部活の合宿で感じるコーチの教え方の違い

実は今日まで4泊5日で部活の合宿だった。自分で言うのも何だけど、僕は実技は他の顧問やコーチにまかせて事務仕事を一手に引き受ける「縁の下の力持ち」系、いわゆる「熱心でない」顧問である。もう少しつっこんで言っておくと、日本の部活のあり方にも批判的で、部活は学校から切り離されるべきだ論者。ただ、そもそも日本の部活指導って…みたいな話はここでは書かないでおくので、興味のある方は下の本をお読み下さい。


未読だけど、下のエントリでも登場した内田良さんの本『教育という病』にも運動部活動への批判が書かれている模様。部活の問題は、多くの中高生の「美しい青春物語」の源泉になっているだけに厄介だが、日本の教育を改善したいと思ったら本当に避けては通れない問題だと思う。

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2015.07.19


それはともかく、僕の部活では合宿の時には外部コーチをお願いしている。その外部コーチの教え方を傍目で見ていると学ぶことが多い。まあ、僕はスポーツに関心がないので、どうしても「教える方法」という視点でしか見られないということもあるのだが。

一番感心したのは、選手としても日本代表級の実績のあるSコーチ。さすがにコーチとして経験が豊富なだけある。日本代表の実績や生徒に実際に見せるパフォーマンスだけで「おおー」と生徒に心服してもらえるのに加えて、見ていてうまいなと思ったのは次の点。

・生徒に実際に出てきてもらってプレーしてもらい、具体例を使いながら示す。
・一つ一つのプレーの意味を、別の概念を使って言い換える(行動を意味に変換する)。
・その生徒を例にしながら、改善のプロセスを見せる。
・自分でもプレーをして見せて、良いプレーと悪いプレーの差異を見せる。
・レクチャーの前後で生徒が変化している点を見つけて褒める。
・生徒に対して高圧的な物言いは一切しない。丁寧な言い方をする。
・時折、冗談を挟む。

なんとなく、山本五十六(と言われる)の「やってみせ 言って聞かせて させてみて ほめてやらねば 人は動かじ」を思い出させるコーチぶり。どんな授業でもこれは大事なルールなんだなあ。国語の授業にひきつけて言うと、僕が「やってみせ」という部分はどこなのだろう。

逆に、生徒に対して怒りを露わにするパフォーマンスを使う、見ていて正直不愉快な人もいた。まったく、いい大人が、子供相手に高圧的に振る舞うことで、つまり、暴力の示唆とそれが与える恐怖感でコントロールしようなんて最低だと思う。この延長上に体罰がある。そういうコントロールの仕方は一時的な効果しか与えないことが、下記のリンク先でも報告されている。

 ▷日本行動分析学会「「体罰」に反対する声明」

また、たとえそれで一時の効果があったとしても、相手を一人の人間として尊重しないようなやり方は、まっとうな大人のすることではない。

コーチといっても色々だ。うまい人の教え方には授業にも通じる要素が一杯あるので、それを見られたのは、良い機会だったなあと思う。合宿も、大きな事故や病気なく
無事に終わってくれたので、それが何よりである。終業式も合宿も終わって、これでいよいよ夏休みモード!

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