ひんぱんにグループを組み直すのが良い理由

今年の5月に福井の渡邊さんの授業を見学した影響もあって、今学期、特に高校の授業では授業内の席替えを頻繁に行った。

 

授業見学記@福井県立若狭高校

2015.05.14
 

僕の授業では共通の問いについてグループで考えてもらったり、個人で書いた文章をグループで読み合って相互評価してもらったりの機会が多い。 必然的にグループ学習が多くなるのだけど、メンバーが固定化されるとちょっと問題があるなと前から感じていた。考えられる問題はこんなところ。

・グループ内の人間関係の影響が大きくなる
・構成員によって、いわゆる「あたり」「はずれ」が出てくる 
・発想が固定化される
・うまくいかない時に、「他の構成員のせい」にしてしまえる


 もちろんグループをずっと固定して毎回活動を振り返ることで、グループとしての成長を意図することもできる。しかし、そのメリットよりも上述のデメリットのほうが大きいと感じていたのだ。

勤務校の生徒は、どちらかというとグループ学習が苦手で嫌いな生徒たちが多い。もちろんグループ学習をデザインする側の問題もあるのだけど、

グループ学習、試行錯誤中。

2014.10.25
彼らのメンタリティとして、究極の個人戦である「受験」を通過してきた子たちなので、基本的には「勉強は個人でやるもの、周囲の人と競うもの」という価値観に親和的なせいもある。だとしたら、グループ学習自体の経験を積む上でも、頻繁にメンバーを入れ替えて、うまくいく経験もいかない経験も、両方してもらうほうがいいんじゃないか。そう思った。

というわけで、今学期は意識的に授業中にグループを頻繁にシャッフルしてみた。生徒に話したのは、「人間なのだから、仲の良い悪いや相性の良い悪いも当然ある。内心で今回のメンバーはちょっと…と思うこともあるだろう。でも、どんな人と組んでも一定程度の良い仕事ができるように、そのためには何が必要か経験して学ぼう」ということ。

結果は総じて良かったと思う。しょっちゅう座席移動があるという手間はあるものの、それをふまえても、多くの生徒は前向きに毎回異なるメンバーと活動していた。大福帳でも「色々な人たちと議論ができるのが楽しい」という反応がいくつか見られたし、議論を深める上でも、「ある班で話し合った結果を、次の時間に座席をシャッフルして別の人と共有する」活動(なんちゃってワールド・カフェ?)は有効に機能していた。

さらに、班をシャッフルすると、活動における人間関係の影響を薄くできると同時に、人間関係そのものを流動化できるのも大きい。特に新入学でまだ知人の少ない段階だと、色々な同級生と話す機会はけっこう大切なはず。中1や高1では、授業ごとに座席を変えてもいいんじゃないかなと思うくらいだった。

ただし、固定教室制の場合は、生徒の荷物が机の周辺にあったりで、机の向きを変えるのを生徒が面倒くさがる場合もあった。そのへんは生徒の実情や反応も見ながらだろう。

だが、基本的には、マイナスよりもプラスの方が大きい。頻繁にグループを組み直す方が、学習効果が高いし、学習以外の人間関係の流動化という効果もある、というのが僕の判断。これは今学期だけの実験に終わらせないで、今後も継続してみたいと思う。

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