる。この三者面談についてはあまり詳述されていないのが残念だけど(保護者が絡んでくるので詳述しにくいのかな?)、生徒が主導してポートフォリオの説明をして、教師がそれを受けて次の学期の目標を一緒に設定するものらしい。ポートフォリオは保護者が持ち帰り、熟読するのだとか。
更に、年度末にはこれに加えて生徒の読み書きの長所と短所が記述されたレポートが作られ、翌年に引き継がれる仕組みである。
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これを読んでまず思うのは、決してこのまま真似できないし、真似してはいけないということだ。こっちの体が潰れてしまう。でも、一つの作品ではなく成長のプロセスを記述すること、一人ひとりの生徒を見とること、保護者を巻きこむことなど、学べることはたくさんある。また、最後に次学期の目標を一緒に設定するのもいいなと思う。
ちなみにアトウェルも自分の学校を設立する以前には普通の公立校に勤めており、生徒にグレードをつけていた。 その時には、ワークショップのシステム(毎日20ページ読んでくるetc)や個々の目標を達成した程度やレター・エッセイを中心にしてA〜Dの成績をつけ、その後で次学期の目標を設定していたらしい(pp310-311)。現実的には、こういうほうが取り入れやすいかもしれないな。