ゆっくりと授業が始まる軽井沢風越学園も、4月下旬になっていわゆる「土台の学び」(教科の授業)がはじまってきた。僕も新しい5・6年生たちとの国語の時間を、まだ3コマだけど始めている。そんな「試運転」状況での授業エントリ。
目次
「楽しく、力をつける」を目指そう
今年は改めて、「楽しい」と「力をつける」の両方にちゃんと向き合いたいなと思ってる。「楽しく」だけでもなく(楽しければ後で勝手に力はつくと楽観しすぎるのでもなく)、「力をつける」一辺倒でもなく、その両方を目指したい。最初のワークは図書館にある本で詩を作るという楽しい感じのワークで始めたけど、タイトルがなかったりふりかえりを記入してなかったりした子が多かったので、全員にきっちりと書き直しを求めた。正直、まだ学習習慣がついてない子も多いけど、一方で「今年は頑張りたい」と思っている子も多そうな手応え。まずは、授業時間通りにきた子たちをきちんと相手して、できるだけ丁寧に関わって、楽しく、そして力のつく手応えを感じる授業をやっていきたいと思う。もちろん、下記エントリで書いた関係性作りも大きなテーマだ。一番教師が構成的に場を作れる土台の時間だからこそ、交流を積極的に仕掛けていきたい。
今年はKAIさんに学ぶぞー。
今年は3・4年生の国語担当に、小学校で「作家の時間」「読書家の時間」に取り組んできたKAIさん(甲斐崎博史さん)がいる。学ぶのには絶好の機会だ。KAIさんは今年で定年予定ということもあり、僕も意識的にKAIさんのやり方を一部取り入れるつもりだ。早速、漢字テストのやり方は、KAIさんのやり方に倣って、34年生と56年生で共通にすることにした。また、読書家の時間も、僕は本当は「優れた読み手が使う方法」を使う派ではないのだけど、今年はちょっとKAIさんの後追いでやってみよう。彼は、「作家の時間」「読書家の時間」もどちらもアドベンチャー教育の考えで展開している点で、独特の実践者だ。同時に、「楽しければいい」のではなく、わりと子どもに圧をかけて「力をつける」を目指すタイプでもある。きっと僕が学べることも多いはず。また、12年のつながりを見通す意味でも、3・4年と5・6年がお互いの様子を見て共有すべきものは共有して進んで行けたら、力も蓄積していくんではないかと思う。
イン・ザ・ミドルも再読中….
また、最近は夜に『イン・ザ・ミドル ナンシー・アトウェルの教室』を読み直している。最初から丁寧に読み直しているのは、もしかして翻訳して以来かもしれない。だとしたらほぼ5年ぶりだ(笑)
きっかけは、ある勉強会で『イン・ザ・ミドル』の読書会を軸に「作家の時間」について学んでくださっていること。そしてもう一つの理由は、ロン・バーガー『子どもの誇りに灯りをともす』を読み、そこでのバーガーの姿がアトウェルに重なったからである(それについては、下記エントリに書いた)。
バーガーもアトウェルも、子どもの作品の「質」を求める姿勢において妥協しない。特にアトウェルは非常に手立てが細かく、僕がこれをこのまま教室でやろうとすると、自分もだが、子どもにも追い詰められて苦しいと感じる子が出てくるのではないかと思う。でも、バーガーにせよ、アトウェルにせよ、なぜそうした弊害に陥らずにいられるのか。それが目下の僕の関心事だ。それこそ「文化」がそこにできているからなのだろうが、その「文化」はどうやって形成されているのだろうか。そのヒントが見つかるといいなと思っているけれど、今のところはアトウェルの手立ての細かさにただただ圧倒されている(笑)今の風越にいるとなかなか難しいのだが、一度、ここまでふりきって国語の授業準備に没頭したい。
まずは、出版までのサイクルを早く
そんなふうに、KAIさんとナンシー・アトウェルのふたりを両目の端に入れつつ、今年度の授業がスタートしている。まずは出版までのサイクルを短く体験してもらおうと、早くも木曜にはミニ詩集を出版する予定だ。出版、ファンレター、そのお礼状を書いてから振り返りをするところまでを、GW前にやってしまいたい。そして、いったんこのサイクルを回したGW明けからが、いよいよグッと質を求めていく時期だ。最近の僕は「ジャンル」ではなくて「テーマ」で子どもたちにチャレンジを課してきたけど、今年は、まだジャンルの意識がほとんどない新5年生のために、ジャンル別の作家の時間にするかもしれない。結論はきっとGW中だろうけど、そこからグッとアクセルを踏んで、読み書きに没頭していけたらいい。一年後の成長を楽しみに、頑張っていこう!