『イン・ザ・ミドル ナンシー・アトウェルの教室』の書評をまとめました(09/01/09最終更新)

『イン・ザ・ミドル ナンシー・アトウェルの教室』が7/21に刊行されました。この本、前からライティング/リーディング・ワークショップに興味のあった方だけでなく、(願わくはすぐに絶版にならずに)長く読み継がれる本になってほしいと願っています。訳者にできるささやかな宣伝活動として、ウェブ上で読める書評を、随時まとめていきます(09/01/09最終更新)。

目次

ウェブ上のレビュー一覧(随時更新)

ブログでレビューを書いてくださっている方、ぜひお知らせください。できれば掲載させていただきたいと思っています

ロカルノ先生のブログ

あすこまと同じ国語教師のロカルノ先生。あすこまとは一緒にアトウェルのReading Zoneを読んだ仲でもあり、原著In the Middleもお読みになっている方です。

やっと届いた『イン・ザ・ミドル』

原著と比較して訳者が力を入れたところに言及してくださっているのがありがたい限りです…!

やっちゃえ先生のブログ

やっちゃえ先生は社会科の先生です。本来国語教師向けである『イン・ザ・ミドル』を、異なる教科の先生が読んでくださっている事実に感謝!そして、「なるほど、社会科の先生が読むとこういうところに注目するのか」というのが面白い。

【書評】『イン・ザ・ミドル ナンシー・アトウェルの教室』①〜「譲り渡す」教育と社会科の悩ましさ?〜

【書評】『イン・ザ・ミドル ナンシー・アトウェルの教室』②〜素晴らしい教師に必要な条件とは?〜

【書評】『イン・ザ・ミドル ナンシー・アトウェルの教室』③〜これぞ、学びの個別化!〜

【書評】『イン・ザ・ミドル ナンシー・アトウェルの教室』④〜ミニ・レッスン、効果あり。〜

【書評】『イン・ザ・ミドル ナンシー・アトウェルの教室』⑤〜読むことをどう鍛える?〜

【書評】『イン・ザ・ミドル ナンシー・アトウェルの教室』⑥〜1人ひとりの学びを支える働きかけ〜

【書評】『イン・ザ・ミドル ナンシー・アトウェルの教室』⑦〜教員必見!あなた1人をどう評価する?〜

田中浩朗さんのブログ

工科大学で科学史を教えている先生のブログです。理系の大学の先生にも読んでいただけるとは、訳者にとっても望外の喜び!『イン・ザ・ミドル』を「現在の自分の教育を振り返り,改善していく上では多くの示唆を得ることができる貴重な本」として、具体的に考察してくださっています。

イン・ザ・ミドル(1)

イン・ザ・ミドル(2)

イン・ザ・ミドル(3)

田中さんは、この本をお読みくださった後にご自身の授業でそれを取り入れた実践をして、さらに再び「イン・ザ・ミドル」に戻って振り返ってくださっています。ここまでこの本を参考にしてくださって、幸せです…!!

イン・ザ・ミドル再読(1)

イン・ザ・ミドル再読(2)

イン・ザ・ミドル再読(3)

イン・ザ・ミドル再読(4)

イン・ザ・ミドル再読(5)

イン・ザ・ミドル再読(6)

イン・ザ・ミドル再読(7)

イン・ザ・ミドル再読(8)

中学校社会科教師Pikaryaさんの読書記録

中学校社会科教師のPikaryaさんの読書記録です。「2018年度の読書では、今のところNo,1。自分の授業、そして自分の学び方・在り方が大きく変わっていきそうな一冊」といて、ブログに熱い思いを書いてくださっていて、訳者としては本当に感無量です…!! リンク先にはたくさんの本の書評があるので、『イン・ザ・ミドル』でページ内検索していただくのが良いかもしれません。
https://www4.hp-ez.com/hp/gakusyushi

垣内玲さんのノート

垣内玲 @R_Kakiuchi_0921 さんが、アトウェルへの批判という形をとりつつ、「異質な他者の立場に立って理解する力」を育てる実践である「受験国語」の価値を論じています。この垣内さんのアトウェルへの批判部分については、後日別エントリをたてて僕の現状の理解をお答えしたいと思います(8/19にエントリへのリンクを追加)。

https://note.mu/r_kakiuchi_0921/n/ndfd83109024f

アトウェルの生徒たちはどこで「他者の目線」を獲得するのか

2018.08.19

「教育ICTブログ」さんの「ひとり読書会」

教育ICTブログの為田裕行さんが、「ひとり読書会」と題して、ICTの観点を盛り込みつつ、とても丁寧なレビューを書いてくださっています。アトウェル自身はICTが苦手な人なので、ICTの方からの知見があると、実践がさらにブラッシュアップされるでしょう。

No.1「教えることを学ぶ」

No.2「ワークショップの準備」

No.3「第3章 ワークショップ開始」

No.4「第4章 書き手を育てるミニ・レッスン」

No.5「第5章 読み手を育てるミニ・レッスン」

No.6「第6章 一人ひとりの書き手を教える」

No.7「第7章 一人ひとりの読み手を教える」

No.8「第8章 価値を認める・評価する」

『イン・ザ・ミドル ナンシー・アトウェルの教室』×教育ICT ひとり読書会 まとめ

#イン・ザ・ミドル中

furu-tさんのブログ「furu-t 学び続ける日々」

札幌の小学校の先生をされていて、書くことについての著書も出しておられるfuru-tさんのブログです。そんな力のある実践家の方が、この本を正面から受け止めて、試行錯誤してくださっています。

国語の授業を大改革しようとして壁にぶつかりました(RWとWWってむずかしい!)

ブクログのレビュー

https://booklog.jp/item/1/4385360634

Amazonのレビュー

https://www.amazon.co.jp/イン・ザ・ミドル-ナンシー・アトウェルの教室-ナンシー・アトウェル/dp/4385360634/

読書メーターのレビュー

https://bookmeter.com/books/12942770

『イン・ザ・ミドル』読書会の様子

レビューではありませんが、『イン・ザ・ミドル』を読む読書会の様子を書いてくださっている記事をご紹介します。関連エントリと合わせてどうぞ。

トミーさんのブログ「Tommy’s Idea Room」

横浜で「大人のブッククラブ」の運営メンバーをされているトミーさん。2018年12月末に行った『イン・ザ・ミドル』ブッククラブを踏まえて、次のように書いてくださいました。

アトウェル先生のカリキュラム インザミドルブッククラブから

『イン・ザ・ミドル』読書会@大人のブッククラブに参加してきました。

2018.12.29

はまてんさんのブログ「はまてん先生の徒然日記」

大学院生はまてんさんのブログにも、横浜の『イン・ザ・ミドル』ブッククラブの様子が書かれています。参加者のリアルなつぶやきあり!

『イン・ザ・ミドル』ブッククラブでの学び@横浜

訳者による本の紹介

以下は、共訳者の吉田新一郎と小坂敦子による『イン・ザ・ミドル』の紹介です。

PLC便り

新刊『イン・ザ・ミドル』

WW/RW便り

ナンシー・アトウェルの『イン・ザ・ミドル』邦訳の出版  ~教師の成長物語、等身大の教師像の先に見える凄みと可能性

スゴイ文章と実践が散りばめられている『イン・ザ・ミドル』

ウェブ上で寄せられた疑問やコメントへのお返事

上記のブログやツイッターなどでのコメントや疑問について、訳者として答えていきます。ただし、あくまであすこま個人の見解で、訳者の共同見解ではありません。もし聞きたいことがあったらあすこま宛にお寄せください。

アトウェルの教室のハード面のこだわりについて

【書評】『イン・ザ・ミドル ナンシー・アトウェルの教室』②〜素晴らしい教師に必要な条件とは?〜

上のブログで指摘されているように、日本の教室とアトウェルの教室では、ハード面の整備に雲泥の差があります。何より、日本の標準的な中学高校は固定教室制で、授業ごとに教師は異なる教室を渡り歩かなくてはいけません。これでは整備のしようがない。

僕は最初、特定の普通教室に学級文庫を作って「僕の授業だけ固定教室」となるよう、時間割や教室調整担当の先生にお願いしていました。今では学校図書館で授業をしています。学校図書館を使うメリットは『増補版 作家の時間』に書きましたので、お読みください。

アトウェルが詩を重視する理由

【書評】『イン・ザ・ミドル ナンシー・アトウェルの教室』③〜これぞ、学びの個別化!〜

アトウェルはとても詩を重視するのですが、それには、詩に対する文化の違いやアトウェルの個人的好みを超えて、「詩は、読み方や書き方のスキルを教えるのに便利なジャンルである」という認識があるからだと思います。これについては、以前、以下のエントリに書きました。

[ITM] アトウェルはなぜ詩を重視するか

2015.03.25
彼女にとって、詩というジャンルはあくまで他のジャンルとの連続性において捉えられるもので、「詩だけ特別に得意/苦手な生徒がいる」という認識はあまりないのではないでしょうか。

僕は日本ではやや過剰に詩が「特別視され、遠ざけられている」印象を持ちます。「詩は教えられない」という認識が日本で広がっていった背景について、下記エントリで紹介した論文が面白かったです。そういう日本で育った僕にとって、アトウェルのような詩の捉え方は新鮮でした。

詩の書き方を教えることはできるか?

2015.04.01

アトウェルはどの程度ファシリテーションを意識しているか

【書評】『イン・ザ・ミドル ナンシー・アトウェルの教室』③〜これぞ、学びの個別化!〜

「ファシリテーション」の定義にもよりますが、ここでは「直接教授ではなく、場づくりや生徒同士の協働的な関係性作りを通して学習を促進すること」と捉えます。
アトウェルは「ファシリテーターとティーチャーの間のバランスを模索する教師」だと僕は思っています。まず、彼女は教室の環境づくりに力を入れ(本書第二章)、また、『イン・ザ・ミドル』ではあまり触れられていませんが(僕が訳者コラムで書いただけ)、「朝の集会」で温かな雰囲気の場づくりも行なっています。

ただ、授業中に全員で『学び合い』のような活動をしたり、グループ活動をしたりすることはほとんどありません。「やらねばならない」協働的活動は、レター・エッセイをお互いに送り合うくらいでしょうか。そして、彼女は、「教えない教師」では全くありません。個々の文脈でガンガン直接的に教えます。

実はイン・ザ・ミドル初版の頃、アトウェルは「教師は決して教えてはいけない」と思い、グループ活動もやっていたし、共有の時間もとっていたのですが、それをだんだんやめるようになります。こうした変化は、アトウェルのカンファランスのガイドラインの変遷にも鮮明に表れています。

[ITM初版]アトウェルが試行錯誤の末にグループ活動をやめた理由とは?

2016.02.13

[ITM初版]アトウェルの変化と「共有の時間」

2016.02.14

[ITM初版]カンファランスのガイドライン、25年の変遷

2016.03.05

こうしたアトウェルの変化は、実のところ、僕が最も興味を覚える点です。もちろん、このアトウェルの変化は人によって評価が分かれるでしょう。でも、この徹底した個別活動こそが、アトウェルのライティング/リーディング・ワークショップの大きな特徴で、協働的な活動は、あくまで個別の書き手が必要だと思った場合に、その人の選択の結果として行われるのです。

アトウェルのやり方だと、大人数では難しい

イン・ザ・ミドル(3)
田中さんが、「アトウェルのやり方をそのまま日本の大人数相手の授業でやることの難しさ」を書いていらっしゃって、僕も全く同感に思います。僕自身が40人学級でカンファランスをどうやっているかについては、下記エントリに書きました。

どうする? 難しい40人学級のカンファランス

2017.02.17
とても万全と言える体制ではないし、このやり方もかなり力業です(手間暇がかかる)。課題を抱えている生徒をいかに把握してカンファランスするか、そして生徒・学生同士のピア・カンファランスをいかに活用するか、ということが大事なのだろうと思います。

アトウェルの読みの授業に、異質な他者との出会いはあるか?

これは、垣内玲さんの指摘に一部答えるものになるかもしれません。ここで書くと長くなるので、後日別エントリを書いて、そこへのリンクを貼ります。

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4 件のコメント

  • 大学で科学史を教えている教員です。『イン・ザ・ミドル』読み始めました。ブログで感想を書いています。https://sitetanaka.net/nissi/2018/07/28/18056/

    • ありがとうございます!こちらのブログにも追記させていただきますね。科学史を教えている方にも参考になるとは、望外の喜びです!

        • 最後まで読んでくださってありがとうございました。他の校種・専門の方に読んでいただけるなんて、こんなに嬉しいことはありませんでした。また、感想をブログにも書いて下さって、心から感謝します。リンクを貼らせていただきますね。