[ITM]地域とつながる!Advocacy Journalismを書く授業

In the Middle読書日記。終盤のpp530-540にかけて紹介しているジャンル「Advocacy Journalism」が面白い。日本語でどう訳せばいいのかわからないのだけど、自分の主張を根拠とともに周囲にアピールする文章である。そんなの普通じゃん、と思われるかもしれないけど、実際の授業の進め方が面白いのだ。地域のNPOとつながっているのである。



 まず授業の前提として、アトウェルはこの授業用に毎年750ドルの資金援助を獲得しており、このうち250ドルずつを3つのNPOに寄付することになっている。そして、この寄付先を決めるにあたって周囲を説得するAdvocacy Journalismを書く、というのが授業の枠組みである。

この授業、生徒はまずアトウェルの学校があるメーン州にあるNPOを調べるところから始まる。NPOを調べて、「どこが援助としてふさわしいか」という観点で、いくつか候補をリストアップしていくのだ。リストアップが終わると、良いAdvocacy Journalismの評価基準を作ったり、Advocacy Journalismを書くプロセスを学んでから、いざ本番。生徒が自分で電話のアポイントメントをとり、実際にインタビュー取材に行くのである。もちろんこのプロセスには、アポをとる電話のスクリプトを作成したり、良いインタビューの仕方や質問作りをするピア活動など、アトウェルの指導がしっかりと入っている。

取材後、生徒は「そのNPOが資金援助の対象としてふさわしい理由」を主張する文章を書く。読者は同じCTLの下級生たち。生徒たちが書かれた文章についてレイティングをつけて(このレイティングも、生徒が事前に作った評価基準で行う)、上位3つのNPOが見事に寄付金250ドルを獲得する、という流れなのだ。

これ、リアルな場のある実践で大変おもしろい。生徒が地域の団体や企業に取材にいってまとめるという授業は日本でも珍しくないと思うけど、NPOの寄付先を競うという仕組みが面白い。生徒も学校外の世界に実際につながることで本気になるし、取材されるNPOの側も自分の団体の良さや寄付の必要性を本気でアピールするだろう。取材する側だけでなく、取材される側にとっても「必然性」のある場を設定することは、大事で、でもとても難しいことだ。こういう授業実践を、いつか考えてみたいものだなと思う。

 

 

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