玉川学園MMRC、組織的な取り組みの強み

土曜日は某大学の司書教諭課程「学習指導と学校図書館」の受講生さんたちを連れて玉川学園のMMRC(マルチメディアリソースセンター。つまり図書館)の見学会。新しくて学習にフォーカスされた図書館ということで、授業でうかがうのももう3度目になる。昨年度の訪問の様子はこちら。

 

玉川学園MMRCを見学してきた

2014.09.28
 ▷ 玉川学園 学園マルチメディアリソースセンター (参考)

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ここでの授業「学びの技」をもとにした書籍も刊行されています。いい本です。うちの学校図書館にも入れてもらいました。


さて、僕自身は通算で5回目くらいの訪問になるのだけど、 それでもこちらの関心の在処が違っていたり、MMRCのほうで毎年工夫を重ねたりしていて、いくたびに発見がある。小さなところでは

・クールソーの情報探索の情動のモデルを教えている。
・発表会のスライドは、最初は全て箇条書きで作らせてからグラフや図をつけさせる。
・発表会の前には、聞き手として質問をする練習も行う。
・「学びの技」の授業で生徒が選んだテーマが、図書館の蔵書構成にも反映される。
・毎回思うけど、メディアごとに色分けされた参考文献リストはやっぱり良い。

 あたりが今回は印象深かった。特に、スライドを最初箇条書きで作らせるっていうのはいい工夫かも。いきなりスライドを作らせると、アニメーションに凝って本質を見失う子や、苦労して素敵なビジュアルのスライドをつくった結果として、全体構成からは不要のイラストであっても捨てられなくなることも多いからね。

また、今回はこのMMRCができる際のご苦労話もうかがうことができた。詳しいことはここには書けないけど、校内のどの部署とも折り合いをつけてまとめていく「全方位外交」を展開されていたとのこと。

こうした動きの結果として、「学びの技」の授業はT.T.として展開され、担当者同士で週1回の打ち合わせも行われている。だからこそ、毎年、着実な改善が見られている。自分でも図書館での探究型学習を展開してみてよくわかったけど、MMRCでの「学びの技」の授業は、本当にどの要素もセオリーを踏んでいて、レベルが安定して高い。これは意欲的な司書教諭や教科担当教諭の個人技では到底できない、組織的な取り組みの成果だと思う。

自分は基本的に組織的な取り組みが好きでもうまくもないのだけど、 組織的な取り組みの強みを改めて感じて図書館を後にした。こういうの、司書教諭としては大切なことだ。ただ一方で、僕自身は困ったことに組織的な取り組みというのがあまり好きではない。教員であれ生徒であれ、個人の自由をできるだけ最大化したい志向がある。このへんは、僕自身の大きな課題だと思う。

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