アメリカのメイン州に到着。明日から4日間、アトウェルの学校を見学します。

土曜日朝にロンドンに行き、飛行機でニューヨークへ。そしてそこからさらに飛行機と長距離バスで、アメリカ北東部のメイン州エッジクームに来ている。ナンシー・アトウェルが1990年に設立した学校Center for Teaching and Learning(CTL)があるところだ。

[読書]アトウェルの学校はどんな学校? Nancie Atwell. Systems to Transform Your Classroom and School

2016.03.19

今日の夕方、ようやく学校近くのCod Cove Innという素敵な宿に入った。

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目的はもちろん、明日からのCTLでのインターン(授業観察)。CTLの二人の先生のライティング・ワークショップとリーディング・ワークショップを見て、放課後に授業観察の参加者同士やCTLの先生たちと話し合って…の4日間。休職する今年しか参加のチャンスはないと思っていたので、選考の通過通知をもらった時は、留学先の大学からの合格通知よりも嬉しかった。

来春、アトウェルの学校に見学に行きます!

2015.08.07

In the Middle第二版を読み始めた8年前

今回の旅行には、僕が初めて読んだ彼女の本、In the Middleの第二版(1998)を持ってきた。どのページにも日本語の書き込みがたくさんある。2008年の2月に他の中高大の先生方とのメール読書会の形で読み始めたのだけど、何しろ僕には英語を読むのが大変で、30分かけてやっと1ページというとても遅いペース。みなさん忙しくて読書会も途中で頓挫したので、後半は一人で継続。結局、本文484ページを読み終えた日付は、2年後の2010年2月6日になっていた。

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国語教師の僕が英語の本を読むようになったのはこの本の影響。英語が苦手でも、読みたい、もっと知りたいと思わせる力が、この本にあった。いわゆる「伝統的」な(日本の、とは書かない。アメリカでもイギリスでも同じみたいだから)国語教育のスタイルとは違う、生徒の活動中心の読み書きの授業のやり方。たくさん読み、たくさん書くこと。生徒に主導権を渡すこと。そのベースにある考え方。生徒に任せることと教えることの間にある教師の迷い。2008年から2010年の僕は、そういったものを、この本の読書と自分の授業を通じて理解しようとしていた時期だった。

ただ、今振り返ると、この時期は、彼女の授業の基本的な考え方がまだよくわかってなかったとも思う。例えばライティング・ワークショップの「作品ではなくて書き手を育てる」という考え方を自然に受け入れられるようになったのは、けっこう最近のこと。授業形式としてはいったん離れてみたり、でも継続してアトウェルや他の著者の英語本を読み続けてみたりして、最近はこの考え方が前よりも体になじんできた。アトウェルと同じ授業はできなくても(実際、日本の平均的な学級規模や制度の中でやるのは相当無理がある)、その考え方の根っこの部分を参照しながら授業をするような感じだ。

プラスとマイナスの感情が詰まった本

8年前にアトウェルのIn the Middle第二版を読まなかったら、当時の試行錯誤も、今の僕の授業もなかった。作文教育関係の英語の本を読み続けることも、その延長で留学することもなかった。家族とエクセターで素敵な一年間を過ごせることもなかった。英語力だって、あの時にアトウェルの本に出会わなければ、英語とは縁がなく過ごしていたはずで、少なくともあの当時よりはずっと上達してる。英語の本や論文を読むことで世界が広がるのは事実だから、これも良かった。

一方、あの当時は「家族に割く時間は余計」とばかりに仕事一辺倒で、でも半ば義務感もあって育児にも精一杯関わろうとしていたから、張り詰めていて、妻との仲もあまり良くなくて、僕自身もこの本を読み終えた半年後から過労で入退院を繰り返した。それで、「残りの人生、もうああいう生き方はやめよう」と気づかされた、そんな時期でもあった。その後の仕事への複雑な思いは下記エントリに書いたけど、今の僕は「家族との時間を犠牲にしてがむしゃらに働く良い先生」には二度となるまいと思っている(同時に、「若い頃はそういう仕事だけの時期があったほうが良い」的な忠告も決して言うまいと思っている)。やっぱり、あの時の僕は、自分の人生にとって何が大切なのかわかっていなかったのだ。

仕事と家庭のバランスって? 今年一年を振り返る。

2014.12.31

8年後の今、何を感じるのか。楽しみと不安

いま、この本のページをめくっていると、そういうプラスマイナスの両方の感情が一緒に湧き出てくる。つまり、僕の人生にとってとても大切な本だということ。8年前にこの本を読み始めた時には、8年後にアトウェルの学校に来て、彼女に会えるなんて、夢にも思ってなかった。

この8年間、アトウェルとは随分たくさん話をしてきた。だから初対面という感じではない。でも、いよいよ彼女の学校で、彼女の作ったものを見られるんだ、本人にも会えるんだと思うと、楽しみと同時に、なぜかざわつく不安な気持ちもある。

明日からの4日間。僕は、何を、どういう風に感じるのだろう。とにかく、この8年間の自分のためにも、精一杯頑張ろう、とだけ思っている。

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2 件のコメント

  • 不安感・・・憧れていたり、目標にしていたものは、自分の中で想像がひろがり、自分を通して解釈していたりするので、体験することへの期待の反面、違和感がでることも考えられ、そこに不安?のような感情がでるのかもしれませんね。とにかく楽しんでください。偉そうなコメントになってしまいました。

    • ありがとうございます。とにかく体調を整えて、いろいろなものを見て、感じて、楽しみたいと思います!