土曜日は午後からの出勤だったので、午前中は勉強仲間の学校にお邪魔してブッククラブの授業を見学した。
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僕とブッククラブの付き合いはそんなに深くない。毎年夏休みに「ぶらり読書会」という有志生徒&卒業生の読書会を同僚と一緒にやっている。また、「読書家の時間」を執筆された横浜の小学校の先生たちとの「大人のブッククラブ」には、都合がつく限り参加している。
授業では、何年か前に岩波ジュニア新書の書評を書く授業をやったことがある。この時は、ブッククラブ形式で班ごとに本を読んで読んで進めていった。
でも、その程度だ。授業でほとんどブッククラブをやらないのは、ブッククラブの楽しさを経験していながらも、自分が「読書する授業」の基本をリーディング・ワークショップの個別自由読書(Independent Reading)においているから。もちろんそれにはアトウェルのIn the Middle(第2版)やReading Zoneを読んだ影響もある。いくつかのエントリで書いたように、アトウェルのリーディング・ワークショップはあくまで個別自由読書で、ブッククラブは行わないのだ。
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そんな中での他校でのブッククラブの見学。中学3年生が三浦綾子『塩狩峠』をブッククラブ形式で読む授業だ。「読み聞かせ→ミニレッスン→話し合いの時間→共有→振り返り」という構成。
まずは同じ三浦綾子の『氷点』読み聞かせを10分。これはけっこうたっぷりとるなあという印象。演劇部の顧問をされているということもあって、声がいい。生徒は真剣に聞いている子もいれば、プリントの整理をしながらという子もいて、思い思いに過ごしている感じ。
それからミニレッスン。見学した2クラスでは、1クラスめに「話し合いが盛り上がらなかった時にどうするか」を、2クラスめに「良い振り返りの書き方」をミニレッスンの素材にしてた。これは3分くらいで、読み聞かせと違ってとても短く終わる。
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続いて5〜6人グループに分かれての「話し合いの時間」が25分間。80ページ分ほどが範囲として指定されていて、生徒はその部分の予習ノートをまとめてから参加するのがルール。ざっと見た印象では、この予習ノートはわりと多くの子が真面目に作ってて、『塩狩峠』の文庫本(全員購入)に付箋をいくつも貼っている子も複数いた。「全然やってなーい」みたいな声も聞こえたけど、全体としてはきっちり予習してきている印象。
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ただ、グループごとの話し合いの質には、正直なところかなり差があった。ちょうど席替えがあってグループを組み直したばかりの影響もあったと思う。まじめに本の感想を交流させている班も複数ある一方で、たまたま騒がしい子が集まったグループは、ひたすら音読しては「ウケる〜」みたいな感じで、全然内容に入ってる感じがなかった。他の班でも、話し合いをすすめる一方で本を開かないで終わってしまう子もいて、そのへんの質のバラつきは見ていて気になった。
どう介入するのかな、と見ていたのだけど、予想に反して先生はほとんど「注意」的な介入をしない。例の賑やかな班もまだグループ替えして初回だから我慢して見ていたのだと思う。班の間をぐるぐる回りながら、質問に答えたり、話題が途切れた班には「表現に注目してみたら」と助言したり、「今は書くよりも話し合う時間ですよ」と全体に向けて声掛けしたり、と、終始穏やかな印象でゆるく声掛けしていた。
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こうして話し合いの時間が終わると、共有の時間を5分強。各班で話し合った内容や疑問を出しあう。舞台設定が古い小説なので、見慣れない用語や当時の慣習についての疑問が多かったかな。
最後は今日のブッククラブを振り返る時間が3分ほど。事前に配られた振り返り用紙の記入欄がとても多くて驚いたのだけど、 この3分では到底書ける分量ではなくて、基本的には宿題ということらしい。この振り返りに次回の予習ノートと、宿題がベースになっていることがわかる。これ週3回も真面目にやってくる生徒も偉いし、生徒140人×週3回ぶんの予習ノートと振り返り用紙にすべて目を通してコメントを返している先生も超人的ですよね…。きっと、ここのノートやコメントの部分まで含めての「ブッククラブ」としてデザインしているのだと思う。コメントのやりとりでどういう変化があるのかを見てみたいと思った。
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さて、見学を終えて、自分がブッククラブをやるならどうするかなという話。いくつか考えるべきポイントがありそうだ。
(1)選書について
ブッククラブで読む本をどう選ぶか。今回は全員で同じ本を読んでいて、それには共有の時間に他班の意見も聞けるというメリットがある。ただ、基本的に「個別自由読書」派の自分としては、もしブッククラブをやるなら、予算の上限を決めて各グループで読む本を選ばせたいなと思った。いくつかの候補を決めておくのはありかも。
(2)時間配分について
やはり50分授業は短いと思った(本当だったら2コマ連続ほしい)。その中で予習と振り返りを宿題にしつつ読み聞かせの時間を10分もとっているのは、この先生の考え方が明確に表れたところだと思う。自分の勤務校では残念ながら生徒がみんな宿題をやってくることに期待できないので(汗)、話し合いの回と個人で予習する回を交互に設けるのが現実的かな。振り返りもこちらの学校のように宿題には期待できないので、どうしようかなあ。
(3)話し合いの質の高め方について
各グループの話し合いにどう介入するか/しないか。僕もその場で介入するのはあまり好まないので、ミニレッスンや共有の時間で、どうやっていい話し合いのモデルを示していくかという点がポイントなのだろう。
このへんを考えつつ、いつか自分の授業でも本格的なブッククラブをやってみたい。