2024年5月の「窓の詩」。1位はみんなで音読を楽しんだ作品。

過去に下記エントリで書いたけど、僕は昨年度、56年クラスで投票上位の詩を窓に書いて、それに有志児童がイラストを添える「窓の詩」という取り組みをはじめた。今年もそれはやるのだけど、そこで選ばれた詩をブログでも紹介していこうと思う。今月は初めてなので、なんでそれをやろうと思ったかの理由から。

まさかのお休みスタートの新学期。復帰週の「窓の詩」に元気をもらった。

2024.01.27

目次

毎月の「窓の詩」、簡単に紹介していきます

土曜日、長野県上田市の太郎山に出かけた。ほんの1時間ほどで登れる里山だが、「上田市民の山」と称されるだけあって、山頂からは八ヶ岳から北アルプスまで一望できるすばらしい眺め。この日は天気もよく、遠く富士山の姿までくっきりと見えたほどだ。これは最高!

山頂でレジャーシートを敷き、登山靴を脱いで、足を楽にしてからお湯を沸かす。のんびりと視線が低くなったところで、目の前にたんぽぽの花や綿毛が目につく。綿毛が飛ぶのを見ていたら、はたちよしこの詩「たんぽぽ」を思い出す。ちょうどあの詩にぴったりの場面だなと思って、写真をとり、それに言葉を添えてつくったのがトップ画像というわけ。

もともと詩が好きな僕はそれにすっかり満足して、下山の時は好きな詩を口ずさみながら降りていった。もちろん、人とすれ違うときだけ急に黙ったりして。そうして下山しながら考えたのだ。もっと自分と子どもたちのふだんの生活の中に詩があったらいいなあ、と。

というわけで、思い立ったが吉日。今年度は風越学園の「窓の詩」に選ばれた詩をこちらで紹介することにした。完全な自己満足の企画だけど、ひとまず3月まで、おつきあいください!

はたちよしこ「たんぽぽ」

紹介した時に、ある小5男子が「短いけど奥深い」と評したのは、はたちよしこ「たんぽぽ」。本当にその通りだ。センスいいね、と思わず言いたくなった。シンプルながら、いく世代も受け継がれてきた「しごと」を完遂したたんぽぽへの敬意も感じられる詩だ。さらっと読んだだけなのに、子供たちの印象に残ったのか、3位に選出された。ところで、僕の長女は日曜に高校卒業式を終え、あと数ヶ月で遠くに旅立っていく予定。子どもを手放すと、自分のしごとももう終わる。生命としての自分の役割が、ひとつ終わりを迎えつつあることを感じる、なんて書いたら、ちょっとおおげさにすぎるだろうか。

谷川俊太郎「春に」

木下牧子作曲の合唱曲「春に」は、ときおり何気なく口をついて出てくる曲のひとつ。ゆったりした雄大なメロディーとともに歌われ、広い野原に立って空を眺めている少年が浮かぶイメージの曲だけど、メロディーのない詩となって読むと、その少年がひとりでうつむいているようにも思える。どちらも好きなのだが、メロディーの力を感じる詩だ。

「窓の詩」を選ぶ日の朝のこと。一人でこの詩を音読していると、早く出勤したスタッフのMさんが、いつものように浅間山が見えるテラスでピアノ演奏をはじめた。そのピアノ演奏が、長さといい、メロディーの調子といい、奇跡のように、僕の詩とぴったりだったのだ。驚いて、急遽、授業中に僕が詩を読むときの伴奏をお願いした経緯がある。Mさんのピアノの音にも助けられて、この詩は5月の第2位に選出された。「思春期の感情が〜」なんてわかったふうな解説をつけるのではなく、ひたすら読んでいたい詩だと思う。

 

阪田寛夫「せかいびょういん まちあいしつ」

子供たちはいつも言葉遊びが大好き。「窓の詩」でも時折言葉遊び系の詩を紹介しては、みんなで音読して楽しんでいる。なかでも阪田寛夫さんの詩は鉄板。僕が最初に音読したときにも、「げっ! でんせんびょうだ/カルカッタ」あたりから笑い声が漏れるようになり、ペアで交互に読む音読や全員一斉での音読をした時には、みんなとても楽しそう。読み終えての投票では、やはりというべきか、今月の1位の詩となった。「作家の時間」では、いま、この詩を真似して自分の作品を書いている子もいる。どんな作品ができるのかな、それも楽しみだ。

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