In the Middle読書日記。この本を通して読んでいると、アトウェルの「出版」の方法に色々と工夫があることがわかる。学内雑誌(作品集)に掲載するだけのこともあれば、ポエトリー・リーディングのパーティーを開くことや、Advocacy Journalismの時のようにコンペを行うこともある。では、アトウェルは何通りくらいの「出版」の方法を用意しているのだろうか。
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幸いなことに、巻末付録にアトウェルの授業での出版方法がリスト化されているので、見てみよう。
(1)個々の作品を印刷して配布し、クラスメートや家族に読んでもらう。
(2)個々の作品を、カードに書いたり美しく装飾したりして、プレゼントする。
(3)テーマやジャンルごとのアンソロジー集への出品。授業中のリーディング・タイムで、ココアを飲んだりしながらみんなで読む。
(4)校内の文芸誌への出品。
(5)8年生の年間文集への出品。
(6)新聞社への出品。編集者への手紙も自分で書く。
(7)生徒の作品を募集している一般の雑誌への出品。
(8)地域のものから全国のものまで、各種作文コンテストへの出品。
(9) 詩や歌を集会や朝のミーティングで披露する。
(10)校長のニュースレターへの出品。
(11) 校内の廊下やクラスの掲示板にポスターとして掲示する。
(12)額に入れて廊下の壁に掲示する。
(13)地域の催し物や学校の外部公開イベントなどで掲示する。
(14)スピーチ、スキット、劇などを上演する。
(15)校長や教育委員会などへの請願として提出する。
(16)各種の通信(手紙)の形にする。質問状、お礼状、不満、葉書、ファンレターなどなど。
(17) CLTのサイトのブログ・エントリーにする。
(参考)
▷ You Gotta Read This (Center for Teaching and Learning:アトウェルが創設した学校)
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…いやあ、すごい。あらゆる機会をつかまえて書いたものを公表させている。とてもかなわない。「生徒が書いた文章は教師だけが読むのではなく、公表する機会を多く設けることが大事」だということは、作文教育に関心のある教師ならみんな知っていることだ。でも、ここまで大事なことをここまで徹底してやれている人が果たしてどれほど居るのだろう。僕にはとてもできていない。
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もちろんアトウェルは特別な教師だ。彼女の読書量や書く力は、長年の蓄積があってこそのもので、とても真似できない。それはわかっている。でも、彼女と僕の決定的な違いは「大切なことを絞り込んで、それを徹底して繰り返しやっていること」にある。「たくさん読む経験が大事だ」「たくさん書くことが大事だ」「教師が書き手や読み手としてのモデルを示すことが大事だ」「書いた作文は教師以外の読者に読まれることが大事だ」….どれも、僕にだって大切だとわかっていることだ。でも、徹底できていない。その都度色々な言い訳はあるけれどできていないのは事実。アトウェルと僕の差は、大切だと信じることを、信じることだけを、どこまで徹底してやっているかというそのこだわりにある。
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まあ、そんな思いはともかく、これだけ出版のバリエーションがあるというだけでも勉強になる。自分も廊下の掲示板などを活用しながら、書いたものをどんどん公開するのが当たり前、というふうにしないといけないな。大事なことを絞り込んで、徹底する。少しずつできるように頑張ろう。