大学には外国からの留学生が多いので、お互いの国の教育話には興味津々。先日、各国のカリキュラムを専門にしているサウジアラビアからの院生さんが「日本にはナショナル・スタンダードはあるのか?」と聞いてきた。「厳密なスタンダードというより、ガイドラインならある」「しかし日本の教育省のサイトでそれを見つけようとしたが、見つからなかった。日本は英語を必要としない国だから英訳を載せていないのか?」「ちょっと待って、探してみるから」というやり取りがあった。
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で、探してみると文科省のウェブサイトの英語版はあった。ただし、大幅に簡素化された、日本の教育の一般的な情報しか載っておらず、そこには学習指導要領についての記述はない。
じゃあ、学習指導要領の英訳はないのかというと、探したらこれがあったのである。ただし、英語版サイトではなく、日本語版サイトのほうに、だ。(しかも高校のは、中身は英語外国語のみと、やる気がまるで感じられない)
▷ 小学校学習指導要領英訳版(仮訳)
▷ 中学校学習指導要領英訳版(仮訳)
▷ 高等学校学習指導要領英訳版(仮訳)
うーむ、と思ってしまった。中身のPDFファイルが英語だとしても、そこにリンクする入り口が日本語だと、結局は日本語ユーザーしかこのファイルに到達できないのではないか。英訳版を載せるなら、なんで英語ユーザーも見られる場所においておかないんだろう。
今のままだと、一番可能性が高そうな利用シーンが、日本の英語教師etcが英語話者の外国人に日本の学習指導要領について説明する時に使う時かな。でもそれだと、せっかく日本の教育制度に関心を持ってくれそうな外国の人が自力でたどりつけないじゃないの。日本の教育を海外に「輸出」しようとする動きすらある中で(そのこと自体への賛否はおいても)、なんだかおかしなな扱いだなあと思う。もうちょっとうまくアピールすればいいのに。
▷ 掃除当番・給食…日本型教育を輸出へ 海外「規律養う」(朝日新聞)
もしかして「(仮訳)」の「仮」がとれる頃には英語版サイトに移るんだろうか。せめてそれを期待したいところ。でも、もし文科省に知り合いのいる方がいたら、なんだか変だよってお伝えください。