SONYから長らくお借りしていたデジタルペーパーを昨日返却した。ほんとありがとうございます。
かなり使わせてもらってこれまでも何度かレビューを書いた(下記)けど、最終結論をまとめてみる。 なお、SONYがこのデジタルペーパーに関連して展開しているサービス(デジタルペーパー会議ソリューション/学習支援ソリューション)には入っていないので、ほとんど本機単体での評価になる。
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結論から言うと、「高い。けれど、欲しい」だ。お値段は10万円。問答無用で高い。でも欲しいと思った。次の3つの利用場面に分けてレビューしてみる。
(1)メモ帳・ノートとして
(2)生徒のレポート添削ツールとして
(3)大型の電子書籍リーダーとして
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(1)メモ帳・ノートとして …総合評価△
○ 使っていたノートをほぼ置き換え可能。
× 大きすぎて持ち運びしにくい。ブックカバータイプのケースが欲しい。
僕はこれまで手帳はデジタル化しないでA4サイズのノートを使っている。で、ノートとしての基本的な用途はほぼ置き換え可能。ファームウェアアップデートによって自分でノートのテンプレートも追加できるようになったので、自分の好きなスタイルで手帳を作ることができる。画面が13.3型と大きくて見やすいのも歓迎。
ただし、この大きさのせいで、四六時中持ち歩くのは難しかった。僕はとにかく「その場でメモしないと忘れる人」なので、携帯性の低さは手帳として使うには難点あり。また、デジタルペーパーのケースからいちいち取り出すのも面倒くさくて、キンドルのようなブックカバー型のケースが欲しい。(←ソニーの方によると、ブックカバー型だと本機の軽さを損なうんだそうです)
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(2)生徒のレポート添削ツールとして …総合評価○
今のところ、生徒のレポートを添削→返却するなら、「PDF形式にして、iPadアプリのShowbie経由で提出させる→MetaMoji Note上でファイルを開いてコメントを書く→Showbie経由で返却する」が最強だと思っていた。しかし、このデジタルペーパーも、レポート添削ツールとしてはかなり良い線を行っている。
iPad上での添削と比べた時のメリット・デメリットは、
[メリット]
○画面が13.3型と大きいので拡大縮小する手間がいらない
○手首を画面においたまま書いても誤認識されない
○書き味が、多少ひっかかりのある感じで、より紙に近い(個人の好みあり)
○ついSNSやネットサーフィンをすることがない(←極めて重要!)
○電池切れの心配があまりいらない(iPadだと毎日充電が必要)
[デメリット]
×無線LAN経由でのデータのやりとりに期待できない。
このデメリットはけっこう手間だ。無線LAN自体は内蔵されていて、ソニーの学習支援ソリューションを使うかWebDAVを使えば接続できるんだけど、僕にはちょっとできなかった。レポートの提出・返却に便利なShowbieだけでなくDropboxとのデータのやりとりもできないのも残念。別のオンラインストレージサービスのBoxならWebDAV接続ができて直接データのやりとりができるらしいが、転送速度がかなり遅いという評価も見る(このへん、詳しい人に設定の仕方からはじめてレビュー記事を書いて欲しい)。
いずれにせよ、僕の知識では現状、無線LAN経由でのデータ転送は期待薄だ。ケーブルでつないでPCでやりとりするという、昔からのスタイルを強いられることになるだろう。
そんなわけで、添削ツールとしては一長一短。魅力的だけど、iPadでもいいかなという感じ。ちなみに紙でのレポート採点は、(1)かさばりすぎて持ち運びに難がある、(2)コメントしたデータがレポート返却後に手許に残らない、という2点から最初から除外してる。
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(3)大型の電子書籍リーダーとして …総合評価◎
実は僕が「高いけど欲しいなあ」と思う一番の理由はこれ。大きな単行本を読みたいときの電子書籍リーダーとして、このデジタルペーパーはほとんど唯一無二の存在である。
僕は「書籍データの閲覧権を買う」という電子書籍購入の考え方にまだなじめないので、基本的にストアでは本は買わない。自分で買った紙の本をPDFファイルにする、いわゆる自炊派だ。ところが、KindleにせよReaderにせよ、あるいは楽天koboにせよ、現状日本で出回っている電子書籍リーダーは6型サイズが主流。これは、文庫本や漫画を読むには最適だけど、単行本を読むには小さすぎるサイズ。したがって、これまで、自炊した大型の単行本やA4サイズの論文を読む、しかも手書きでメモをとりながらとしたら、iPadアプリのGood ReaderやMetaMoji Noteを使うしかなかった。
そして、この点について、デジタルペーパーの使いやすさはiPadを圧倒している。僕もこのデジタルペーパーのおかげで、ぶ厚い作文教育史の本にメモを書き込みながら読むことができた。
もちろん、E-ink画面の解像度、コントラスト、ページ送りの速度などは、最新のKindle Voyageには全然かなわないと思う。しかし、とりあえず「読める」ことはとても重要。AmazonがKindle DXの新型バージョン、しかもスタイラスで書き込みができるものでも販売開始しない限り、この点でのデジタルペーパーの優位性はゆらがないだろう。
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結論。「高いけど欲しい」。これまでのレビュー記事で何度か「10万円は高すぎる」と書いた。今もそう思っているけど(だってPC買える値段ですよ)、レポート添削ツールや大型の電子書籍リーダー としての便利さは、かなり魅力的。お金を貯めてデジタルペーパーを買ってもいいかなというつもりになってきた。
[こんな人におすすめ]・生徒や学生のレポート添削を日常的にしている人
・大型の専門書や論文のPDFを快適な大きさの画面で読みたい人
・ポメラが好きな人(ポメラみたいな単機能ローテクデジタルガジェット好きは、これ好きだと思います….)