In the Middle読書日記。回想録のミニレッスンの中でちょっと面白いものに「映像を作る(Make the Movie)」があった(p441)。読者が入りこめる描写をどう作るかというレッスン。アトウェルの指示が面白いので、ちょっと引用してみる。
1.目を閉じて集中しましょう。
2.プライベートで映画を作るように、頭の中で場面を想像しましょう。その場の状況は、あなた自身は、物語の中に出てくる人は…。行動をリアルタイムで、見て、聞きましょう。
3.目を開けて、頭の中の映像を紙に写しましょう。見えたものや聞こえたもののディティールを、一つの枠に連続して書きましょう。下書きの時には、目を閉じて映像を思い浮かべ、あなたが見たもののうち感覚的に際だったものを書き留めなさい。
推敲する時には、目を閉じて、より豊かなものを見て聞くようにしなさい。行動、それへの反応、身振り、表情、対話、声のトーン、色、それ以外の見た目のディティール…。
仕上げの時には、目を閉じて場面を思い浮かべ、それをあなたの書いた文章と照らし合わせてみなさい。特に動詞と。あなたが使っているその言葉は、あなたが頭の中でイメージした絵や音を思い起こさせるもになっている?
普通なら「頭の中で音や景色をイメージしてごらん」ですませてしまいそうなところを、実に具体的に、段階ごとに細かく指示している。特に毎回「目を閉じて」と言っているところが面白い。
アトウェルに言わせると、これは「大変だけど効果は保証する」方法なのだそうだ。「誰も教室であなたを変に思ったりしないから、やってみて」と結んでいる。
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ところで…この指示の細かさ、大村はまの事細かな手引きを連想させませんか。僕は勝手にアトウェルを「アメリカの大村はま」扱いしているのだけど、単にやりなさいと言うのではなく、具体的にどうすればできるのかわかる形で指示するのも、二人の共通点なのかもしれない。