[ITM]レター・エッセイを書く

In the Middle読書日記。この本はライティング&リーディング・ワークショップについての本なので、このブログでもリーディング・ワークショップについても触れている。

[ITM]リーディング・ワークショップの基本方針

2015.02.03

[ITM]「Reading Zone」に入る

2015.02.04
この2つのエントリで示した通り、アトウェルのリーディング・ワークショップの基本はIndependent Reading(個別読書)で、ブッククラブには重きをおいていない。そして、「自分で選んだ本を、常に、たくさん読む」ことを柱とした彼女のリーディング・ワークショップを支えているもう一つの要素が「レター・エッセイを書くこと」だ。


 

 「レター・エッセイ」とは、自分が読んだ本についてアトウェルまたはクラスメートにあてた手紙形式で書いたエッセイのこと。書くジャンルは文学に限定されている模様。以前は「アトウェル宛てに毎週ウィークリーレターを書かせていた」ようなのだが、アトウェル自身の負担の重さなどもあって「3週間に一度のペースで、3つはアトウェル宛て、3つはクラスメート宛て」になった。自分で読んだことのない本についてレターをもらっても、アトウェルは返事をしているようだ。

ただ「レター」とはいえ、お気軽に書ける「僕の私の薦める本」のような雰囲気ではない。「3ページ以上」「本文の重要な一部分を抜き出すこと」「書き手の技術や意図について言及すること」などの条件が細かく設定されている。 アトウェルとしては、将来大学で批評を書く時のための練習用という認識でもいるらしい。だから、ここでもしっかりモデルを示してのhand overを行っている。まずミニレッスンでアトウェル自身のレター・エッセイを示し、レター・エッセイが満たすべき条件を教えて、書き出し例も与えている(pp257-262)。

他では、クラスメートからレター・エッセイをもらった時の返信の書き方について、どんな返信をもらうと嬉しいか生徒同士でディスカッションしたり(p274)、卒業生のよく書けたレター・エッセイを示して、どこが良いのか生徒同士でディスカッションしてまとめたりもするようだ(pp277-281)。このへんはいいシステムで、自分でも真似したいな。

総じて、よく読むことが、よく書くことの訓練につながっている。ただ、生徒の作文誤字脱字は全部チェックして修正する(p145)というアトウェルも、レター・エッセイの誤字脱字は、直接訂正することはせず、ポストイットに書いて渡すらしい(p277)。きっと、パーソナルな「手紙」の雰囲気を大事にしているのだろう。

こうやって生徒と教師、生徒同士のパーソナルな関係を作りつつも、鍛えているところを鍛えるアトウェルのレター・エッセイ。現実的に僕がリーディング・ワークショップのスタイルで授業をする時にも、何らかのアウトプットがないと成績処理上困るので、こういうことをすると思う。「思う」と書いているのは僕は過去にリーディング・ワークショップを一学期間しかやっておらず(その時は、やはり一作品についての文章を提出させた)、今後またやるなら、というニュアンスが強いから。今後はもう少しこういう「個別読書」のスタイルを授業にも積極的に取り入れていきたい。

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