ここ最近の金曜日は「現場の教員のための質的研究法講座」。今回は前期ファイナルの回で講座も一段落ということなので、関連エントリを以下にまとめてみる。
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今回は、上の最後のエントリで書いた「学習におけるゆるやかな共同体」についてのインタビュー原稿から、概念を抽出してモデルをつくるグループワークだった。それぞれで抽出した概念(キーワード)を付箋に書いて、それをグループごとにわけてカテゴリを作っていく。こうやって、2人のインタビュー原稿から「ゆるやかな共同体」のモデル図を作成する。勉強会の3時間のうちほとんどすべてはこのグループでの作業だった。
何度も試行錯誤してあーだこーだと言いながら、付箋をグループにまとめてカテゴリを作っていく。終了時間間際にはなんとか「ゆるやかな共同体」についてのモデル図ができた。うん。なかなか。こうやって、最初はバラバラに見えた付箋同士がカテゴリをつくって関係を見えるようにすることで、まとまった流れや仕組みが見えてくるのはけっこう快感。
ただ、何となく物足りなさもある。というのも、もともとのインタビューでは、面白くてなるほどと思える「生々しい、どろどろしたエピソード」がたくさんでてきているのに、出来上がったモデル図ではそれらのが全て捨象されているのだ。「モデルを作るということは抽象化することだから仕方ないのかな」と一方で思いつつも、それでは質的研究の面白いところがなくなってしまっているのが不満…。
それについて講師の桐田敬介さんからは、「モデルを作る時にきれいなモデルにしてしまわないこと」という助言をいただいた。「○○ではない」という対比や、「もともとは△△だったが…」という試行錯誤の跡(時間的経過)をうまくモデル図に入れられるだろうか。グループメンバーでもまだ続きをやりたいという声が出てきているので、これはもっとブラッシュアップさせよう。
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ところで、このグループ活動では、「ゆるやかな共同体」という生徒の学習を支える場づくりをテーマにしているが、率直に言うと、僕はもともとは「場づくり(学級づくり)」への意識は弱かった(今でも弱いかもしれない)。それどころか、大学院生の頃は単純に「予備校の講師は受講生の名前を覚えなくてもよい授業をしている。要は深い学識と、それをわかりやすく話す力」と思っていた。また、アイスブレイクをはじめとする「他人同士を仲良くさせようという意図が見え見えのアクティビティ」は、大きなお世話すぎて子ども時代から苦手かつ嫌い。今もそこからは心理的にかなり距離をとっている。
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しかし、だからといって「場づくり」がいらないというわけではない。それどころか、学習面に限って話をしても、「生徒の学力を向上させること」と、「場づくり」は不可分のものと感じつつある(予備校の講師の先生のやり方を否定するわけではないし、すごい人はすごいと思うのだが、自分の考えるあり方とはまるで違ってしまった)。
それは、ライティング・ワークショップについての勉強や実践を通じて、「単に教師が話していたり、逆に単に生徒に自由に活動させるだけでは、生徒の学力向上は達成されない」「優劣に関係なく、全ての生徒が安心して学習に没頭し、成長できるような環境づくりが大事」ということを考えるようになったからだろう。
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そうなると、このへんは僕の不得手な領域。学級づくりや場づくりについて長年の蓄積がある小学校の先生やファシリテーターの方に学ぶところが大きいと思う。「大人のブッククラブ」の皆さんや今回の「質的研究法」の皆さんにそういう方面の方が多いことは、個人的にも大いに心強い。そういう意味でもいい経験になっている講座だ。