前は移民向け資料が揃っていたが…Vesterbro bibliotek(デンマーク図書館印象記3)

吉田右子「デンマークのにぎやかな公共図書館」では、マイノリティである移民への支援が充実した図書館として、Vesterbro bibliotekとNørrebro Bibliotekの二つが紹介されている。

今回はその二つとも訪ねてみたので、今回と次回の二回に分けて書いてみる。


第一印象は、雰囲気の良い図書館



まず着いたのはVesterbro bibliotek。文化センターの1階と2階に入っている図書館で、入り口はアパートの一室に入るような感じ。

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でも、一歩中に入ると白を基調とした色合いとクリスマスを意識した館内の装飾が良く似合った雰囲気の素敵な図書館だ。


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多言語資料が大幅に減っている?

ところが、館内を歩いてもお目当ての多言語資料コーナーが見当たらない。本によると、ウルドゥ語やトルコ語の資料がそれぞれ書架三本分あるはずなのだけど….。きっとデンマーク語がわからないせいだろうと思ってスタッフの人に『デンマークのにぎやかな公共図書館』を見せながら聞いてみる。すると、そのスタッフさんの答えは、確かに以前はそれがあったけれども、「Everything has changed(全て変わったんだ)」というものだった。移民向けの本は一部は中央図書館や他の図書館に移され、ここでは大幅に減ってしまったらしい。なんと!
 

今にして思うと「なぜ減ったんですか?」と聞くべきだったと思う。ただ、その時は減ったことへの驚きと、「Everything has changed」というスタッフさんの口調が気のせいか残念そうに聞こえたので、それ以上聞けなくなってしまった。本当に何故なんだろう。これはただの憶測だけど、図書館予算の削減、右派政権の成立、厳しくなる移民へのまなざし…そういう社会の流れと、奥底で関係しているのだろうか。

移民向け資料はまだあるけれど…


念のため言うと、もちろん移民向け資料が全くなくなったわけではない。大人向けはもちろん、児童書コーナーにも少ないながら多言語の資料があって、これは街なかにある普段使いの規模の図書館としては、けっこう珍しいのではと思う(少なくともイギリスだとあまりお目にかからない)。

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全体的には、そう大きくはないながら、室内の雰囲気も良くて、過ごしやすいいい図書館。それだけに移民向け資料がどこに行ってしまったのか、ちょっと気になりながら、後ろ髪を引かれる思いで後にした。

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