[読書]ようやくペースが戻ってきた気がする….2023年11月の読書。

2023年11月の読書まとめエントリ。先月、ようやく浮上してきた僕の読書ライフだが、今月は最近では珍しく12冊の本を読むことができた。少しずつペースが戻ってきた、ということだろうか。中でも、先月から「月に1巻読もう」とスタートした安房直子コレクションを、寝る前に少しずつ読み進める生活がリズムになっていて、そういう時間が持てるようになったことに、少しホッとしている。というわけで、2023年11月の読書をふりかえってみよう。

目次

今月もベストは安房直子!なつかしい作品に出会う。

今月の個人的ベストは、安房直子コレクション2『見知らぬ町ふしぎな村』。「魔法をかけられた舌」は、読む前にはすっかり忘れていたけれど、2行くらい読んで「確かに自分はこの作品を読んだ!」と記憶が蘇ってきた作品。腕のいいコックの息子・洋吉が、亡くなった父の跡を継ぐも、舌が悪くてお客が離れていく。そこに地下室の小人と出会って魔法の舌をもらい、他の店の味を盗むことで成功していく…というお話で、地下室の小人との約束を破った洋吉は最後にきっとひどい目に遭うのでは…と思っていたのに、味の小人が、でも、ぼそりと淋しそうに「随分待ちましたよ」とつぶやくだけで許してしまう結末の意外さが、小さい頃に引っかかっていたのを思い出した。あの頃の自分にはわからなかったけど、安房直子作品には、人間の薄情さとか欲とか残酷さを扱いつつも、それを許してくれる優しさがある。

この巻、他にも、もともと好きだった「青い花」もある。他の作品では、一人暮らしでホラ吹きのお婆さんのところに、嘘通りに孫が訪れる「遠い野ばらの村」、悲しみを消す消しゴムで、愛猫のミミが死んだ悲しみを癒してもらう少女を描いた「ふしぎな文房具屋」が好き。思ったよりハッピーエンドのお話もたくさん書いているけど、僕はやはりどこかに寂しさを抱えた人の話に惹かれるのかな。小学生の頃にどこか惹かれていた安房直子に、こうしてまた再会できるのは幸せなこと。その思い出や感慨も込みで、読書ノートで10点中10点の本となった。

がっかり?安心?行動遺伝学の本が面白い!

11月は、教育がらみの本を割と多く読んでいた月で、しかも「アタリ」が多かった。まずは、11月のマイブームだった安藤寿康の本。安藤寿康『教育は遺伝に勝てるか?』はブログに既に書いた本で、そこでも書いた通り、人間の成長に対する遺伝の影響の大きさがよくわかる本。教育関係者が読むとがっかりしたり安心したりする本だと思う(笑) でも、この本を受け入れる程度で、ちょうど良い。人が人に影響を与えようなんて、それが教育欲に基づいているのはとても人間らしいけれど、でも、そもそもが傲慢な営みなのだ。

[読書]教育の役割をあらためて考えさせられる、諦めと希望の本。安藤寿康『教育は遺伝に勝てるか?』

2023.12.02

教育にトピックを絞れば上の本をおすすめするが、僕は上の本を読む前に安藤寿康『能力はどのように遺伝するのか』も読んでいて、それが良い補助線になった。遺伝の影響が成人になるにつれて強く出てくることや、性格は家庭環境では変わらないことなど、行動遺伝学が発見した知見については、こちらの方がよくまとまっている。

教育に関する本、おすすめの3冊。

今月は他にも教育系の本が面白かった月だ。飯田一史 『「若者の読書離れ」というウソ』は、最近の若者が読んでいる本の実態調査とその傾向分析の価値が大きい。安藤寿康の論文を根拠に「二人に1人が本を読まなくなるのは遺伝と考えるのが妥当」という立場をとっていて、安藤の本を手に取ったきっかけでもある。その主張の正否はさておき、「若者に読んでほしい本」ではなく「若者が読みたい本」を知るところから対話を、という筆者の基本姿勢にはとても共感する。

[読書]まずは、子どもたちの読書実態をよく知ることから。飯田一史『「若者の読書離れ」というウソ』

2023.11.23

この本と双璧なのは、小池陽慈『ぼっち現代文』。こちらもブログに書いたが、他者論入門でありつつブックガイドでもあるという、予備校教師でもあり読書教育に熱心な著者ならではの独特のポジションを獲得している本である。童話に始まり童話に終わる教材の配列がとてもよく練られていて、そこに至るプロセスを想像するのも面白い。

[読書]さまざまな「つながり」を作る構成力に感嘆。小池陽慈『ぼっち現代文』

2023.11.18

教育系のもう一冊はとても古い本。もう20年以上も前の2002年に刊行された藤澤伸介『ごまかし勉強上・学力低下を助長するシステム』は、認知心理学の立場から、目の前のテストをとりあえずクリアしようとする「ごまかし勉強」の特徴と問題点を分析して、なぜこのような「ごまかし勉強」が広まったのか、社会的な背景も含めて分析する本。

話題の中心は、ごまかし勉強の定義と、それと対比しての正統派の学習の説明である。①学習範囲の限定(テストに出ないことは勉強しない、関心を持たない)、②代用主義(知識の関連付けや選別を自分でやらずに、代わりにやってくれる教科書ガイドや予想問題などで代用する)、③機械的暗記志向・暗記主義(意味を理解せずにただ暗記しようとする)、④単純反復志向・物量主義(学習方略の適切さを振り返ったりせずに、ただ物量を増やす)、⑤過程軽視志向・結果主義(プロセスよりも目先の結果のみ重視。ヤマを張ってまぐれあたりをしたらラッキー)の5つの要素で説明している。こう並べると「うーん、確かに」の一言。これ、2023年の今でも十分に通用する本なんじゃないかな。

音読と短歌創作….授業で役立ったのはこの2冊

続いて、さらに実践系の本。色々と思うことあり、受け持ちのクラスで音読テストを始めた。参考にしたのは土居正博『音読指導の新常識』。この著者にはもう少し理論寄りの『クラス全員のやる気が高まる! 音読指導法』もあるが、こちらは完全に実践に集中した本。「ハキハキ」「正しく」「スラスラ」の評価基準がわかりやすいので、このまま使わせていただくことに。さて、どうなるかな。

授業でお世話になったもう一冊は、佐藤弓生+木谷沙知子『子ども歌人になる 短歌はこうつくる』。11月は「独楽吟」をやることにしたので、短歌創作の本で小学生向けのものをいくつか物色したが、結局以前も読んだことのあるこの本に落ち着いた。音の数え方のような超基本から、表現のテクニックまで、ひととおりのことが過不足なく書いてあり、遊び心もある。このシリーズ「子ども○○になる!」の中でも出色の出来だと思う。

心残りは「山」本を読まなかったこと

他にも数冊読んだのだけど、ブログに書くのはここまでにしておこう。先月、ようやく再浮上の感じがあり、今月もまずます本を読むことができた。でも、疲れちゃって早く寝る日もあって、本当はもっと読めたらなと思う。ふりかえると、久しぶりに「山」系の本を一冊も読まない月でもあった。今月はちょっと仕事・実用の本に傾きすぎたきらいもあるから、12月は、冊数はともかく、もうちょっと幅広く楽しく読めるようにしたい。年末休みもあるから、きっとできるはず。

 

 

 

 

 

 

 

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