[ITM初版]In the Middleのタイトルに込められた意味

第一版の序盤で、In the middleという印象的で多義的なニュアンスのタイトルはおそらくここから採ったのかなという箇所に出会った。


 

「In the Middle」に込められた意味

 


私は残りの年を中学校の教室で、中学生の生活について学んで過ごすことになるだろう。彼ら以上に予測不能で面白い年齢はない。12歳、13歳、そして14歳。全てが途中、とりわけ、変化の途中だ。感情的にも、肉体的にも、心理面でも、知性の点でも。
(I’ll spend the rest of my years in junior high classrooms learning about the lives of junior high kids. I don’t think there’s a more unpredictable or interesting age. Twelve-, thirteen-, and fourteen- year-olds, in the middle of everything, are especially in the middle of changes – emotional, physical, psychological, and intellectual.) (pp.26-27)
 


in the middleとは、教え子である中学生たちがin the middle of everything(すべての途中)にいることを象徴したタイトルだったらしい。

「生徒とともにいる」印象の強い第一版のアトウェル

 

このタイトルの印象で読んでしまうからか、序盤(50ページ程度)を読んだ限りでは、第一版のアトウェルは「生徒を見る」「生徒と一緒にいる」ことをとても強調しているようにも思える。


中学校の教師は、生徒たちのそれぞれの現実(realities)を受け止めて生かすときにこそ、生徒たちをもっともよく生かすことができる。(pp49-50)
 


次のパラグラフは、彼女が生徒たちと一緒に読み書きすることに喜びを覚えていることがよく伝わってくる。確認不足かもしれないのだが、この記述は、後の版ではおそらく見つからない。まだ若さを残すアトウェルが情熱的に「書き手」「読み手」としての自分の姿を生徒に見せる様子が、生き生きと伝わってくる。


私は生徒と一緒に書く。彼らに自分の下書きを見せる。カンファランスの中でアドバイスを求める。私は彼らにこう伝える。書くことは私にとって新しい習慣で、私の人生を変えつつあると。私は髪をばらばらにしたままで、でも書き続ける。止まらないから。


私は生徒と一緒に読む。自分が今何を読んでいるのか伝えて、それについて話し、本を貸してあげる。私は彼らにこう伝える。読むことは、私の古くからの習慣で、私の人生を作り、たくさんの意味を私に与えてくれたと。そして突然本を読めなくなってしまったら、私は生きていられるかわからないと。 (p48)
 

僕の側の読み方が変わったせいかも?

 

とはいえ、誤解のないように言うと、後続の版でも「生徒とともに」「生徒をよく見る」という姿勢は書かれているし、とりわけ第二版では第一版と同様に、Making the Best of Adolescenceという章が設けられている。この点ではアトウェルの姿勢は第一版と第二版の間で特に変化はなく、変化したのは僕の側の読む姿勢かもしれない。少なくとも、第二版を読み始めた頃の7年前の僕は、「書くことの効果的な指導法」を求めてこの本を読んでおり、ライティング・ワークショップが何かということも今よりわかっていなかったので、生徒理解の大切さという部分を自分の印象に残せなかったのだと思う。

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