「エッセイか小説を書く」ことが課題のライティング・ワークショップの授業は、昨日で3回目が終了。ここまでは序盤戦の位置づけで、カンファランスでも「全員と一度は声を交わす」ことを目標にやってきた。そろそろ文章を実際に書く生徒が増えてきた。
そろそろ具体的な問題が出てきた
3回過ぎると、大福帳に書かれるコメントもだんだん変わってくる。ネタ探しに読んでいた本のこと、アイデア出しのこと、書くことへの不安などの記述が多かったのが、徐々に「文章をだらだら書いてしまう」「まとめ方をどうすれば」「会話がうまく書けない」などの、文章表現の具体的な課題が増えてきた様子だ。
生徒も僕もここからが勝負かな、と思う。生徒が具体的な課題があることを書いてきたということは、「良い作品を書こう」という意欲があり、「でも、どうすればいいかわからない」という状況にあるということ。これまでの僕は安心して書ける環境の構築に意識を置いていたけど、これからは、そういう環境を構築しつつ、どうやって書く力を伸ばしていくか、ということにも意識を向けないといけない。
「教えること」を頑張りたい
もちろん40人×複数クラスを持つ中高の国語教師が、カンファランスで完全に個別のニーズに応えるのは不可能だ。でも、だからと言って「教えること」を諦めてはいけない。「自分でここまではできる」ということを確認しないで、安易に(?)「楽しく書けばいずれ上達する」とか「生徒同士で教えあおう」という方向に行きたくはない。奇抜なアイデアのない自分としては、「ここまではできた、でも、これ以上は自分には無理だから、別の方法を考えよう」という点が見えるまで、やってみたい。
ナンシー・アトウェルも次のように言っている。
ライティング・ワークショップの両輪は、教師の知識と、生徒の自己決定です。私は、自分が教える書き手たちの選択、意図、必要を尊重しながら、同時に彼らに対応し、導き、成長する方法を示しています。日々探究しているのは、このちょうど良いバランスです。(p16)
書き手に自己決定を与え、書き手が自分で設定した文脈の中で、教師が自分の知識を授ける。生徒の自由と教師の教えることのバランス。個別のカンファランスや、クラス全体や小グループでのミニレッスンを使い分けながら、今学期は「教えること」にチャレンジしたいと思う。