[ITM] アトウェルが批判するもの(1)

In the Middle読書日記。現在ちょうど折り返しの300ページまで来た。ここであらためてざっと振り返ってみると、アトウェルが他の方法を意識しつつ「私がやっているのはこれとは違う」「私はこれはしない」と明言している箇所がいくつかある。こういうのってアトウェルの意識を表していて面白いと思うので、目についたところをいくつか掲げてみよう。ただ、訳にはあまり自信なし。



Writing-off-the-Pageはウェブでも、グラフィック・オーガナイザーでも、4Boxや6Boxでも、one-size-fits-allでもない。大事なのは、原稿を書く時や書く前に、他の紙の上で遊んだり、計画を練ったり、文章を目に見えるようにしたりできることを、子ども自身が理解することだ。(p128)


Writing-off-the-Pageはアトウェルが生徒に推奨している創作用のメモノートのこと(下記エントリでちょっと触れた)。

[ITM]「捨てる」「やめる」ことを教える

2015.01.18
アトウェルはここで、ウェブ(いわゆるアイデアマップのようなやつ)や4Boxなどの思考を可視化するワークシート(こういうシートの総称がグラフィック・オーガナイザーだと思うんだけど、ここではウェブや4Boxと並列に書かれてますね)に対して批判的なニュアンスを込めている。one-size-fits-allがよくわからなかったけど、たぶんこれもグラフィック・オーガナイザーの一種だと思う。

僕の少量の読書経験からの推測では、アメリカではグラフィック・オーガナイザーが90年代にかなり流行し、それに対する批判もまたけっこうある模様。というか、僕が読むライティング・ワークショップ関連の本では批判的文脈でしか出てこないかも。 多分、ワークシートを埋めること自体が活動目的になってしまう状況が、あちらの国でもあるんだと思う。こっちの国でもありそうだし(^_^;)

お次は文章の書き方についての一節から。

コンベンション(文法的な規則や作文の慣習)を教える時に、その基礎をいわゆる5センテンスや6Traitsや….パラグラフ・ライティングの書き方などに置かないように注意する必要がある。….書き手や読み手としての私達自身の経験が、よい文章を書くうえでそんな情報は役に立たないどころが、邪魔にもなりうることを教えてくれているはずだ。(p142)


ここでアトウェルが批判対象にしているのは、パラグラフ・ライティングや6Traits(良い文章の要素を6つにわけたもの。アメリカではルーブリックの評価基準として流布している)だ。たしかパラグラフ・ライティングについては第2版でも、生徒と一緒に色々な文章を調べた結果実際にパラグラフ・ライティングのルールで書かれている文章がほとんどなかったことを指摘していた気がする。アトウェルには、というよりもどうもライティング・ワークショップの教師には「教室の外の実際の読み書きでやらないことを教えるべきではない」という信念が広く共有されているようで、パラグラフ・ライティングや文章のルーブリック評価に否定的なのも、そのせいだろう。

長くなったので、今日はここまでで力尽きた。続きは後日。

(2/25追記)続きは以下エントリ
 

[ITM] アトウェルが批判するもの(2)

2015.02.25

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