作文の授業に大活躍、大福帳!


今学期の中1の作文授業では、生徒の進捗状況を把握するために向後千春先生の「大福帳」を使っている。もともと前回の勉強会で勉強仲間が使って良かったと紹介したので真似してみたのだけど、やってみたらこれがもう効果ありなのである。それで思わず紹介してしまう次第。
 
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 ▷ 大福帳テンプレート (KogoLab)
 ▷ すべての授業で大福帳を使おう (KogoLab)

(参考)今学期の作文の授業

三学期・中1作文の授業がはじまる

2015.01.14

"Writing is thinking and rethinking on paper"

2015.01.15

専業コーチよりもプレイング・コーチになりたい

2015.01.24

悩みます、公共図書館の利用指導

2015.01.27

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今週は下書きの読み合い

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2015.02.12

もともと作文教育におけるプロセス・アプローチは、別名カンファランス・アプローチと呼ばれるくらいで、生徒が作文を書く時間における「カンファランス」を大きな特徴にしている。これは、教師が個別の生徒の状態を把握し、相談にのり、教え、次の行動を指示すること。こういう個別対応がプロセス・アプローチの肝になる。

ところが、アトウェルにしろ、カール・アンダーソンにしろ、プロセス・アプローチで名高いアメリカの作文教師の受け持つ生徒数は20人程度。40人学級×複数クラス受け持つ日本ではそれは望むべくもない。 日本の教室環境では教師と生徒のカンファランスは無理。僕は基本的にそう考えている。

しかし、この大福帳を使うと、「簡易カンファランス」くらいならできるのだ。毎回の授業の最後に振り返りや進捗状況報告として書かせておけば、僕はそれを次の授業までに読んで生徒の状態の一端を把握できる。読んでコメントを書き込んだ大福帳は、次の授業の最初に返す。これが紙の上での「簡易カンファランス」的役割を果たす。大福帳を返却する前にスキャンすれば授業中にも手元のiPad miniでいつでも見られるようになるし、気になる子にはチェックを入れて、次の授業時間で個別カンファランスすることもできる。さらにさらに、いい内容の振り返りや皆にも共有したい情報は、iPad miniで写真を取り、Apple TV経由で次の授業の冒頭に紹介できる。 

というわけで、一石で三鳥にも四鳥にもなる大福帳なのだ。これまでも生徒に振り返り用紙を書かせてはいたけど、それは一行程度の形式的なものだった。大福帳の一回につき4行という長さが良いのだと思う。これだけあれば意味のあるやりとりができる。 

もちろん、生徒全員の大福帳を読み、コメントを書いて返却するのは、負担としてはけっこう大きい。でも、日本の40人学級でプロセス・アプローチの作文教育をするのなら、大福帳は必須なんじゃないか。そんなことまで思ってしまう便利さ。興味のある人にはお薦めです。

追記)
とはいえ、日本の40人学級で教師が個別にカンファランスをするやり方にはやはり無理があるので、この学級規模で作文教育をやるので
あれば、生徒同士のピア・フィードバックの充実が鍵になるだろうということは、次のエントリに書いたとおり。大福帳の活用も、あくまで「簡易」カンファランスにとどめて、あまり頑張りすぎないことが大事だろうと思う。

  

そもそもなぜ生徒同士で作文を推敲しあうのか?

2015.02.08

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