悩みます、公共図書館の利用指導

中1の作文授業「探究レポートを書く」、4回目。授業がはじまって二週間がたった。生徒たちは自分で立てた問いについて調べている最中。そろそろ下書き提出が近づいていることもあって、資料を読んだり、難航して問いを考え直したり、進度はさまざま。

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ちなみに過去の授業はこちら。

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2015.01.15

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その中で、「欲しい本が見つかりません」という生徒に個別対応していると痛感するのが、彼らが「ネットで本を探すのがとても下手だ」という、もしかすると当たり前かもしれない事実だ。 自分の問いに関してピンポイントすぎるキーワードでしか検索できず、上位語で検索しないから目的の本がひっかからなかったり、あるいは逆に、とても漠然とした大きな概念語で検索して関係ないものをたくさんヒットさせて、絞れない。まだワンワードでしか検索をしない子がほとんどで、and検索はともかく、or検索やnot検索を使う子はこれまでのところ皆無(今回は、あまり教えることが多すぎても大変なので、そこまでは教えていない)。だから、「僕の問いについては本がありません」という生徒のところに僕が行って、2・3質問をしながら検索すると、すぐに本が見つかってしまう。そんなことが今日はたくさんあった。まあ、生徒には「僕たちが思いつくような問いで、誰も考えたことがないなんてちょっと考えにくいよね。ほとんどの場合、調べ方がまずいんだと思うよ」とは言っている。

本を探すのって、技術なんだなあ。司書さんのようなプロフェッショナルに比べれば、自分も全然技術がないと思うけど、でも単にカーリルの存在を教えれば誰でもすぐに本を探して図書館で借りられるというわけでもないんだなと痛感した。検索での本の見つけやすさは、「その分野についての漠然とした知識」「探したいテーマを上位語や下位語に置換できる語彙力」などにかなり依存するのだろう。中1の生徒には、まだまだ難しいということ。

うちの学校図書館は、(司書さんは素晴らしいしとてもいい図書館に成長中だけど)残念ながら、敷地面積の問題もあって、とても貧弱な蔵書数しかない。だから、うちの学校の図書館で満足のいく調べ学習ができるなんてありえない。うちの生徒にきちんと調査の技術を身につけさせようとしたら、公共図書館を使いこなせるようになることが必須なのだ。そしてそれは、生涯学習という観点で考えれば、ピンチというよりもチャンスでもあるはず。

そう思って、今回の作文課題に関連して、2つ以上の自治体の図書館で利用者登録をさせたり、カーリルの使い方を教えたり、レファレンス・サービスの使い方を教えたりしている。だけど、上述したように彼らの「ネットで本を探す技術」はまだまだ未熟だし、レファレンス・サービスも、「良い聞き方」のレクチャーはしてるんだけど、そもそもレファレンス・カウンターに行く精神的な敷居が高いみたい。まだ1割くらいしか体験してないっぽい。

加えて、せっかく頑張ってレファレンスにかけたけどあまり相手にしてもらえなかったという残念な事例もあった。僕が授業の主旨を書いたプリントを1枚持たせてあげてれば、対応が変わっていたかもな、という気もする。

学校図書館の充実をはかりつつ、でもうちの規模だと、学校図書館で全てまかなうのは無理だという現実も受け止めたい。そしてそれを、公共図書館の使い方を学ぶチャンスだと捉えたい。その技術は一生ものだ。公共図書館をどう使いこなせるようにするか。これから、僕の学校図書館が考えなくてはいけない課題だと思う。
 

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