2021年、あけましておめでとうございます。今年はCOVID-19もあって実家に帰省せず、ひたすら家でだらだらして読書にふける寝正月でした。おかげで本が11冊(しかも1冊はあの『独学大全』だ!)も読めて満足。お正月3が日はSNSにも顔を出さないと決めて、ブログも今日が年明け最初の更新です。
目次
中3娘からのフィードバック
去年を振り返る時に、個人的に一番思い出すのは、中3の娘からの言葉だった。11月6日、家族でお互いにフィードバックをするという妙な会話の流れになり、娘にこんなことを言われたのだ。とても破壊力があったので、日記にもそのまま書いてる。
お父さんは、以前は国語の授業と研究の話をとても楽しそうにしていたけど、最近はそれがふわっとした教育の話ばかりになってる。それで満足してるならいいけど、本当にやりたいことできているの? まさかこのままで終わるつもりじゃないよねとは思ってるけど。
いやー、これは手厳しい、でも大切なフィードバックだったな。自分としては、今やっていることも自分の国語科教員としての成長につながると思ってるんだけど、身近な肉親には「まさかこのままで終わるはずつもりじゃないよね?」と言いたくなる状況に見えてたんだなあ。
風越に来て失ったもの、得られるもの
確かに、研究する時間も環境もあり、研究費ももらえてた前任校の筑駒時代と比べて、読書や教材研究の時間は減り、本へのアクセスも厳しくなった。まして前のように自分の授業実践を研究につなげることは一切できていない(論文も書いてない)。僕はもともとそういう「研究者教員」を志向していたので、当時とはうって変わった僕の現状が娘には歯がゆく、「何やってんの」と見えるんだろう。
一方で、筑駒にいるだけでは見えない風景や、会うことのなかった人たちとの出会いや、新しい価値観との出会いが、風越にあるのは事実だ。国語についても、今年はまだ生徒が少人数であることもあって、一人一人の読み書きにこんなに向き合えたこともなかった。去年ほど、一人一人の状況を記録・把握しながら、次にどんな手を打つとこの子の力が伸びるのかな、ということを考えたことはなかった。また、理科のレポートの書き方や算数の文章題を「国語の問題」として考え始めているのも、これまでにない変化だと思う。逆に、小学校の4年生くらいまでは体験を通じて学ぶことが中心で、普通に言葉で説明しようとしてもそもそも聞いてもらえないんだなというのも衝撃を持って体感した。そういう子どもたちにも届く言葉の話し方ができる同僚がいたり、イラストを使ってめちゃくちゃ惹きつける説明ができる同僚がいたりする。そういう姿は素直にかっこいい。
筑駒時代の同僚は、学識や教養があって教材研究めちゃくちゃやってて、文章の読も鋭くて、学問的バックグラウンドをしっかり持って、優秀な子どもたちの知的好奇心を刺激すべく努力し続ける「凄さ」だった。国語科の人も文章が「読める」人ばかりで、一応現代文専門なのに「読めない」派だった僕は、けっこうプレッシャー感じてそれを励みに頑張ってた(国語科教員以外にはなんのこっちゃと思う人もいるでしょうが、文章を「読める」人と「読めない」人の差って、厳然とあるんですよ。それは、生半可な教材研究の量じゃ埋められない差だと思います)。
風越の同僚に、そういう意味での凄さは正直あまり感じないけど、それとは違う「凄さ」に出会っているなと思う。子供の励まし方、語りかけ、徹底的に生徒と一緒に考えようとする姿勢、カリキュラムがうまくいかなくても守りに入ろうとしない姿勢、一芸に秀でている人…。内輪ぼめだけど、本当に同僚としてすごい人たちが集まってるんだな、と思う。これは、別に風越がスター軍団というのではなくて(それもあるのかもしれないけど)、軽井沢の西部小にもすごい先生ってたくさんいて、要はその人らしさを出そうとするときに誰でも「凄い」人になれるんじゃないかと思うようになった。そう思えるようになれたのは、我ながらいいことだと思う。
というわけで今年の抱負は…
ところで、すでに国語科教員人生の「後半戦」を生きている自覚のある僕は、こういう同僚の全部を見習おうとしたり、何もかもやみくもに手を出して自分の「苦手を埋める」アプローチをとるつもりはない。ただ、自分が国語科教員として熟達する上で、やっぱりもう少し幅を広げる必要は感じてる。広げたいなあ、幅。
とりあえず、音楽やってみたい。同僚と他の授業を一緒にやって一番興味を持てたのが音楽の授業だった。国語と共通点も多くて面白いなあと思ったし、「自分って音楽好きなんだな」と思えた。なかなか時間を取れないウクレレをちゃんとやるか、もしできたらクラシックギターもやってみたいな。これは、単に決意するだけだとやらないのが過去の経験から証明済みなので、お金を払って習おう。あと、下手なりに少しイラストを描けるようになりたい。同じホーム担当の同僚にイラストがとても上手い人がいて、イラストがあると子どもへの訴求力が全然違う!ということを身を以て実感してる。下手でもいいから、ワンポイントのイラストを添えられるようになれたらいいなって素直に思う。あともう一つは、お酒を全く飲まない人なのに肝臓の数値が大変なことになってるので、甘いものを控えて必要最低限の運動をすること。
時間は有限なので、こういうことに時間を使えば使うほど、国語科の勉強はできなくなる。きっとそこで色々と葛藤を感じて、そこでまた変わるかもしれないな。でも、それでもこの3つはやってみたいな。それが現時点の気持ち。というわけで、今年の個人的目標は、楽器とイラストと健康増進です。娘にも「本当にそれでいいの?」と言われそうだけど、さて、どうなりますか…(笑)
ブログの読者は「将来の自分」
僕のブログを継続的に読んでくれている方はわかると思うのですが、改めて。このブログの第一読者は「将来の自分」です。自分が将来読むために書いてます。読書記録も、「書評」じゃなくて「自分用メモ」なのが、読んでる人にはわかるはず。だから「役に立つ情報を発信!」とか「日本の教育を変える!」というブログでは全くありません。まあ、たまには役に立つ情報もあるかもしれないな、くらいでよろしくお願いします。
昨年までの新年エントリまとめ
いやー、このブログもそれなりに続いて、年末年始&新年エントリも2015年からあります。読み直してみると、それぞれで置かれた状況で、色々と書くことが変わっているなあと思う。もう、こうなるとブログもライフログですね…。