移住三年目のにわかブーム? この秋は北八ヶ岳を満喫しました。

長野県に移住三年目にして、インドア派の僕ににわか登山ブームが訪れました。夏の終わりから短い秋、北八ヶ岳の山と森を満喫しております。はい、というわけで、今回は完全に個人的趣味のエントリ。

写真は、先週末に北八ヶ岳最高峰の天狗岳に登ったとき、山頂でつくった朝ごはんの肉うどん。これがやりたくて朝3時半に家を出たんだよねー。マグカップは風越の創立スタッフとしてプレゼントされたもの。この秋の個人的ハイライトの1枚です。

 

目次

登山のきっかけは、コロナ体制

可能なら毎日家にこもってたい僕が急に山に登りだしたきっかけは、この夏休み明けからの風越学園のコロナ対策体制。活動できる学年とエリアの単位を区切り、まるで「小学校の学級担任制」のようになったのだけど(下記エントリ参照)、これが実のところ、僕にはちょっと精神的にきつかった…。

夏休み明けから体制が変わって一ヶ月、2021年9月末の自分の現在地。

2021.09.25

僕はもともと「子どもが好き」とか「人の成長に関わるのが好き」で教師になった人間ではない。高校教員にはよくあるけど、本当は研究者になりたかったけどその道を選べず、でも勉強を続けたくて教師になったタイプだ。もともと人付き合いも好きではなく、2020年開校当初のオンライン授業大歓迎のクチだった。そんな僕だから、この夏休み明けからの、ずっと子どもと一緒に過ごして空きコマがほぼない状況には、どうしても息切れしてしまう。小学校の先生にはわかってもらいにくいかもしれないけど、子どもと長時間一緒にいること自体に疲れてしまうのだ。毎日、自分のコミュニケーションポイントをすべて使い果たして午後8時頃に帰宅して、疲れきって寝ては、翌日午前4時すぎに置きて授業準備…という日々が続く。そうやって迎えた初めての週末に湧き上がったのが「とにかく一人になりたい」という思いだった。

北八ヶ岳を歩く日々

さいわい僕の家は、八ヶ岳連峰のうち「北八ヶ岳」と呼ばれるエリアから車で一時間半ほど。そこで、土曜日の早朝に車を走らせて、登山初心者の山、北横岳に向かった。朝6時前に到着し、北八ヶ岳ロープウェイが動き出す前の、静かな斜面を登り始める。まだ朝露に濡れた笹原を歩いてズボンと靴をびっしょり濡らしながら、でも、誰にも会わない心地よさ。自分のペースで進み、途中、疲れてもう進めないなあと思った頃に鹿に会って元気をもらってもうひとふんばりし、朝8時前にたどり着いた山頂(南峰)からは、一面の雲海がとても美しかった。

この絶景と、一人で歩く快さに味を占めて、それ以降、毎週のように北八ヶ岳に向かっている。日本百名山の一つ、蓼科山には二度登り、紅葉の名所として知られる白駒池からは高見石や「にゅう」に足を伸ばし、麦草峠からは茶臼山、縞枯山、雨池を周遊し、大河原峠からは双子山と双子池をめぐった。総じて北八ヶ岳は、南八ヶ岳に比べると標高が低く、苔むす薄暗い森の中を散策する雰囲気が素敵な場所だ。特に、雨池や双子池、七ツ池のような、静かな池をめぐるのが楽しい。誰にも会わずに早朝の苔の森を池から池へと歩くと、それだけで童話の森に入り込んだようで、仕事のことを何も考えずに歩き続けられる。

森歩きに満足してからは、北八ツ最高峰の天狗岳や、南八ヶ岳エリアの硫黄岳にも足を伸ばした。こちらは森林限界(森が形成される標高の高さの限界)を超えて一気に開ける視界が魅力。荒々しい稜線をずっと先まで見ていると、その先まで歩いてみたくなる。遠く見える槍ヶ岳にいつか登ってみたい、と以前は夢にも思わなかったことを考え出す。なにより、山の名前がわかってくると、それまではただの「山」だった地形が、急に個性を帯びて見えるから不思議だ。

最近はまっている本・雑誌

というわけで、最近はろくに勉強もせず、週末は山に登って心身のバランスを保っている。いきおい、本も山関連のものを手にとることが多い。なかでも、山岳文学の傑作と言われる山口耀久『北八ツ彷徨』は、まだ登山道が整備される前の薄暗い北八ヶ岳の雰囲気を、若い著者が叙情たっぷりに描く筆致が素敵だ。これを読むだけで、北八ヶ岳を歩くのがぐっと楽しみになった。特に一斉に枯れ葉が舞う雨池のエッセイが良い。

また、マンガでは『山と食欲と私』がとても好き。単独登山女子の鮎美の登山ライフと山での料理が楽しい。このマンガに影響されて、バーナーとメスティンを買っちゃった。山頂でのご飯、本当に美味しいのでどんどん試してみたい。でも、それ以上に好きなのが、鮎美が時々、その日の体調や気分にあわせて「ここを今日の山頂としよう」と、登山途中でもそこで山ご飯を食べて下山しちゃうこと。この「ここを今日の山頂としよう」マインド、ぜひ僕も自然に持てるようになりたい。こういうの好き。

こちらの『山食』公式山登り本は、鮎美が初心者に必要な山登りの基礎知識を教えてくれる楽しい本。他にも、『山と渓谷』や『PEAKS』のムック本を図書館で借りては眺めている。特に『山と渓谷』は特集に読み応えがあって読んでいて楽しい。

長野県の山歩きなら、中嶋豊さんの絵地図入りのこちらのシリーズには、よくお世話になってます。

総じて、本業をほったらかして、登山系の本や雑誌ばかり読んでしまった9月だったな…。

来年はどこに登ろうかな?

と、8月から10月上旬にかけて突発的にブームになった登山。そろそろ寒さも厳しくなるし、初心者の僕に雪山に登る技術はない(でも、『山と渓谷』の「ステップアップ雪山登山」特集号は入手してしまったけど…笑)。となると、そろそろ山登りのブームも終わりなのかも。でも、来年はぜひもう少しステップアップしたいなあ。

まず、山で迷っても自分を守れるように地図を読む力を身に着けたい。それから、来年は硫黄岳・横岳・赤岳を山小屋に泊まりながら縦走して、できたらテント泊もしてみたい。今年、週末ごとに家をあけてしまったけど、妻には、「まあ、あなたは昔からせっぱつまるととにかく一人になりたがるからね」と大目に見てもらった。これが来年はどうなのかも気になるところ(笑) 無理せず、楽しく、来年も山に登れたらいいなと思います。

 

 

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