In the Middle初版の読書日記144ページ。アトウェルが考える「書く技術を教える時のポイント」がとても短くまとめられていて印象的だったので、触れておこう。
アトウェルはこう書く。
私のポイントはこうだ。私たち教師は、とても多くの技術を、しかも適切でない時に教えているのだ、と私は思う。私たち教師は、英語の「コンテンツ」をカバーしようという誘惑に負けてしまうのだ。というのも書かれた文章の表面的な特徴なら、とても明白で、教えることができて、テストもできるから。
教員が陥る「とにかくカバーしよう」という誘惑
これは大切な視点である。僕たち教員は、常に「コンテンツをカバーする」誘惑にとらわれてしまう。コンテンツ(教科書・プリント・問題集)をカバーすることが仕事だと思ってしまうのだ。なぜかというと、その方が楽だからだろう。教えるべきことを教えなきゃ、という使命感もあるだろう。その結果として、「とても多くのこと」を「適切でないタイミングで」教えてしまうのが、僕たちごくごく普通の教師のあり方だ。教えるだけ(というか伝えるだけ)教えておいて、「はい、こっちはとりあえず内容を喋ったから、あとは各自でちゃんと身につけてねー、テストに出すよー」というわけ。
絞って、適切なタイミングで伝える
アトウェルの考える技術を教えるポイントは逆だ。「絞った大切なこと」を「その生徒にとって適切なタイミングで」教えるのが、彼女の目指していることである。アトウェルは、英語の教師は、英語の参考書と取っ組み合うよりも「生徒の文章をよく読んで、そこに何があり、何がないのかを分析することから始めなくてはいけない」と書く。その結果として、彼女は自分の作文の授業で教えることを「体裁」「句読法」「時制」「スペル」の4つにしているのだそう。
何を教えるかという話は別として、「とても多くのことを、適切でないタイミングで教えてしまう」というのは、同業者としてとても心当たりのある話だ。自分の授業でも、これは自分に向けて問いかけていく必要があると思った。大切なことを絞って、適切なタイミングで、そして何度も繰り返すこと。できるように。