先週末で、非常勤先の大学での「学習指導と学校図書館」の授業が終了した。授業の後半は「各自で探究型学習の単元を考える」ことを柱にしていて、最後の授業はその中間発表会だった。各自で8ページずつの授業用小冊子を作ってきて、それを使って授業案を説明し、質疑応答し、フィードバックをもらう形式だ(この後、フィードバックを活かして最終提出へと進んでいく予定)。
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以下の二つのエントリにも書いたように、今年度は、この大学の学生さんたちに合う授業がどんなものなのか試行錯誤しながら進めていた。
新学期開始前には前任者の方にも助言を頂いて、教える内容を絞ることに。探究型学習を進める時にどんな支援が必要なのかを、まずは「体感」してもらう形式にしたり、授業中にとにかくこちらから名前を読んで積極的に関わり、個別に話をする時間も作ったりした。
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もう一つ、今回は「そもそも図書館使わない」「司書教諭になるつもりがない」(でも教職の必要単位数に数えてもらえるから受講した)という学生さんがけっこう多くて、そういう学生さんたちに何を教えるべきなのか、という点でも考えさせられた。せっかくだから、卒業するまでに、自分たちの大学図書館も使えるようになってほしいしね。高い授業料のうちなのだから、もったいない。図書館での実習の時間を増やして、何より彼らが本や新聞やデータベースに触れるように。
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そういうわけで、「探究型学習の単元を構想する」という課題はあったものの、司書教諭育成というより「まずは図書館のユーザーになろう」的な趣きの授業になってしまった今回。でもまあ、前回までよりは良いかな。受講者数が授業をしやすい人数だったこともあり、一人ひとりの様子を見ながら授業を組み立てられたと思う。うん、ひとまずはよく頑張った。
3年間依頼していただいた仕事だけど、なにぶんこの後は僕が海外に行ってしまうこともあり、来年度また依頼をいただけるかどうかは微妙。いただけたら嬉しいけど、ひとまず、心の中では一区切り。
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ところで、授業の最初の4月頃に、「自分は本を読みません。他人の考えに支配されるのではなく、自分の頭で考えたい」と言っていた学生さんがいた。ぱっと見た限りはやる気ない様子の学生さんなのだけど、個別に話をすると、ゆっくりと、少しずつ話してくれる人だった。課題にしても、とても時間がかかるので、他の学生さんと同じペースでというわけにはいかなかったけど、こちらや周囲の受講生の励ましもあって、最後までなんとか課題を出してくれた。授業者としても気になる学生さんではあったので、この授業を通じて何度か話をする機会があり、その中で「自分の頭で考える」ということについての僕の考えなども語ってきた。
その彼が授業終了後にメールをくれた。この授業が自分には難しかったけど楽しかったこと、半年間のお礼、のあとに「僕も本を読み始めました」と書いてあった。じんわりと嬉しい授業最終日だった。