[ITM]「捨てる」「やめる」ことを教える

In the Middle読書メモ。 ライティングにせよリーディングにせよ、アトウェルが重要と考えているレッスンに「やめる」「捨てる」ことを教える、というものがある。


例えば書く時には、書くアイデアを「捨てる」、そのテーマで書くのを「やめる」という判断。とりわけ、書くことに慣れていない生徒は、最初の選択をやめることがなかなか出来ない。ただ、当然あまり可能性のないテーマというのはあるので、それに見切りをつけることも重要だ。(p87)  アトウェルはWriting-off-the-Pageというアイデアメモ用のノートを使うことを生徒に奨励しているが、その用途の1つに「書かないトピックを決める」というものもある(p130)。「書かないと決める」ことは、書くことの重要な要素なのだ。

また、リーディング・ワークショップでも、いったん読み始めた本でもつまらないと思ったら「読み終えない」ことが、アトウェルの教室では積極的に奨励されている(p171)。これも、新しくアトウェルの教室に来た生徒は自分ではできないことなのだそうだ。アトウェルは、良い読者は「どの本を読み終え、どれは読み終えないか」という基準を持っていて、その基準を長い時間をかけて作らせることがリーディング・ワークショップの重要な仕事だと考えている。

これはどちらもなるほどと思わされる。書くことにせよ、読むことにせよ、始めるよりもやめるほうが、特に学校においては抵抗感を伴うだろう。「せっかく書いたんだしもう少し頑張ってみたら?」「ちょっとわからなくても、つまらなくても、もう少し先まで行ったらわかるかも?」という声がけを、教師側だってうっかりするとしてしまいそうだ。どう判断するかも含めてできるように育てるのが「自立した書き手/読み手を育てる」ということ。アトウェルの方針には、そんな信念が見える。

 

この記事のシェアはこちらからどうぞ!