「こうすればうまくいく」が見えてきた!? ライティング&リーディング・ワークショップ

軽井沢風越学園は、いま、年度末の評価の時期。僕の受け持つ6・7年生国語でも、授業中に一人10分の面談(評価カンファランス)をしている。面談までの流れは、下記エントリに書いた通りだ。今回は、主に前回の面談時に各自がたてた目標に沿って振り返ってもらい、読み手・書き手としての現在地を確かめてから、また新年度に向けた目標を設定しているところ。自然と、僕も自分の授業を振り返っている。

写真は、小諸の「みつばち」というお店のいちごヨーグルトパフェ。図書館のそばにある安くて美味しい甘味処なので、よくお世話になってます…

自分なりの理想の評価プロセスと、その課題。

2020.10.23

実は初めて!通年のライティング&リーディング・ワークショップ

これまで『増補版・作家の時間』に寄稿したり『イン・ザ・ミドル』の翻訳に関わったりと、一人前の「ライティング&リーディング・ワークショップの実践者です」みたいな顔をしていたけど、これまでは一斉授業の単元と組み合わせていたので、実は、通年でライティングとリーディングのワークショップをやるのは初めて

で、通年でやってみた結果、「ライティング・ワークショップとリーディング・ワークショップをどちらも通年でやると、こんなにわかりやすく力がつくのか」と率直に驚いている。手前味噌になるけど、学校が始まった2020年6月に比べると、多くの子が明らかに読み書きの力をつけているのだ。読んでいる本のレベルが上がり、文章も上手になっているのだ。残念ながら「全員が」とは言い切れないのだけど、それでもこれだけ多くの子の力の伸びを実感するのは僕の教員人生でも初めてだったので、忙しいながらも充実感があった。やっぱり、この実践はすごいなあ。この手応えは大事にしたいな。

「力が伸びる条件」はこんな感じ?

そして、特に力がついたな、伸びているな、という子には共通点があることも感じられた。ああ、こういうポイントを押さえるといいのかというのも見えてきたので、これも忘れずに書いておきたい。

一定の分量を読んでいる

最低限の条件が、一定の分量を読んでいること。やはり読書量はとても大事で、これが一定ラインを超えないと質に転化しない。僕は毎日30分の読書を受け持ちの子に呼びかけているのだけど、伸びている子は、単純に良く読んでいる。

こちらのおすすめの本を読んでいる

読書教育研究でよく言われているように、読書が力になるためには、適切な難易度のレベルの本を、幅広いジャンルで読むことが必要になる。子供達は自分で本を選ぶのだけど、それだとどうしても平易な本、自分の好みの本になりがちだ。そこで僕がカンファランスを通じて、読む幅を広げるためのノンフィクションを紹介したり、その子の読書レベルを少し上げるための本を紹介したりする。手前味噌のようだけど、そういう本を読んでくれる子は、やはり順調にステップアップしていくのだ。

そしてこの時、その子の理解度を確認することや、その子に適切な本を紹介することが教師の腕の見せ所で、カンファランスの肝でもある。カンファランスは、子どもを「読書のストレッチ・ゾーン」に導く大事な手段なのだ。だからこそ、教師は読み手としての子どもについて知っていないといけないし、何よりも、多くの本について知っていないといけない。

読むことと書くことをつなげている

文章がうまくなっていく子は、読むことと書くことを意識的につなげている。新聞投稿欄を読んでその構成を真似て書くことができる。お気に入りの作家の語り手を真似て自分でも物語を書いてみる。この「真似ができるかどうか」が書き手としての力量向上にはとても大きい。

この時に効果的なアイテムが「読書ノート」「作家ノート」なのだと思う。読んだ本についての自分の考えや書き方の特徴、技法などを「読書ノート」でアウトプットすること。そして、それを自分で実際に使ってみる時に「作家ノート」で試行錯誤して書く時の負荷を減らすこと。読書ノートや作家ノートは読み書きをつなげるためのアイテムなのだ。この2つのノートを活用できる子は、スムーズに読みと書きを連動させて、力をつけていく感じがある。

「読み手」「書き手」としての自分を知っている

最後に、これがすべてのベースなのかもしれないけど、「読み手」「書き手」としての自分を知っていること。僕の授業では、毎回の作品提出後に作品やそのプロセスへの振り返りを書いてもらい、半年に一度、その期間に自分が「読み手」「書き手」として学んだことについても振り返ってもらう。当たり前なんだけど、力のある子は、この振り返りのシステムにうまく乗ってくれて、記述が充実している。自分の書き手・読み手としての好み・変化・得意なことや苦手なこと・次に自分にとって挑戦するといい目標をきちんと書けるのだ。それができるからこそ、設定した目標に向けて努力し、さらに力をつけることができるのだろう。

自分なりの理想の評価プロセスと、その課題。

2020.10.23

どうやってこの4条件を整える?

一応自分なりの手応えとして、次の条件が整うと良さそうと思ったところで、次の課題は「どうやってこの条件を整えていくか」ということになる。それには、僕の授業の足りないところを補う必要もあるだろう。

  1. 一定の分量を読んでいる
  2. こちらのおすすめの本を読んでいる
  3. 読むことと書くことをつなげている
  4. 「読み手」「書き手」としての自分を知っている

例えば、1の分量について。読んでくれない子にはどうしたらいいんだろうか。僕の授業は、基本的にすごく地味だ。淡々と読んで、淡々と書いていく。取り立てて興味を引く工夫とかもしていない。力がつくことが実感できれば、楽しいかどうかはともかく、手応えは得られるはずで、それで良いと思っているところもある。まあ、僕は「淡々とやるべき仕事をする」ってすごく大事だと思っているし、僕のキャラとしてそういう授業になるんだと思う。

ただ、校長でありこの実践の先駆者である岩瀬さんには、「あすこまさんと僕やKAIはやり方が違うけど、少なくとも小学生には仲間が必要」とも言われている。これはその通りで、僕の授業はあまりに1対1のアプローチすぎて、1のようにそもそも本を読んでくれない子に対しては無力なのも確かだ。そういう子には「周りの子が読んでいるのに引っ張られて読む」みたいな、関係性のアプローチも必要なのかもと思う。

3の読むことと書くことを繋げるにしても、効果的な作家ノートの書き方とか、もっと共有していけクラスで広めていけるはず。そのために、今、作家ノートを集めている。この春休み期間に分析したいところだ。

さらに、4の振り返りにしても、現状は「できる子はできる」みたいな感じになってしまっている。個別にサポートはしているのだけど、どうしたらみんなが着実に力をつけていけるか。もっと質問を細分化すればいいのかどうか。工夫の余地はある。

おすすめしにくいけど楽しい…

今回、通年でライティング&リーディング・ワークショップをやって、上記のような改善点はあるけど、全体としては、「この実践ってちゃんとやるとこんなに力がつくんだ」という驚きの方が大きかった。もちろん国語教師としての仕事ができた充実感もある。

もちろん、やっぱりこの実践はハード。率直にいって、一般に広まるのは難しいだろう。だって、毎回のカンファランスの記録を取り、日々子どもたちにオススメできるような本を探すために毎日読書して、作品ができたら全員の作品を読んでコメントを書き…と、通常の国語の授業に比べて負担が大きいのだ。かといって、単に生徒が読むに任せ、書くに任せていては、あっという間に「形だけのライティング&リーディング・ワークショップ」になってしまう。特に小学校の先生たちは国語の授業に自分の身を捧げているわけではないので、教科書をやっていれば国語をやったことになるシステムもすごく優れていると(皮肉でなく)思っている。

でもね、どんなに大変でも、これだけ生徒の力の伸びを実感できる実践はいいな、というのも本音。加えて、子供たちのいろいろな作品を読むのは楽しいし、自分の好きな本、価値があると思う本を次世代に手渡せる喜びもある。それがまたその子の書くものに反映されていき、読み書きのサイクルが回ると、相乗効果で力が伸びていく道筋も見える。おすすめはしにくいけど、でもやれば楽しい。そんな実践だなと思う。

僕の残りの国語教師人生は、ライティング&リーディング・ワークショップ実践者として生きるのだと思う。この道を選んだからには、もっともっと授業をよくしていきたい。一年目で手応えを得られたのだから、次はもっといける。来年の授業も頑張ろう。

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