漢字・音読・文法…風越での国語の授業にどう取り入れていこう?

今日は国語の授業における個人的な気になりごとの覚書。ライティング・ワークショップ(作家の時間)やリーディング・ワークショップ(読書家の時間)に関心のある僕にとって、「関心ど真ん中ではないけど小学校に来たことで向き合うようになったもの」がいくつかある。その代表格が漢字学習。今回のエントリでは、いま漢字学習についてどう考えているかも含めて、作家の時間や読書家の時間の「周辺」にある「漢字」「音読」「文法」などについて、授業でどう取り扱うといいのか、いま考えていることを書いてみたい。

写真は11月中旬、八丈町の学校に「作家の時間」の見学と研修に行った時のもの。あちらには「八丈富士」(西山)という優美な山容の山があり、山頂の火口をぐるりと一周できるのだ。火山の火口から見る海の景色は、まさに絶景。研修を控えた朝に登ったのだけど、忘れられない小旅行になりました。

目次

漢字:2023年度の現状はこんな感じ

このブログでも、漢字学習についてのエントリがいくつかある。いずれも、風越に移ってからのものだが、下記エントリでまとめている。この2つのエントリは、我ながら力が入ってますね。

山川先生の漢字学習会をきっかけに考える、自分の漢字指導のこれまでとこれから。

2022.12.28

山川先生の漢字学習会に出て、来年度の漢字学習指導の目標を考える。

2023.03.06

で、ここで正直に現状を書こう。僕の現状は、基本は、「授業開始時の漢字クイズ+週1回の書き取りテスト」というパッケージ。山川先生考案の漢字ゲームは、時間がかかることもあって、「1コマ中途半端に空いた時にやる」程度になっている。

授業開始時の漢字クイズ

授業開始時の漢字クイズは、子どもたちが作った漢字クイズをホワイトボードに事前に板書しておくだけなのだけど、やはり仲間が作る問題は楽しいようで、これ目的で早く来る子もいるほどだ。

  1. 二字熟語づくり…【目的】語彙を増やす
  2. 私は誰でしょう?…【目的】部首を覚える、親しむ
  3. 漢字の足し算…【目的】漢字を分解する意識を持つ
  4. 新国字づくり…【目的】会意文字に親しむ
  5. 語源クイズ…【目的】象形文字に親しむ
  6. さかさ熟語…【目的】語彙を増やす、微妙なニュアンスの違いを知る

今年度は、答えが分かった子にヒントを出してもらうことにしたので、接する語彙も増えるし、辞書を引く子も増えて、良い傾向。1回の授業で使う時間は5分程度だけど、塵も積もれば山となるで、色々な語彙に出会えるし、漢字をパーツの組み合わせで見る意識も定着してきた。下記エントリで書いた小学5・6年の目標「形声文字を中心に、複雑な漢字が意符と音符の組み合わせに分解できることを理解し、その知識を使って意味や音を類推できることを学ぶ時期。漢和辞典を使う。」には確実に向かっているので、この取り組みは、来年も続けようと思う。改善点としては、子供が作る問題は「二字熟語づくり」が圧倒的に多いので、いろんなバリエーションが生まれるようにもっと働きかけたい。あと、漢字の意味についても、もう少し取り上げてみたい。(自白の「白」は「白熱」の「白」とは意味が違う、とか)

山川先生の漢字学習会に出て、来年度の漢字学習指導の目標を考える。

2023.03.06

週1の漢字書き取りテスト

漢字の書き取りテストは週1回。今年度は、受け持ち学年の学力差が大きいこともあり、学年を超えた継続性を大事にしたくて、3・4年ラーニンググループと漢字テストの形式を共通にした。その形式は、同僚のKAIさん(甲斐崎博史さん)が公立小時代に使っていた「ふりかえりつき漢字テスト」。漢字テストが毎回終わるたびに、得点と、次回の目標得点とそのための勉強法を書く欄があって、PDCAを回ることを意図した漢字テストだ。これは、漢字そのものというよりも「勉強法を見直して改善する」「継続的に勉強する習慣を作る」点で有益みたい。欲を言えば、「結局ゴールが書き取り」という点はいまだに問題だが、高校入試に向けて小学校までの漢字はおおむね書けるようにしてあげたい気持ちもあって、そこは目を瞑っている。

書き取りテストの課題

いま残念なのは、土居先生の「他用例書き込み漢字テスト」(指定の漢字を使った熟語をいくら書いても加点されるテスト)の要素を入れられていないこと。この仕組みがあると実力上位の子も頑張ることができるので、できれば来年も基本的形式は維持しつつ、問題文を一新して、頑張れば満点以上に点が伸びる仕組みを取り入れたい

漢字ゲームはどうしよう?

漢字クイズよりも戦略性があって漢字力のない子も楽しめる漢字ゲームは、やはりかかる時間がネックで、本当に「たまに1コマ中途半端なコマができた時にやる」程度になっている。ここは単純に時間をどう配分するかの問題で、仕方ないかもしれないな…。でも、下記エントリにあるように、漢字ゲームは漢字クイズとは違う要素があるし、何よりやると盛り上がるので、時々でも続けていこう。

山川先生の漢字学習会に出て、来年度の漢字学習指導の目標を考える。

2023.03.06

音読:音読マスター始めたよ

以前は中高生を教えていた僕が、漢字同様に意識が低かったのが「音読」。もともと「読書家の時間」(リーディング・ワークショップ)と音読の親和性が低いのに加えて、自分が小学校の頃の「マル読み」嫌いが尾を引いていたな、と思う。でも、5・6年生を受け持って3年目、だんだん、小学校での音読経験の不足が目について、気になってきた。もともと音読から黙読に移行するのは小学校3・4年頃と言われているが、もしかしてその移行がうまくいってないんじゃないかな、と思える例が散見されるのだ。それに加えて、読書家の時間でじっと一人で黙読することが苦手だったり、集中が持たなかったりする子の姿も目立ってきたので、身体的活動を伴って、成功・失敗がはっきりする活動があった方がいいなと思い、「音読マスター」を導入することにした。なんのことはない、1対1の音読テストです。これまた土居正博さんの音読指導の本から「ハキハキ」「正しく」「スラスラ」の基準をそのままいただいて、始めました。

教科書の文章を8つ指定して、それを一つずつクリアしていく形式。これまでのところ、取り組みには個人差がある。どうやったらみんな取り組みたくなるのかな、やりながら考えていこう。

文法:来年から取り組みたい…

いま、課題だなと思って全く手付かずなのが文法。そもそも、文章を正しく書くことをゴールにする文法指導は、ライティング・ワークショップとは相性が悪い。ライティング・ワークショップはそもそも「文法的に正しい日本語文を書くこと」がゴールなわけではないし、やるにしても、たくさん書いて書き慣れる中で徐々に自己修正力を身につけることを目指す思想である。

しかし、特に今年の受け持ちの子は、(読点はもちろん)句点を打てない子も目立つ。句点のないまま文章をどんどん続けてしまうのだ。また、会話も、(あすこま)「…..」のように、鉤括弧の前に人名を直接書いてしまう子が少なからずいて、文法的に正しい日本語を書くことへの課題が目立ってきている。これをどうしようか、というのが目下の懸案事項だ。

文法指導の難しさは、いろいろある。一つは、本人の必要感が薄いことだ。句点を打てない子が指摘されても直らないのは、結局のところ、「句点を打てなくても(周囲が補って読んでくれるので)本人が困らない」点にある。自分が困らないのであれば、わざわざ面倒な修正をしようとは思えないだろう。また、これは有名な話だが、文法の取り立て指導の効果の低さ(文法だけを取り立てて指導しても、実際の利用に反映されない)も、作文指導では鉄板の話題。さらに、一回子どもが書いてくれたものを修正する指導では、一部の真面目に取り組む子を除いて、どうしたって子どもの側のモチベーションを下げてしまう。

それらが文法指導の壁と言えるが、それでも、「知っておくと書くのに役立つ文法」は確かにある。それを「どう教えるか」というより、どうしたら子供たちに「文法を知ると得だ」と思ってもらえるかは、大きな課題。授業の中で、ミニレッスンとしてどう扱っていくといいのだろう。今年、ようやく漢字指導が一つの方向性が見えたので、来年からはこの文法指導に取り組んでいこうかな。良い指導法をご存知の方、ぜひ教えてください。先達にいろいろと教わりたい。

….とまあ、漢字に引き続き、音読に文法と、考えたいことは山ほどあるな。とはいえ、時間は有限。焦っても仕方ないので、少しずつやっていきましょう。

 

 

 

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